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日本EVクラブ、CHAdeMO充電で日本を1周する「EVスーパーセブン急速充電の旅」開始
出発式には片山右京氏、菅原一秀経済産業副大臣も応援に登場
(2013/9/24 17:08)
日本EVクラブは9月24日、経済産業省・中庭駐車場で「EVスーパーセブン急速充電の旅」の出発式を開催した。
「EVスーパーセブン急速充電の旅」は、ベースとなるケーターハム スーパーセブンからガソリンエンジンと燃料タンクを取り外し、替りにモーターとバッテリーを搭載してEVにコンバートした“EVスーパーセブン”を使い、EVの急速充電器“CHAdeMO”で充電をしながら約2カ月かけて日本を1周するイベント。市販EVの登場から歳月も経過して認知度が高まったEVに対し、EVを所有していないユーザーにとってはまだまだ縁遠い存在である急速充電器についてアピールすることを目的に実施される。このイベントの進行状況は、日本EVクラブのホームページ内に用意される特設Webサイト(http://jevc.gr.jp/2013/)で逐次公開される予定。
旅の合言葉は「めざせ! 電欠なき国日本」
出発式では、日本EVクラブの代表である舘内端氏からイベント概要などを解説。このなかで舘内氏は、「これまでEVは、車両価格が高い、航続距離が短い、充電インフラが整備されていないという3つの課題から普及しないと言われてきました。しかし、少し事情が変わってきつつあり、車両価格はEVに使われる電池の価格が大幅に低下してきており、数年先には車両価格もかなり安くなると考えられます。航続距離ではアメリカのEVが1充電で500km走行するという記録を出していて、2015年近傍には一般的な使用に過不足のない1充電300kmのEVが登場すると考えられます。残る課題は充電インフラの整備。急速充電器をはじめとする充電施設は、EVユーザーにとっていわば砂漠のオアシスです。EVの購入を検討している人にとって充電インフラの整備は大きな安心につながり、EV普及が大いに促進されるでしょう。行政や自動車メーカー、関連企業などの努力で、急速充電器は現在1858基、普通充電器は3297基がすでに設置されています。日本は世界一充電インフラが整備された国といっていいと思います」とアピールした。
旅の行程ではこの充電インフラを使い、東京から北上して東北、北海道に渡り、10月14日に筑波サーキットで開催される「日本EVフェスティバル」の会場を経由して太平洋側から西日本に移動。四国の四万十川や九州の屋久島といった日本が世界に誇る自然のなかをクリーンなEVで走り、日本海側から出雲大社、京都、金沢などを通過して東京まで戻るという計画となっている。
このほかに舘内氏は、「現在の充電インフラでも日本を1周できる、実は充電インフラは整備されつつあると証明したいと思います。しかし、その一方でこれで十分かといえばそうではありません。この旅では、ここに充電器がほしい、こんな場所にこそ充電器が必要だ、といった情報も発信していきたいと考えています」と語り、このイベントの意義を説明した。
式典にはイベントを後援する経済産業省の菅原一秀副大臣が参加。このイベントの中心となる急速充電器を、経済産業省、国土交通省、環境省で力を合わせて整備を進めたこと。現在の安倍内閣が進める日本再興戦略でも、EVを含めた次世代自動車の販売割合を2030年までに現在から5~7割高める計画を進めており、経済産業省では目標達成に向けて今年度予算、補正予算、来年度予算で合計1005億円を用意。平成26年度の概算要求でも車両導入補助として300億円を計上していることなどを紹介した。
また、出発当日の東京都内での走行には、横浜ゴムが製作したEVコンセプトカー「AERO-Y」も同行してランデブー走行を実施。この車両のドライブを元F1ドライバーで数多くのEVレーサーを走らせた経験もある片山右京氏が担当。式典では「ボクは仕事柄、400km/h以上出る車両から単3電池相当の電力で走るモデルまで多くのEVを運転してきましたが、EVというのははっきりいえば新幹線です。これまでボクらがガソリンを一生懸命使って走らせてきたモータースポーツも、時代の潮流の中では機関車のように過去のものになっていくと感じます。環境問題や安全技術などを考えても、この流れは誰にも止められないと思います。EVの商品価値としては市販モデルがどんどん出て安心感が高まっていますが、ボクもパリ・ダカで砂漠のなかでガソリンスタンドを探していた1人でもありますし、実証実験で実際の使い勝手についてみなさんに安心感を与えることは大切なことだと思います」とコメントし、エールを送った。