次世代車普及には地域ごとのニーズ対応が必要
デロイトトーマツ「EVと次世代車に関する消費者意識調査」より

2012年9月5日発表



 デロイトトーマツコンサルティングは9月5日、「電気自動車(EV)と次世代車に関する消費者意識調査」を発表し、報道関係者向けに会見を開いた。

 同社は2010年からEVに関する消費者意識調査を行なっており、EV普及のシナリオを予想してきた。3年目となる今回は、消費者意識の3年にわたる変化や、EV以外の次世代車への意識を探っている。

 2012年の調査は3月29日~30日に、インターネットで行った。調査対象は東京23区、政令指定都市、その他地域に住む20~69歳の男女で、サンプル数は2075。

 これによると、大手メーカーのEV量産開始などによって、EVの認知度は2011年の21%から、2012年は88%と4倍に増加しているが、購入意向は14%から16%と横ばい傾向にあるとしている。また、EVを購入するにあたっての懸念も、「価格、航続距離、インフラ」で変化がない。

 一方で、2011年3月の東日本大震災は、エネルギー問題や非常時の電源確保、地球環境問題の意識に影響を及ぼし、EVへの関心を高めたとしている。また、EV購入を検討する際に、蓄電池としての機能、非常用電源としての機能に期待する人が50%以上いるとしている。

 次世代車については、EVとハイブリッド車(HV)以外の車両(プラグインハイブリッド車[PHV]、燃料電池車[FCV]、マイクロカー)については、認知度が低い。また次世代車として購入したいのはHVが突出して高く、その理由を「ガソリン車並の値段」「多彩なラインアップ」としている。

 この調査結果をもとに同社では、消費者はHV以外の次世代車には多くの懸念を抱いており、「消費者に依存する形での早期の次世代車普及は難しい」「消費者だけに依存しない、“ブレイクスルー”が必要」としている。

 一方でCO2削減や脱・石油に向けて次世代車普及は不可欠であること、燃料電池など次世代車が産業・雇用に寄与すること、マイクロカーのような新しい交通手段や、EV/HV/PHV/FCV/天然ガス車などさまざまな次世代車が用途に応じて求められることから、「2013年を、日本の次世代モビリティ元年に!」とのメッセージを打ち出している。

 その方法として、地域ごとに「次世代モビリティ・プロデューサー」を置き、地域ごとに異なるニーズを汲み上げ、必要な技術や資金・人材を調達し、ビジネスとして成立させるのが有効としている。

(編集部:田中真一郎)
2012年 9月 5日