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首都高、羽田補修基地で災害時の緊急対応訓練
東日本大震災によって明らかになった課題やその対応策を盛り込む
(2013/9/2 00:00)
首都高速道路は8月30日、災害時の緊急対応訓練の様子を報道陣に公開した。首都高では、東日本大震災によって明らかになった課題やその対応策を盛り込んだ業務継続計画の第2版を2011年10月に制定。首都高の万一に備え、毎年この時期に訓練を実施している。
公開訓練を実施するのは今年で2回目で、会場は首都高羽田補修基地。午前中は災害対策本部設置訓練などを非公開で実施し、午後から実施された緊急対応訓練の様子が公開された。訓練は「段差発生対応」「車両横転対応」「路面陥没対応」の3つが実施された。
段差発生対応
段差発生対応は、地震によって首都高の路面に約20cmの段差が発生した状況を想定。パトロールカーに搭載した「段差解消ステップ」を使うことでこの段差を乗り越える訓練だ。段差解消ステップは、20cmまでの段差を車両が乗り越えられるようにするもので、木材を切断しただけの簡単な物。それだけにコストもかからず、小型で軽量でもあるのがメリットだ。首都高のパトロールカーはこれを1セット常備しており、いつでも利用できるようになっている。
車両横転対応
車両横転対応では、首都高上で横転した約5tのトラックを、エアジャッキを使うことで速やかに引き起こす訓練。エアジャッキは、空気の圧力だけで最大で36tの重量の車両を起こすことができる。クレーンで車両を引き起こす場合にくらべて場所を取らないのがメリットだ。特に首都高 山手トンネル内ではクレーンを使うスペースがなく、横転事故が発生した際はこの車両で事故対応をしているという。山手トンネルが開通してから現在まで13回出動しており、一番多いのが大橋JCT(ジャンクション)のループ状の道路だそうだ。
路面陥没対応
最後は路面陥没対応の訓練だ。災害によって発生した路面の陥没を土嚢と鉄板を使うことで応急処置し、車両の通行を可能にする。
訓練終了後、首都高速道路 代表取締役社長の菅原秀夫氏は、「首都高は首都圏だけでなく、日本の社会・経済活動にとって重要な路線。首都高では阪神淡路の震災後からさまざまな策を講じてきたが、それだけでなくこうした訓練をするのが非常に大事。今日は首都高の関連会社、子会社も訓練に参加してもらったが、みな良くやっていた。これからも国民の皆さんに安心して利用してもらえるよう、引き続き安全に取り組みたい」と挨拶。東京都心では37度を記録した猛暑の中実施された訓練であったが、それに関して質問がされると「むしろ、暑いとか寒いとか風が強いとか、悪天候のほうが訓練になる。かえってよかったと思う」と感想を述べた。