「2012年 JAFモータースポーツ表彰式」開催

2012年 JAFモータースポーツ表彰式で、各シリーズのチャンピオンが勢揃い

2012年11月30日開催



 JAF(日本自動車連盟)は11月30日、都内のホテルにおいて2012年の全日本選手権のタイトルがかけられたシリーズとSUPER GTの表彰式「2012年 JAFモータースポーツ表彰式」を開催した。

 現行の名称では最終年となる全日本選手権フォーミュラ・ニッポンの初タイトルを獲得したペトロナス・チーム・トムスの中嶋一貴選手、SUPER GT GT500のタイトルを2年連続で獲得したモーラの柳田真孝選手、ロニー・クインタレリ選手などに対して、その栄誉を称えてトロフィーが授与された。

来年以降も積極的にモータースポーツの振興にかかわっていきたいとJAF会長
 JAFは、FIA(世界自動車連盟)の日本国内における下部団体として、エンドユーザーへのロードサービスやモータースポーツにおけるルール策定、運営などを担当している団体で、多くの読者にとってもおなじみだろう。日本のモータースポーツイベントは、基本的にJAF統括のもとに行われている。

 ただし、いくつかの例外はある。SUPER GTとスーパー耐久は国際イベントを目指しているという背景もあり、JAFからは独立してFIAに認定された国際イベントとして運営されている。このため、本来SUPER GTはJAF傘下のシリーズ戦ではないのだが、SUPER GTで国際的に行われているイベントはマレーシア戦ぐらいであるため、実質的には全日本選手権と言ってよいのが現状であり、数年前からJAFの表彰式で一緒に表彰する形に統一され今に至っている(以前は別途表彰式が行われていた)。

 JAFモータースポーツ表彰式で最初に挨拶に立ったのは、今年の6月にJAFの新会長に就任した小栗七生氏。名古屋トヨペット 代表取締役会長でもある小栗氏は「昨年は大震災の影響があり中止となるイベントも少なくなかったが、今年は予定どおり開催できたことを喜んでいる。そうしたイベントの開催にご尽力頂いた関係者にお礼申し上げたい。これからもJAFはモータースポーツが公平に円滑に行われるように様々な施策を実施していきたい」と述べ、JAFが今後もモータースポーツ振興を積極的に行っていくとアピールした。

司会進行はピエール北川氏(左)とテレビ東京アナウンサー須黒清華氏(右)JAF会長 小栗七生氏

全日本ラリー選手権は、3年連続勝田範彦/足立さやか選手組がチャンピオン
 表彰式は、ジムカーナ、ダートトライアル、ラリーの順で表彰が行われた。ジムカーナ、ダートトライアルに関しては、全日本選手権だけでなく、先日行われたばかりのJAFカップの表彰式も兼ねており、シリーズとは別にJAFカップでの上位入賞者の表彰も行われた。

 全日本ラリー選手権のトップカテゴリーであるクラス4のチャンピオンに輝いたのは、勝田範彦/足立さやか選手のコンビで、今年で3年連続のシリーズチャンピオンとなった。勝田/足立ペアは、2位の奴田原文雄/佐藤忠宣選手と激しく選手権を争い、見事3連覇を果たした。

全日本ラリー選手権クラス4の上位入賞者(ドライバー)全日本ラリー選手権クラス4のドライバーチャンピオン勝田範彦選手
全日本ラリー選手権クラス4の上位入賞者(ナビゲーター)全日本ラリー選手権クラス4ののナビゲーターチャンピオン足立さやか選手

全日本F3とポルシェカップの2冠を達成した平川亮選手
 引き続いて表彰されたのは、いずれも若手選手の登竜門となる全日本カートと全日本F3選手権。全日本カートのトップカテゴリーのKF1では平木湧也選手、全日本F3選手権では平川亮選手がチャンピオンを獲得した。

 全日本F3選手権の平川選手は、今年がF3へのデビューイヤー。チームもトムスのようなトップチームではなく、RSセリザワというノーマークのチームからの参戦でデビューレースでいきなり優勝。その後も優勝を重ね、2位になったトムスの中山雄一選手などを破ってデビューイヤーでチャンピオンを獲得した。

 今年、平川選手はF3のほかにも、F3直下のカテゴリーであるFCJ、ポルシェ・カップなどにも参戦しており、FCJではチャンピオンと同点ながら2位の回数で惜しくもチャンピオンを逃し2位、ポルシェカップでもチャンピオンを獲得するなど、あと少しで前人未踏の3冠となる大活躍をみせた。

 平川選手はトヨタの育成ドライバーでもあり、来年以降、より上位のカテゴリー(フォーミュラ・ニッポン改めスーパーフォーミュラやSUPER GTなど)へのステップアップが予想されており、大型新人として多くの関係者の期待を集める存在になっている。要注目のドライバーの1人だと言えるだろう。

全日本カート選手権 KF1部門チャンピオン平木湧也選手全日本F3選手権、上位入賞者とチーム、エンジンチューナーの表彰全日本F3選手権チャンピオン平川亮選手。今後の活躍が期待される若手のトップだ

2年連続同一ペアでGT500のチャンピオンを獲得した柳田選手、クインタレッリ選手
 続いて表彰されたのはSUPER GTのGT300とGT500。GT300はTeam TAISAN ENDLESSのエンドレス TAISAN 911を駆った横溝直輝選手/峰尾恭輔選手。GT300は最終戦を迎えて、3チームがチャンピオンの可能性を残している状態だったが、最終戦開始段階では3位だった、Team TAISAN ENDLESSが雨中のレースを激走、見事優勝し、タイサンチームとしては久々、両ドライバーにとっては初めてのチャンピオンを獲得した。

 GT500は、昨年に引き続きMOLAのS Road REITO MOLA GT-Rを駆った柳田真孝選手/ロニー・クインタレッリ選手のペアが、同一ペアとしては初めてとなる2年連続のチャンピオンを獲得した。しかも、最終戦を残してのチャンピオン決定は、競争が激しいSUPER GTとして異例のことで、それだけ今年もMOLAチームの強さが際立った年だった。

GT300の上位3チームと、シリーズ優勝したチーム代表GT300のタイトルを獲得した横溝直輝選手(右)と峰尾恭輔選手(左)GT300のタイトルを獲得したTeam TAISAN ENDLESSの千葉代表
GT500の上位3チームと、シリーズ優勝したチーム代表GT500のタイトルを獲得した柳田真孝選手(左)、ロニー・クインタレッリ選手(右)GT500のタイトルを獲得したMOLAの大駅監督

フォーミュラ・ニッポン最終年のドライバータイトルは中嶋一貴選手が獲得
 全日本選手権フォーミュラ・ニッポンは、来年の名称変更を予定しており、来年以降は全日本選手権スーパー・フォーミュラとして新たなスタートを切る。このため、フォーミュラ・ニッポンという名称では最終年にあたることになるが、最後のチャンピオンに輝いたのが中嶋一貴選手だ。

 ペトロナス・チーム・トムスに所属している中嶋一貴選手は、昨年はチームメイトのアンドレ・ロッテラー選手に次いでシリーズ2位に輝いており、その好調さを維持したまま、今年のチャンピオン獲得につなげた。

 だが、決して順調にチャンピオンをとれた訳ではなく、開幕戦で優勝して以降、勝てないレースが続いていた。ポイントリーダーの座は維持し続けていたが、最終戦の第1レースをノーポイントで終わると、ダンディライアン・レーシングの2人(塚越広大選手、伊沢拓也選手)にポイントで追い越され、苦しい立場に追い込まれた。その第2レースで、9位スタートながら大胆に1周目の終わりにタイヤ交換に入り、その後は自分のペースで走り続け、最終的にトップに躍り出る快走を見せた。この走りにより、初のフォーミュラ・ニッポンのチャンピオンに輝いた。

 中嶋一貴選手は、中嶋悟氏のご子息だが、中嶋悟氏もかつてフォーミュラ・ニッポンの前身となる全日本F2選手権でチャンピオンに輝いてF1へ進出したため、親子でともに日本最高格式のフォーミュラカーレースチャンピオンに輝き、これは初めてのことになる。

 中嶋選手は「昨年はシリーズ2位で終わってしまったこともあり、シーズンオフからずっとチャンピオンを獲ると言い続けてきたので、実際に獲れてよかった。自分にとっては初めてのビッグタイトルだし、子供の頃からずっと見てきたレースなので、フォーミュラ・ニッポンの最後の年にチャンピオンとして名前を刻むことができたのはよかった」とその喜びを語った。

 なお、フォーミュラ・ニッポンのチームタイトルはダンディライアン・レーシング、メカニック賞(チャンピオンドライバーのチーフメカニック)にはペトロナス・チーム・トムスに対して贈られた。

フォーミュラ・ニッポンの上位入賞者とチームタイトルを獲得したチーム監督、メカニック賞に輝いたメカニックフォーミュラ・ニッポンのチャンピオンを獲得した中嶋一貴選手シリーズ2位、3位になった塚越広大選手(左)と伊沢拓也選手(右)
チームタイトルを獲得したダンディライアン・レーシングの村岡代表メカニック賞を受賞したペトロナス・チーム・トムス

(笠原一輝)
2012年 11月 30日