オグたんが「1/20 レッドブル レーシング ルノー RB6」トークショー
タミヤ プラモデルファクトリー新橋で開催。次回は12月8日の宮城光氏

タミヤ プラモデルファクトリー新橋に展示されていた「1/20 レッドブル レーシング ルノー RB6」

2012年10月21日開催



 タミヤは10月21日、東京・新橋にある「タミヤ プラモデルファクトリー新橋」で、モータースポーツジャーナリスト小倉茂徳氏を招いて、11月発売予定の新製品「1/20 レッドブル レーシング ルノー RB6」のトークショーを開催した。

1/20 レッドブル レーシング ルノー RB6
部品分割が分かりやすい素組モデル
シャシー底面も再現。空力に関係する重要な部分ダウンフォースを生み出す後半部

 小倉茂徳氏は、F1解説やCar Watch連載「オグたん式『F1の読み方』」で本誌読者にもおなじみのため、以降本記事ではオグたんと記す。オグたんは、1987年、1988年にはホンダF1広報スタッフとして活躍、以降モータースポーツジャーナリストへと転じ、さまざまなレースの記事執筆や解説を行っている。

タミヤ広報山本暁氏(左)と、オグたんこと小倉茂徳氏(右)タミヤの山本氏が実車の各部写真を紹介し、オグたんが解説

 オグたんは、F1模型の説明書に書かれている実車解説などの仕事も行っており、模型ファンの中にはその文章を気がつかずに読んでいる人もいるだろう。F1にとても詳しいというのもあるが、大の模型好きでもあるので、トークショーに登壇となったようだ。

 司会・進行はタミヤ広報の山本暁氏。山本氏は、1/20 レッドブル レーシング ルノー RB6が、2010年のF1チャンピオンマシンであるとともに、セバスチャン・ベッテル選手が初めて、そしてレッドブル レーシングが初めてチャンピオンを獲得したマシンであることを紹介。現在はF1から撤退してしまったブリヂストンの最後のF1チャンピオン獲得マシンというメモリアルなマシンであると言う。

 レッドブル レーシングは、活動をやめたジャガー レーシングを母体に2005年からF1に参戦。初年度はRB1を投入し、以降RB2、RB3と年ごとに進化。模型化されたRB6でチャンピオンを獲得し、2012年シーズンはRB8が活躍中だ。

 オグたんは、そのレッドブルチームを「とにかく自由なチーム」と表現。ジャガー時代は自動車メーカーとしての縛りがあったが、レッドブルはエナジードリンクメーカー。エナジードリンクで大切なのは、スポーツイメージだが、そういう部分もあって「かっこいいこと、おもしろいことを自由にやらしてくれるチームになっている」と言う。そのため、レッドブル レーシングのレーシングカーデザイナイーであり、チームのCTO(最高技術責任者)であるエイドリアン・ニューウェイ氏も、さまざまなアイデアをマシンに盛り込むことができ、やりたい放題やっていると言う。

模型を作ることで空力が見える
 そんなニューウェイ氏が作り上げたRB6は、当時のレギュレーションの中で、チャンピオンを獲得したことからもっとも優れたマシンと言えるだろう。この年のF1マシンでは、Fダクトと呼ばれるデバイスが話題となっていたのを覚えている人もいるだろう。

1/20 レッドブル レーシング ルノー RB6のパッケージを紹介する山本氏RB6のパーツ構成ベッテル車とウェバー車の作り分けが行える

 Fダクトは、リアウイングのフラップのまわりの空気の流れを積極的に変更することで、ダウンフォースを減らす仕組み。具体的には、リアウイングにあるスリットに空気を積極的に吹き付け、空気の流れを妨げることでダウンフォースを低下。ダウンフォースを低下することで、空気抵抗低減につなげ、最高速の上昇を狙ったものだ。マクラーレンから始まったこのシステムは、明確な効果が認められることから各チームのマシンが導入。タミヤのRB6では、このFダクトが再現されている。

オグたんは自筆の絵でFダクトを解説実車のFダクトパイプの写真Fダクト排気部の実車写真

 オグたんは、このFダクトの仕組みを手書きの図を用いて解説。タミヤの山本氏からは、「このRB6は、Fダクトの構造などを見られるように、リアカウルが外れる」と、素組みしたキットを紹介。リアカウルを外す様子を実演して見せた。

 このFダクトに導く空気は、コクピット後部にあるインダクションポッドより採り入れられていると言われているが、実際の動きは完全に明かされていない。タミヤのRB6でも、Fダクトにつながる配管は上に1つ、下に1つあり「おそらく上の1つが、整流された空気をリアウイングに導くもので、下の1つが余剰の空気をはき出すものだろう」(山本氏)と、再現された2つの配管を示しながら語った。

模型化されたFダクトの内部構造を説明する山本氏

 オグたんは、模型を作ることで空力が見えるようになるので「空力マニアな方は(模型を作るのが)よいと思います」「立体を見るとよく分かると思う」と、模型作りを勧めた。

 実際オグたんも試作品を製作。約1日に作ったと、その完成品を白い箱から取り出した。セミグロスブラックで塗られたRB6は、名付けて「風洞実験模型風RB6」。F1の風洞実験は、このような色に塗られ、空気の流れを見ていると言う。オグたんの製作したRB6には、各部にアルミテープも貼られ、リアリティを高めている。

白い箱からなにやら取り出すオグたんRB6の世界最速完成品とのこと(除くタミヤ社員)空力についてあれこれ解説

 トークショーでは、RB6のデザイナーであるニューウェイ氏の裏話なども披露。タミヤからは、レイトンハウス CG901Bがかつて模型化されているが、このマシンのデザイナーもニューウェイ氏となる。オグたんによると、ニューウェイ氏は「レイトンハウス時代と、レッドブル時代が楽しい」と言っているとのことで、RB6とCG901Bはどことなく似ている雰囲気を持つと紹介した。

 このトークショーの模様は、TAMIYA LIVE on USTREAM(http://www.ustream.tv/recorded/26296521)で録画を見ることができる。オグたんによると、「パーツの合いがすごくよいので組むのが楽だった」とのことで、初めてF1模型にチャレンジする方でも、タミヤならではの作りやすさを感じ取ることができるだろう。

 1/20 レッドブル レーシング ルノー RB6は11月の発売となり、専用色の「パールブルー」もタミヤスプレー TS-89として発売される。11月17日~18日にツインメッセ静岡(静岡県静岡市駿河区)で開催される「タミヤフェア」での展示も行われる。

11月17日~18日にツインメッセ静岡で開催される「タミヤフェア2012」RB6は全長が長いため従来の展示ケースに入らなくなり、新たな展示ケース「ディスプレイケースP(内寸280×130×90mm)」を開発
従来型のケース(下)と新型のケースの長さ比較フェラーリ F60との長さ比較トークショー終了後、F1の形状の変化に関する話題に。同一スケールのF1模型を机に並べての模型談義が始まった

 なお、タミヤ プラモデルファクトリー新橋では12月8日に宮城光氏を招いての「1/12 Honda NSR500 '84」に関するトークショーを予定している。

次回のお題となる「1/12 Honda NSR500 '84」重量物である燃料タンクを車体下部に配置するというホンダらしい意欲的な発想で作られたGPマシン宮城光氏。模型やRCカー好きとしても知られている


ホンダコレクションホール所蔵のNSR500 '84。メンテナンスのためのライダーは、トークショーのゲストでもある宮城光氏

(編集部:谷川 潔)
2012年 10月 24日