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【連載】西川善司の「NISSAN GT-R」ライフ
第18回:120台のオーナーカーが集結したR35GT-Rオーナーズミーティングリポート
(2013/4/30 10:35)
去る4月14日、日本国内最大級のR35 GT-Rのオーナーズクラブ「R35 GT-R CLUB」が、愛知県内のテーマパーク「ラグーナ蒲郡」で全国ミーティングを開催した。。
今回はこのイベントについてのリポートをお届けしようと思う。
国内最大級のオーナーズミーティング開催
「R35 GT-R CLUB」は、一般ユーザーが有志で運営するR35 GT-Rオーナーズクラブとしては最大規模のクラブで、全国数カ所に支部があり、各支部ごとに定期的なミーティングを行っている。
4月14日に開催されたミーティングは2年ぶりの大規模な全国ミーティングということで、北は北海道、南は九州から、実に120台ものR35 GT-Rが会場となったラグーナ蒲郡に集結した。
ラグーナ蒲郡は、テーマパークとショッピングセンターが隣接した複合施設。ミーティングには家族で参加するが、オーナーがクルマ談義に花を咲かせている間、家族や子供たちはテーマパークで遊んだり、ショッピングセンターで買い物を楽しんだりといったことが可能なため、自動車関連のオーナーズミーティング開催地としては、人気の高い場所らしい。
オーナーズミーティングと言えば、筆者もRX-7時代に参加経験はあったが、ここまで大規模なミーティングへの参加は初めての経験だ。
会場も立派だし、120台ものR35 GT-Rが全国から集まったというのもすごいし、ユーザー企画イベントなのに日産自動車、NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)、ダンロップ(住友ゴム工業)、HKS、レイズなど、全16社もの企業がイベント開催に協賛しているのもすごい。会場外周には協賛各社のブーステントが立ち並び、普通の商業イベントなみの華やかさだ。
サーキットイベントではなく普通のオーナーズミーティングなので、走行会的な側面はなく、やることと言えばオーナー同士がお互いのGT-Rの気になる仕様について質問する、といったよくあるオーナーズミーティングと変わらない。ただ、普通のオーナーズミーティングと違って協賛企業ブースを見てまわれたり、あるいは日産関係者からコアな話を聞けるというのが、普通のオーナーズミーティングとは違う部分だろう。
また、イベント中盤には当選確率がかなり高い大抽選会やじゃんけん大会も開催された。協賛企業がゴージャスなので、その賞品もとんでもなく豪華なのだ。HKSからはGT-R対応の電装品が5個も提供されたり、Kansaiサービスからはカーボンパーツ、COBB RACINGからはコンピュータチューニングの新機軸商品「AccessPORT」が提供されたりと、ここでは挙げ切らない数十種類もの景品が用意されていた。
当選確率は、おそらく50%以上という感じで、ユーザー主導ミーティングとは思えない華やかさ。3月いっぱいでR35 GT-R開発責任者である水野和敏氏が日産自動車を退社されたが、水野氏が日産在籍中に最後にサインしたレアアイテム群も多数賞品として提供され、それらの当選者発表の時などは、オーナー達はかなり色めきだっていた。
ちなみにクジ運のない筆者は、何もあたらず。残念賞として自分にはゆかりのない某社の小さなステッカーをいただくに留まった……。
今回のイベントに参加して感動的だったのは、このGT-R連載がかなりオーナーの間で読まれていることが分かったこと。
それこそミーティング中、ぼーっとしている暇もないほど次から次へと「いつも読んでます」「次回のネタは何ですか」と話しかけられたのだ。中には「記事を参考にしてOBD2ポート対応のレーダー探知機付けました」とか「第1回の記事を参考にしてGT-Rを買いました」といった具体的なエピソード付きの感想を述べてくれるオーナーもいて、実に著者冥利に尽きる思いをさせてもらった。
また、前回の「ワイドミラー装着」の反響は予想以上に大きかったようで、実際に筆者のGT-Rの運転席に座り、視界の確認をされたオーナーが何人もいらっしゃった。
これからも、オーナー目線の小ネタ(笑)を提供していくことを心がけていこうと思った次第だ。
ミーティングに参加していたユニークなGT-Rたち
会場に集まったR35 GT-Rは120台にも及んだわけだが、ボディーカラーの割合はやはり白と黒が多かった。シルバーやガンメタはそれに次ぐ勢力だ。
今回のミーティングでは、筆者と同じ赤は8台、2011年モデルからの新色の青は7台と少なめ。120台に対する7~8台という割合は、メーカーが公表している出荷総数に対するボディーカラー割合公称値とほぼ一致するのが興味深い。
ちなみに、オーナー達の話では関東地区は白、関西地区は黒が多めとのこと。参加車両を見た感じでは、社外エアロ装着率は一般的なスポーツカー他車種と比較すると少ないという印象。筆者がかつて参加していたRX-7のオーナーズミーティングではノーマル然とした車体の方が少なかったが、R35 GT-Rではノーマルエアロの装着率が圧倒的に高い。ただ、GTウィングやカナードといったワンポイント外装チューニングはそれなりに見かける。
こうした傾向を踏まえた上で、会場で見かけた興味深いオーナーカーを何台か紹介したい。
●83Gさん号(和歌山県)
よくGT-Rは“ガンダムチック”と言われるが、83Gさんの愛車はガンダムと言うよりもザクを彷彿とさせる。そう、ボディーがつや消しのミリタリーグリーンのカラーリングとなっているのだ。
実はこれ、全塗装ではなくラッピングによるもの。しかも、83GさんがDIYで作業したものだというから2度驚かされる。元の車体は白だそうで、このラッピングを剥がせば純白のボディーが甦るのだ。
走行距離はすでに10万kmオーバーだが、エンジンは未だ快調とのこと。
●masaさん号(大阪府)
数少ないフロントバンパー交換仕様のmasaさん号。フロントバンパーはアブフラッグ(http://abflug.jp/)製のものだ。ボディーカラーのつや消しピンクはこれまたラッピングによるもの。なんでも83Gさんの指導で、masaさんもDIYでラッピングを敢行したのだとか。
ドアは跳ね上げ式。電装系にも力を入れていて、夜になるとフォグライトやLED自照式GT-Rエンブレムが煌々と輝く。昼も夜も派手なのがmasaさん号のモットーなのだ。
●DolphinRさん号(奈良県)
ヘビ柄の黒のR35 GT-R。こちらもラッピング仕様なのだが、ヘビ柄をボディー全体ではなく、ワンポイント的にあしらっているのが特徴的。背面には悪魔の装飾を形取ったGT-Rエンブレムが……。なんだか怖いヒトの車なのかと思いきや、オーナーはお子さんもいらっしゃる普通の若旦那風のパパさん。
実はこのGT-R、ほぼサーキット専用車として活用しているそうで、一度コースアウトした時にバンパーに飛び石を喰らってしまい、その傷隠しに施工したのがきっかけだったとか。以降はボディー保護のために飛び石が当たりやすい個所を重点的にラッピングしていると言う。
サーキット専用車ということでタイヤは純正ではなく、ハイグリップスポーツタイヤのハンコック「VENTUS R-S3」を履いていた。DolphinRさんによれば、ランフラットタイヤではないため、街乗りは若干ぐにゃっとした乗り味になるとのことだが、サーキットアタック時のグリップ性能は良好で、ラップタイムも向上したらしい。
●LJさん号(大阪府)
LJさん号は、Kansaiサービスでチューニングを受けているサーキット専用車。とは言えブーストアップ仕様に留めており、特別なハードチューニングを行っているわけではない。
外観上の特徴は、なんといってもド派手でセクシーな前後のオーバーフェンダー。ホイールは5本スポークの20インチADVAN RACING GTで、前輪が10J、後輪が12Jというワイドリム仕様。タイヤは前後輪ともに285/35 R20だ。いかにも速そうだが、実際LJさんは、この愛車で鈴鹿サーキットを2分20秒台で走り抜くというのだからとても速いのである。
●せ~たん♪さん号(東京都)
ランボルギーニ好きだったせ~たん♪さんは、入手したR35 GT-Rを大胆にもランボルギーニの純正色「Alancio Atlas(オレンジパール)」に全塗装。ここまでならばよくある「憧れストーリー」なのだが、せ~たん♪さんは昨年、このAlancio Atlas色のランボルギーニ「アヴェンタドール」を手に入れてしまったらしい。つまり、オレンジのスーパーカーの2台持ちということになる。何ともうらやましい……。
ミスターGT-R達にサインをもらう
今回のミーティングでは、宮川和明氏とお話できたことも幸運だった。宮川氏はR35 GT-Rの価格が1000万円未満にできたことに大きく貢献した人物。
具体的にはGT-Rを、日産栃木工場のスカイラインやフェアレディZの混流生産ラインに乗せることに力を割いた人で、言うなれば水野氏に並ぶもう1人の「ミスターGT-R」だ。水野氏と同様に、宮川氏も日産を退社したばかりで、今はユーザーと距離の近い交流を楽しんでおられるのだ。
会場には宮川さんのほか鈴木利男さんもおられたので、無理を言って自分のGT-Rのエンジンカバーにお2人のサインをしていただいた。
2013年モデルのGT-Rからは、エンジンを組み立てた「匠」の名を刻んだエンブレムがエンジンルームにあしらわれると言うが、筆者の2012年モデルにはそれがない。しかし、それに優るとも劣らぬ価値が出たと思う。
いつか水野氏とお話ができた際には、ここにサインをしてもらいたいものだ。
埼玉~愛知、片道300kmのドライブでも疲れないGT-R
今回、R35 GT-Rで、埼玉県の自宅からラグーナ蒲郡のある愛知県まで片道300kmのドライブを1人でしてきたのだが(筆者には助手席に座ってくれる相手はいない……)、これがまったく疲れなかった。行きも帰りも休憩なしの運転にも関わらずだ。
サスペンションモードは乗り心地重視の「COMFORT」設定。4時間超の連続長運転でまったく腰も痛くならず、疲労感がないのは予想外だった。
R35 GT-Rはスポーツカーに分類されると思うが、その名前にある「GT」はグランドツーリングの略。グランドツーリングとは、端的に言うと「高速長距離ドライブ」の意。まさに「名は体を表す」の定義通り、GT-Rはちゃんとグランドツーリング・カーとしての性能も高いということなのだろう。
それはそうと、今回の旅では新東名高速道路を使ったのだが、下り線の長泉沼津IC(インターチェンジ)手前の電光掲示板あたりに、オービス(自動速度取り締まり装置)が新設されていることに気がついた。「新東名はオービスがない」と言われてきたが、ついに設置されたようだ。新東名を走行する際には注意しつつ安全運転を心がけていただきたい。
西川善司
テクニカルジャーナリスト。元電機メーカー系ソフトウェアエンジニア。最近ではグラフィックスプロセッサやゲームグラフィックス、映像機器などに関連した記事を執筆。スポーツクーペ好きで運転免許取得後、ドアが3枚以上の車を所有したことがない。以前の愛車は10年間乗った最終6型RX-7(GF-FD3S)。AV Watchでは「西川善司の大画面☆マニア」、GAME Watchでは「西川善司の3Dゲームファンのためのグラフィック講座」を連載中。ブログはこちら(http://www.z-z-z.jp/BLOG/)。