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プロスペック、夏のドライビングレッスンを富士スピードウェイで開催

プロが直接レクチャーしてくれる「2013 YOKOHAMA & PROSPEC Summer Driving Lesson」

今回の参加者で記念撮影
2013年9月1日開催

 プロスペックは9月1日、初級ドライビング技術の講習会「2013 YOKOHAMA & PROSPEC Summer Driving Lesson」を開催した。会場は富士スピードウェイのP2駐車場で、夏の講習会は2年振りの開催となった。横浜ゴムが後援をしている。

 プロスペックは毎年、長野県の女神湖において氷上でのドライビングテクニックを学ぶ体験会を開催しているが、このイベントはその夏期版、といったところ。参加者は普段乗り慣れた自分のクルマで参加し、プロのアドバイスを受けることができる。

プロスペック代表の日下部保雄氏

 今回のレッスンでは24名の参加者を募集したが、そのうち10名がリピーター枠、14名が一般申し込み枠となった。冬季レッスンにおいても毎回人気のイベントで、従来はリピーター枠であっという間に埋まってしまうことが多かったため、一般枠を設けたそうだ。

 開会に先立ち、プロスペック代表の日下部保雄氏は「今日はレーシングテクニックではなく、普段、街中などできれいな運転をするための基礎を学んでいただきたい。といっても、自分のクルマの限界が分かるようなカリキュラムも盛り込んでいるので楽しんでもらいたい」と挨拶した。

 会場では、3つのコースが体験できた。1つはアクセル、ブレーキ、スラロームを体験する特設コース1、2つ目はハンドリングの基礎を学ぶ特設コース2、3つ目は水がまかれた路面を使って定状円走行をするウェットハンドリングコースだ。午前と午後でそれぞれ1セットずつ体験するが、午前中は慣熟走行的に走行し、午後からはより具体的なアドバイスを受けながら反復練習をしていった。

特設コース1を担当した斉藤邦夫氏。全日本ジムカーナ選手権のシリーズチャンピオンを7度獲得
特設コース2を担当した岸剛之氏。全日本GT選手権やスーパー耐久シリーズの参戦経験を持つレーシングドライバー
ウェットハンドリングコースを担当した片岡良宏氏。WRC参戦のほか、1996年にはFIAアジア-パシフィックラリーのシリーズチャンピオンを獲得

 特設コース1はアクセル、ブレーキ、スラローム走行を学ぶコース。パイロンが置かれたコースをスラローム走行した後、Uターンをしてブレーキングの実践となる。スラローム走行は、最初に日下部氏がクルマの勉強を始めたころ一番勉強になったそうで、「一見単調だが、どこでハンドルを切り、一番パイロンに近づけるところでスピードを殺さずに走るか、横Gをどれだけかけないで走れるかを試してみてほしい」とアドバイス。単純ながらも学べるポイントは多いのだ。

 ブレーキングでは最初は全力走行、フルブレーキを体験。その後、一定の強さでブレーキを踏み続けて目標地点で停止するコントロールブレーキのテクニックも学んだ。ブレーキを踏み足すことなく目標地点で停止するのはなかなか難しい。特に筆者は当日スタッドレスで参加してしまったため、とにかく滑る。このコースを担当した斉藤邦夫氏からは「スタッドレスではABSをやたらと利かせるのではなく、ABSが働くか働かないかぐらいの強さでブレーキを踏んだほうが短い距離で止めることができる」とアドバイスをしてくれ、実際に試すとその通りの結果であった。

特設コース1。右奥からスタートし、スラローム走行をしたあと、手前でUターンしてブレーキングコースへ
パイロンを避けながらスラローム走行
加速したあとに急ブレーキをする参加者。目的の位置にきちんと止めるのはなかなか難しい
停車後は斉藤氏が丁寧にアドバイスをしてくれる

 特設コース2では、簡単なジムカーナのコースのようにコーナリングで構成されたコースを走行し、ハンドリングテクニックを学んでいく。午前中はコースを覚えながら教官からのアドバイスを受け反復練習。午後はタイムアタックでのトライとなった。

 タイムが計測されるとなるとどうしても熱くなりがちだが、このコースを担当した岸剛之氏は「とにかくコースアウトをしない、安全マージンを十分にとった中で、丁寧な走行を心がけてほしい」とアドバイスした。

ハンドリングコースを走行する参加者たち
各車両に岸氏が乗り込みコースを2周しながらレクチャーをしてくれる
午後はタイム計測も行った

 ウェットハンドリングコースは散水車が放水した定状円コースで、中心のコーンの周りを円を描きながら周回。参加者はタイマーを渡され1分ほどコースを回り続ける。一見単純だが、自分のクルマの限界を知ることができるコースで、どのくらいの速度になるとアンダーステア、オーバーステアになるのかというのを体験できる。

 このコースを担当した片岡良宏氏によれば、あまり近くを見ながらその都度ハンドルを切るような運転をすると、切りすぎたり速すぎたりするという。そこで普段より遠くを見ることを意識しながら運転をすることで脳からの反応がスムーズになり、クルマの挙動が乱れにくくなるという。たとえば左カーブを曲がる場合、ドアミラー付近から進行方向を見ることでスムーズにハンドルを切れるそうだ。

ウェットハンドリングコース。手前と奥の2レーンが用意された
散水車で水を散布
参加者それぞれにレクチャーをする片岡氏
定状円走行をする参加者。単純だが普段なかなかこのような走行をする機会はなく、皆コースを楽しんでいたようだ

 すべてのカリキュラムが終わると、最後はコースを再設定してのタイムトライアルで締めくくった。タイムトライアルでは、練習よりもタイムを縮めることができた参加者が有利になるというルールで、車種による有利不利がない(このルールは練習後に発表されたのでわざと手を抜いておくこともできない)。参加者達は当日に学んだことのすべてを出し切るように全力で楽しんでいる様子だった。

最後は参加者全員によるタイムアタックで締めくくった

 有料の講習会なだけに、参加者はクルマの運転に対して意識が高い人が多い。それでも普段の運転で自分では気がつかない「癖」をインストラクターは鋭く指摘してくる。参加者はそうしたアドバイスを受けながら1日かけて自らの運転技術に磨きをかけていく。午前中は荒い運転だった参加者も、午後には大胆ながらも丁寧で確実な運転になっていくのが面白い。

 次回は来年1月頃に毎年恒例の女神湖での氷上ドライブレッスンが開催予定だ。

(清宮信志)