日産、Vプラットフォームを採用した2代目「ラティオ」を発表
セダン専用ボディの“コンパクトセダン・グローバル戦略車”に一新!

新型ラティオと並んでフォトセッションに臨む片桐隆夫副社長

2012年10月5日開催



 日産自動車は10月5日、同社のグローバル本社で、同日フルモデルチェンジしたコンパクトセダン「ラティオ」の発表会を行った。

ラティオ G
ラティオ G

日産自動車の片桐隆夫副社長

 ラティオは、2004年10月にコンパクトハッチバック車であるティーダのセダンモデル「ティーダラティオ」としてデビュー。日本国内ではややティーダの陰に隠れがちではあったものの、セダンニーズの高いアメリカや新興市場で堅調に販売数を伸ばし、これまでに世界150カ国以上の市場で約50万台を販売している。そんな市場動向を受け、2代目からは同社の“コンパクトセダン・グローバル戦略車”として開発を実施。生産拠点もメキシコ、中国、タイ、インドに分散し、日本市場での販売車両は「マーチ」と同じくタイから輸入される形となった。

 発表会の冒頭、同社の片桐隆夫副社長はラティオに与えられたポジショニングやターゲットユーザーなどといった車両概要を説明。この中で、初代ラティオの国内販売台数の半分が法人需要であること、コンパクトセダン・グローバル戦略車として新興市場でも販売を行い、初代ラティオと比較して年間約5万円のランニングコスト節約を実現する高い経済性を持っていることなどを紹介した。

 また、2代目ラティオが持つ魅力について、効率的な車両レイアウトの追求によって、5ナンバーセダンながらLクラスセダン並みの後席ニールームを確保するとともに、乗り心地のさらなる向上にあると強調している。ターゲットユーザーは、これまでセダンに乗り継いできた愛好家のダウンサイジングのニーズや、ビジネスユースなどを中心に、月販1200台を目標にすると言う。

 このほか、ラティオ発売後にも年末には「シルフィ」のフルモデルチェンジを予定しており、4月の「シーマ」、6月の「NV350キャラバン」、8月の「セレナ S-HYBRID」、9月の「ノート」などという新車攻勢によって、国内市場における“確固たる2位の座”を目指していくと語った。


ラティオの商品性を解説する都築邦康CPS

 片桐副社長に続いて登壇した、商品企画室の都築邦康チーフプロダクトスペシャリスト(CPS)は、2代目ラティオの開発キーワードとして「正統派セダンとしての上質感あるスタイル」「広くて快適な室内空間」「クラストップの燃費性能」「お求めになりやすい価格」という4点を目指したと説明。

 ターゲットユーザーの利用シーンとしては、個人ユーザーでは「セダンに継続的に乗り続けたい」と考えるベテランドライバーで、子育てが終わった後に飽きずに長くつき合えるスタンダードな5ナンバーセダンを選びたいというニーズを想定。法人需要の営業車では、貴重な医療サンプルを積載する医療分野や、後席に大切な顧客を乗せて移動する機会のある金融・不動産関係での利用を視野に入れている。


先月発売されたノートでも採用されるHR12DEエンジン+副変速機付きエクストロニックCVTのほか、アイドリングストップ、車両軽量化+空力性能の向上、スムース発進アシスト、オルタネーター回生制御などを搭載。全車75%減税に適合するJC08モード燃費22.6km/Lを実現初代でもキャビンスペースの広さは話題だったが、エンジンルーム内のスペースを圧縮し、さらに燃料タンクの最適配置などでティアナに匹敵する有効室内長を稼ぎ出したセダンの優位ポイントである視界のよさも追求。コンパクトな5ナンバーボディーをさらに運転しやすく安心できるクルマに仕上げた
カタログの表紙などにも登場するコミュニケーションカラーのタイタニウムグレーピュアブラック特別塗装色で3万6750円高になるホワイトパール
バーニングレッドブリリアントシルバーラティオ X 助手席回転シート

 このほかのトピックとしては、2代目ラティオのG、Xグレードにはオーテックジャパンが手がける助手席回転シート仕様車を設定したことが挙げられる。

 これまでのパターンなら、こうした車両はオーテックが「ライフケアビークル」とグループ分けする福祉車両の位置づけになっていたが、今回は敢えてライフケアビークルの名称を外している。これには、スカートや和服を着ている人が気軽に乗り降りするアイテムとして活用してほしいという意図が込められているからで、純正装着シートを流用し、簡易的な手動操作を可能にすることで、ベース車から8万4000円高という手ごろな価格設定を実現。

 また、見た目にも純正シートに折りたたみ式のフットレストと操作用のストラップが追加され、回転機構の分、わずかに座面が高くなるだけなので、ドアを閉めた状態ならほぼ見分けがつかないレベルに仕上がっている。

トランクは外観上は控えめな印象だが、バンパーとのクリアランスを減らす設計努力によって奥行きが増え、1クラス上のVDA容量を手に入れている。ただし、サブトランクなどのギミックは用意されていない
ラティオのパワートレーンは1.2リッターのHR12DEエンジン+副変速機付きエクストロニックCVTの1種類HR12DEエンジン+副変速機付きエクストロニックCVTのカットモデル
ラティオ Gのインパネラティオは全車オーディオレスが標準。撮影車には日産オリジナルナビゲーション・MC312D-Wが装着されていた
ラティオ Gのインパネ。ファインビジョンメーターはG、Xグレードに標準装備
ラティオ Gのキャビン運転席シートリフターを全車に標準装備
ラティオ Xのリアシート内装色は全車ブラック、シート地はトリコットとなるルーフトリムをアーチ状に広げ、リヤシートに座る人の心理的な開放感を演出する
ラティオ GのシフトノブシンプルですっきりしたペダルまわりVDCはGグレードに標準装備。X、Sはオプション設定となる。ヘッドライトのマニュアルレベライザーは全車標準装備
メッキフロントグリルを全車標準装備全車標準装備の最適配光マルチリフレクターハロゲンヘッドランプ。オプションでもHIDなどの選択肢はない
ラティオのリアタイヤ。サイズは全車178/70 R14ラティオのフロントタイヤ。全車で14インチのスチールホイールとホイールカバーの組み合わせになるフロントタイヤ前のフロア下にタイヤスパッツを装備
空気をスムーズに後方に流すリアバンパーエッジラティオ Xのリアコンビランプアイドリングストップを装備していることを表す「PURE DRIVE」エンブレム
ラティオ Xのフロントドアトリムラティオ Xのリアドアトリムラティオ Gのフロントドアトリム。メッキインナードアハンドルやドアアームレストグリップのシルバーフィニッシャーが追加されている
グローブボックスの容量は少なめという印象ドアポケットにもカップホルダーを設定
プッシュエンジンスターターは標準装着するGグレードのみに設定メッキアウトサイドドアハンドルは全車標準装備ラティオ Xのドアミラー

 なお、10月5日~26日の間、全国の日産ギャラリーで新型ラティオ誕生イベントを実施。発表会が行われたグローバル本社のギャラリーでは、5色6台の2代目ラティオに加え、「サニー1000 スポーツデラックス(1967年)」、「チェリーX-1 4ドア(1970年)」、「パルサー4ドアサルーン」の3台が展示されている(10月11日のみ展示車両、展示内容が異なる)。

2代目ラティオとヘリテージカー3台が並んで展示中サニー1000 スポーツデラックス
チェリーX-1 4ドア
パルサー4ドアサルーン車両のほかにパネル展示なども実施

(佐久間 秀)
2012年 10月 5日