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「オートモーティブワールド2013」開幕、EV関連各社が出展

DS3をEV化した「シトロエンDS3 Electrum」など多数のEV関連を展示

国際カーエレクトロニクス技術展、EV・HEV駆動システム技術展、クルマのITソリューション展、クルマの軽量化技術展を併催するオートモーティブワールド2013
2013年1月16日~18日開催

東京ビッグサイト

 1月16日、東京ビッグサイトで「オートモーティブワールド2013(国際カーエレクトロニクス技術展/EV・HEV駆動システム技術展/クルマのITソリューション展/クルマの軽量化技術展)」(リード エグジビション ジャパン主催)が開幕した。開催期間は1月16日~18日10時~18時(18日のみ17時終了)。

 オートモーティブワールド2013では、電気自動車(EV)関連の新規展示も多く、本稿ではそうしたEVや充電機器などを紹介する。

DS3をEV化した「シトロエンDS3 Electrum」

 実車展示コーナーで、国内初公開となったのは「シトロエンDS3 Electrum」。SIM-Driveが出品したこの車両は、実は昨年のパリショーでシトロエンから出品された1台。シトロエンDS3をベースに、EVにコンバートしたコンセプトカーである。

 この車両は、SIM-Driveの持つコンポーネンツをコンバートEVという形で移植できるか、という課題を確認するために作られた1台。SIM-Drive参加機関であるPSAプジョー・シトロエン・ジャポンから車両提供協力を受け製作したと言う。

 その内容は、SIM-Driveの持つインホイールモーターをあえてシャシー側に搭載して、インバーターやバッテリーをフロントエンジンを抜き取った部分に搭載(バッテリーの一部は車両のガソリンタンクを取り去った部分に搭載)することで、既存のDS3の居住性や積載性などを犠牲にすることなく、EVへのコンバートを成功させたと言う。2012年1月に完成し、国内でナンバーまで取得した公道走行可能なコンバートEVである。

フロントのエンジンコンパートメント空間と燃料タンクのスペースを使い、パナソニック製18650型リチウムイオンバッテリー(17.5kWh)を搭載する。1充電当たりの航続可能距離は154㎞。車両重量は95㎏増で収まっている。65kWモーターを2基、フロントに搭載
ベース車はターボモデル(MT)だったため、クラッチペダルを除去しているものの、室内に大きな変更はない

英Delta Motorsportsの「E4-Coupe」

 もう1台、国内では馴染みのないEVが登場。それが英Delta Motorsportsの「E4-Coupe」で、ワイヤレス給電のクアルコム・ジャパンのブースで展示されたもの。現在、このE4とルノー「フルエンスEV」の2車にクアルコムのワイヤレス給電システムを搭載し、ロンドンで実証実験を進めていると言う。

英Delta MotorsportsのEV「E4-Coupe」
ワイヤレス伝送を行う送信パッドおよび受信パッド。3.3kWのシステムだが、クアルコムのEVワイヤレス給電技術にはレース用の20kWの送受信システムも持っていると言う

軽ワンボックス用のコンバートキットを出展したアペックス

 APEXiブランドのチューニングパーツなどでおなじみのアペックスも、EV展示コーナーに出展。なんと軽ワンボックス用のコンバートキットを発売すると言う。

 自動車整備工場や教育機関向けということで、定格出力7.5kWのモーターに、鉛バッテリーを使ったキットだが、パワステもエアコンもヒーターも動くというのがポイント。ヒーターは電気式ヒーターを組み込み、純正のスイッチに繋いでいる。エアコンは、なんと駆動用モーターとは別にモーターを持ち、低回転で純正のコンプレッサーを回すことで航続距離にそれほど影響を与えることなく(エアコンを作動させると航続距離が約1割減となる)使用することができると言う。

 アペックスとしては、組み込みではなく、あくまでもキットでの販売を進めるということで、約120~140万円ほどでの販売を見込んでいる。

対応車種はスズキ「エブリィ」およびダイハツ「ハイゼット」。セカンドシート部分を使ってバッテリーを搭載する。航続可能距離は80~100㎞

大阪の中小企業が集結した「大阪産EV開発プロジェクト」

 超小型モビリティのガイドラインに沿った車両製作を進める、大阪の中小企業が集結した「大阪産EV開発プロジェクト」のブースも登場。

 超小型EV汎用プラットフォームを作ったTGMY、超小型EVダンプ、そして車イスが乗車できる介護送迎用超小型EVなどを参考出品しており、多くの企業がこの新しい乗り物区分に大注目している。

「大阪産EV開発プロジェクト」ブースには、超小型モビリティのガイドラインに沿ったさまざまなEVが展示される

レスキューEVが2代目に

 2009年に世界初のレスキューEVとして登場した「助っ人EV」に、2代目のモデル「EDS-11」が登場した。助っ人EVは、電欠して動けなくなったEVに急速充電を行う急速充電機器を搭載したEVで、初代モデルは三菱自動車工業のEV「i-MiEV」をベースに作られていた。

 今回登場したのは、その2代目として「MINICAB-MiEV」を使用し、ラゲッジスペースに容量11kWhの東芝製リチウムイオン電池「SCiB」を搭載したものだ。

「MINICAB-MiEV」をベースとする「EDS-11」

カーボンホイールを使用したインホイールモーター

カーボンホイールを使用したインホイールモーター(原付用)

 D.I.Dブランドのバイク用のチェーンで有名な大同工業では、カーボンホイールを使用したインホイールモーター(原付用)を参考出品。まだ、実際に何かの車両に搭載されるような話はないが、これからこの分野にも進出していきたいということだ。

充電器関連

 EV用急速充電器整備に総額1000億円の予算がついたということもあり、充電器関連会社も表情が明るい。

 シンフォニアテクノロジーは、3月に発売する新型の急速充電器「エネルスタ」を発表。電源盤と充電スタンドを別体とし、2台の充電スタンドで複数台のEVへの急速充電に対応する。

 また、矢崎総業は5月に新型の新型の急速充電器用コネクタを発売する。これまでのものと異なり、非常に未来的なデザインを採用しており、レバーを排してワンタッチで接続できるようになっている。

シンフォニアテクノロジーの急速充電器「エネルスタ」
矢崎総業の新型急速充電器用コネクタ

(青山義明)