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「東京モーターサイクルショー2013」開幕。ホンダとヤマハの新エンジンに注目
多数の電動バイクも出展
(2013/3/22 19:12)
東京都江東区有明の東京ビッグサイト(東京国際展示場)では、3月22日から24日まで「東京モーターサイクルショー2013」が開催されている。多数の最新モデルの展示やイベントが行われているが、中でもライダー以外の方も注目しておきたい新情報や展示内容についていくつかご紹介したい。なお、入場料(当日券)は大人1500円、高校生1000円、男女ペア券2500円となっている。
ホンダは新開発の400ccエンジン搭載3車種を展示
本田技研工業はNC700シリーズに続き、400ccクラスの量産型新開発エンジンを採用したニューモデル、CBR400R、CB400F、400Xなどを展示している。500ccエンジンを搭載したCB500シリーズとしてすでに海外で発売しているものを、フレームやエンジンを共通化したままストロークのみ変更し、日本国内の免許制度にマッチした400cc以下のモデルとして展開するものだ。
普通二輪免許を取得したばかりの若者をターゲットにしているとのことで、中低速の扱いやすさや車重の軽さ、足つき性などに配慮しながら、普通二輪免許で乗車可能な最大排気量となる400ccクラスとした。これにより、よりバイク初心者に対する間口を広げたいとしており、販売台数についてもNC700シリーズより多く見積もっている。日本の免許制度に合わせた排気量ということもあって、海外展開は予定していない。
また、ライダー向けのスマートフォン用アプリ「Honda Moto LINC」も展示。ライダーにとって気になりがちな降雨情報や観光スポット情報、燃費計算といった機能を備えるiOS/Android対応アプリだ。同じくスマートフォンアプリの「internavi POCKET」と組み合わせることで、自動車のインターナビ装着車から収集した情報などをもとに、正確な渋滞状況を地図表示できる点など、高機能さをアピールしていた。
新型3気筒エンジンで攻めるヤマハ。荒川静香さんがアンバサダーに任命
ひときわ大きなブースでプレスカンファレンスなどを開催していたのがヤマハ発動機。壇上にはフィギュアスケート金メダリストの荒川静香さんが登場し、ヤマハが今回のモーターサイクルショーでテーマとして掲げる「街にでよう、街をでよう」というメッセージを広く発信する“JAPAN CRUISING アンバサダー”として任命された。荒川さんは今後もヤマハのWebサイトやイベント等に協力することになると言う。
その壇上で目立つように展示されていたのは、同社が新たに開発した3気筒エンジン。ライダーの意図に忠実なトルク特性を実現するという“クロスプレーンコンセプト”に基づいて開発されたエンジンで、2気筒と4気筒の特性を備えつつ、軽量・コンパクトなエンジンサイズを達成している。このエンジンを搭載するモデルの開発もすでに進んでいるとのことだが、具体的な車種や発表時期は未定。ホンダのNC700シリーズや今回の400ccクラスのエンジンで展開しているような多車種への搭載は考えておらず、あくまでも3気筒エンジンの特性や性能を考慮し、それに最も適したモデルに採用するとのこと。
一方、「Honda Moto LINC」の対抗となるiPhone用の「つながるバイクアプリ」も発表した。本日3月22日からサービスを開始しており、ホンダと同様のルート検索などを行うナビ機能はもちろん、二輪車駐車場検索機能や燃費計算、観光スポットの検索機能も備えているが、最も特徴的なのはコールセンターに電話してガイドしてもらえる“NAVIオペレータ”機能だろう。アプリ内でボタンを押すだけで専用窓口のオペレータに電話がつながり、ライダーが行きたい目的地を告げるだけでアプリに情報が届いて、ナビの目的地にすぐに設定できる。
アプリ本体は無料でダウンロードできるが、“ナビオペレータ”機能は30日間で350円(5月6日まではキャンペーン価格で購入でき、30日間85円)、“バイクNAVI”機能は90日間450円(5月6日までは同様に90日間85円)で利用する形となる。
goo bikeのプロトコーポレーションが電動バイクを販売
中古バイクの情報誌・Webサイトの「goo bike」を運営しているプロトコーポレーションは、電動バイク2車種の販売代理店事業をアピールするブースを出展している。
数多くのバイクショップとのコネクションを持つ同社の強みを活かし、国内メーカーであるプロスタッフ製の電動バイク「Miletto」を6年前から、国内のベンチャー企業であるリクエストインターナショナル製の電動バイク「FUTE」を1年前から取り扱っており、全国200店舗で販売している。こういった電動バイクは家電量販店でも販売されているが、アフターサービスの面からバイクショップで扱うのがより適しているとして、さらに多くの代理店を募集しているようだ。
大手国内メーカーの電動バイクは品質は高いものの、なかなか一般ユーザーには手が届きにくい価格であることから、中国で生産を行うなど可能な限り製造コストを抑えることで、品質と価格のバランスが取れた製品の提供を目指していると言う。
いずれの車種もバッテリーは取り外して家庭用電源で充電できるタイプで、バッテリーの種類がリチウムか鉛かなどによって価格が異なる。「Miletto」は13万8000円から18万9000円の3タイプが用意され、定格出力は0.35~0.5kW、航続距離は35~47km。軽量で航続距離も比較的長いうえに、ペダルも装備されていることから、急坂などで必要な際には足でペダルをこいで進むこともできる。ターゲットユーザーは主に男性で、お店の出前や営業回りなどの用途にも向いている。
もう1つの「FUTE」は、この1月から新たにリチウムバッテリーモデルも追加された。定格出力は0.58kWで、航続距離は50~55km。リチウムバッテリータイプでは車重がより軽く、充電時間、充電回数などの面でメリットがある。主なターゲットユーザーは30~40代の女性で、よく近所に買い物に出かけるような主婦などを想定。車両価格はリチウムバッテリータイプが22万円前後、鉛バッテリータイプが16万円前後となっている。
10年前から電動バイクを扱っているアクセス
今でこそ電動バイクの注目度は上がってきているが、ほとんど注目されていなかった10年も前から電動バイクを専門に取り扱ってきたのがアクセス。山梨県に本社がある社員数名の小さな会社ではあるものの、電動バイクの企画・設計を行い、中国における提携企業の工場のラインを一時的に借りて、年間140~150台程度を生産しているという。現在の取り扱い店舗は全国にわずか2つ。店舗での対面販売だけでなく、インターネットでも販売している。
当初は電動スクーターをメインに製造・販売していたが、スズキのセニアカーのような、年配の人が安心して乗れる小型の電動四輪車の製造・販売も手掛けるようになった。ラインナップはスクーターを含め全11車種と幅広いが、どれも同社オリジナルモデルで他メーカーの輸入販売ではないところがポイント。ただし、当然ながらコストも重視しているため、フレームなどの設計は行うが、外側のボディに使われるパーツ類の多くは中国で製造されている既存車種のものを流用。日本国内の法規制に適合するよう確実に調整したうえで販売している。
車種によっては中国の工場で組み立てたものを、国内に持ち込んでからいったん分解し、再度組み立て直して一定の品質を維持した製品に仕上げるという手間のかかる作業も行っている。部品供給も8年間保証しており、10年間で得られたノウハウによって最近ではクレーム率も3%程度に抑えられ、今年はフランチャイズ展開も進める計画としている。
電動バイクの価格はモデルによって異なるが、インターネット通販ではおよそ10万円から、店舗販売では11万円程度から。電動四輪車の価格は20万円前後からで、いずれも大手メーカー品に比べれば圧倒的に入手しやすい価格帯だ。総走行距離も1万km程度なら問題ないとしており、他社の中国製電動バイクでは達成できない品質だとしている。
なお、中国で利用されている電動バイク用の充電スタンドを輸入して日本向けに改造したものも取り扱っており、フランチャイズ展開の暁には各店舗に設置したいとしている。100円で20分間、200円で40分間充電でき、他社製の電動バイクも充電できるようさらなる改造を進めている最中と言う。
ユピテルがバイク用のドライブレコーダーを開発
自動車用品などを製造・販売しているユピテルは、2輪車用のドライブレコーダー「BDR-1」を開発し、展示していた。3月18日に発売したばかりの新製品で、解像度は640×480ドットと320×240ドットの2パターンから選ぶことができ、視野角は左右120度、上下86.6度、フレームレートは1~30fpsの間で設定して撮影できる。記録メディアは32GBまでのSDカード。
加速度センサーとGPSを内蔵しており、映像だけでなく走行軌跡も記録可能。常時記録はもちろん、ボタン操作の前後を記録するイベント記録にも対応している。基本的に車両のバッテリーから電源供給して使用するが、内蔵バッテリーで1時間程度動作させることも可能。雨風にさらされる環境を想定し、IP57相当の防水・防塵性能を備えている。
バイクを業務で使用する事業者向けの製品としており、バイク便や郵便バイクなどでの使用を想定している。カメラの筐体自体はかなり大きく、ツーリングライダーなど一般ユーザーが使用するのはやや難しい製品だ。とはいえ、レンズ部がカバーで覆う形で交換可能になっていたり、レンズの角度調整も自由度高く行える機構になっているなど、数多くの車種や取り付け方法に配慮されているといった特徴もある。すでに大口の顧客からの引き合いがあるとのことで、普及次第では一般ライダー向けのよりブラッシュアップした製品も検討したいとしている。