ニュース
ブリヂストン、フルカラータイヤ印刷技術を使った「カラーサイドタイヤ」発表会
低燃費タイヤ「エコピア EP001S」、EV専用タイヤ「エコピア EV-01」に採用
(2013/6/12 19:33)
ブリヂストンは6月12日、フルカラータイヤ印刷技術「カラーサイド」を使用した「カラーサイドタイヤ」の発表会を開催した。発表会にはブリヂストン 生産技術開発担当 フェロー 川合誠一郎氏、ブリヂストンタイヤジャパン 消費財マーケティング本部長 長島淳二氏が出席し、概要を説明した。
カラーサイド技術を用いたタイヤは、まずは低燃費タイヤ「ECOPIA EP001S」に導入し、「ECOPIA EP001S COLORSIDE(エコピア イーピーゼロ・ゼロ・ワン・エス カラーサイド)」(サイズ:195/65 R15 91H)として7月1日に発売。続けてEP001Sの205/55 R16 91Vと、電気自動車(EV)専用タイヤ「ECOPIA EV-01」に「ECOPIA EV-01 COLORSIDE(エコピア イーブイゼロワン カラーサイド)」(サイズ:175/65 R15 84S、205/55 R16 91V)として10月1日に発売する。
今回発表されたカラーサイドタイヤは、フルカラータイヤ印刷技術「カラーサイド」を使用したもので、タイヤのサイド部をカラーリングすることでファッション性や独自性を高めようというもの。色付きゴムを使わず、インクを使った印刷とすることで、エコピア本来の性能である低燃費性能やウェットグリップ性能を維持しながらドレスアップを楽しむことができるのが特長となる。
印刷機械は、今のところ同社の東京工場に1機のみ設置しており、300本/日の生産が可能なほか、タイヤ1本に印刷する時間は約3分と言う。
このカラーサイドタイヤについて説明を行った川合氏は、「そもそも“タイヤは黒い”という常識があるが、1910年式T型フォードに使われていたタイヤは黒くなかった。その当時のタイヤは剛性が低かったが、1912年にカーボンブラックによる補強技術が生まれ、このころから一斉にタイヤは黒くなった」とし、カーボンブラックによる補強技術が生まれて以降、100年間はタイヤは黒いものという常識にとらわれていたと説明。
一方、ロゴなどが白くなっている「白サイドタイヤ」も存在するが、組み合わせられる黒いゴムには老化防止剤と呼ばれる薬品を含んでおり、老化防止剤が白い部分に溶け出してしまい、その老化防止剤が紫外線に当たると茶色になってしまう課題があった。そのため「白いゴム自体値段が高いうえに重くなり、見栄えのわりに失うものが大きい」(川合氏)。そこでタイヤにドレスアップ性を持たせる方法がないかと模索した結果、今回発表したフルカラータイヤ印刷技術「カラーサイド」を開発した。
黒いタイヤに色をプリントするには課題もあった。一般的に、オフィスや家庭で紙に印刷する際は白い紙に出力するので色がしっかり表現されるが、黒いタイヤに色をのせようとしても、黒ずんだ色彩になってしまう。そのため、まず白を印刷した上でカラーリング(赤、青、黄色の3色で表現)を施す工法をとった。
しかし、タイヤは先に説明した老化防止剤を使わなくてはならないため、紫外線が当たると白く印刷した個所が茶色くなってしまう。それを防止するため薬品が通りにくい透過抑制ゴム「ペインタブルゴム」を採用した。さらに、タイヤは1t以上の重量があるクルマを支えるとともに、「タイヤは50km/hで10分走ると約4000回転、1万km走ると約500万回転する。500万回回転しても印刷が剥がれないようにするには技術が必要。使われる環境も温度が-50~100度、湿度も最大100%、太陽光も影響を与える。こうした環境の中でどうなるか、何年も先にどうなるか評価できる技術が我々にはあるから実現した」と川合氏は自信を覗かせる。
これらはユーザーが自由にデザインできるカスタマイズにも対応する構えで、そのほかにも暗闇でも分かるタイヤやスリップサインが描かれたもの、ロゴデザインなどにも対応したいとしており、今後カラーサイドタイヤがビジネスとして成り立つかどうか反響を見るとともに、「これからタイヤはフルカラーの時代。それがこれから私たちが提案する次の景色」とし、説明を締めくくった。
なお、カラーサイド技術を用いたタイヤは、エコピアで2000円/本高くなるほか、使用状況による(路肩にぶつけてしまうと擦れて印刷が剥がれてしまう)ものの、「実際は2~3年でも問題ないと思うが、耐久性は1年程度を予想している」とした。