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トヨタ自動車、レーシングドライバーも開発に携わった新型プレジャーボート「PONAM-31」
レクサスや「86」のデザイナーも参加するなど海での“FUN TO DRIVE”を徹底追及
(2014/10/17 13:57)
- 2014年10月10日発売
- 2970万円(税別)
トヨタ自動車は、新型ボート「PONAM-31」を開発し直営のトヨタマリン営業所と全国のトヨタマリン販売店を通じ10月10日に発売した。「PONAM-31」の価格は2970万円(税別。オプション、法定安全備品、進水諸経費、輸送費などを除く)。
発売当日、報道陣向けに行われた発表会に出席したトヨタ自動車常務役員 友山茂樹氏は、「四方を海で囲まれた海洋国家の日本は、陸が車でいっぱいになったらきっと海へ出て行く。だからトヨタは海のパッセンジャーカーを作り、新たなモビリティの可能性を追求すると同時に、お客様に夢や感動を届けたい。これがトヨタマリン創業の精神」と語った。
発表会では続いて新規事業統括部 部長 秦直道氏によるトヨタ マリン事業の概要と、新事業統括部マリン事業室 上田孝彦氏による新型ボート「PONAM-31」の詳細説明が行われた。
FUN TO DRIVE の追求と圧倒的な低価格の両立
新型ボートのコンセプトの柱は2点。1つは「トヨタらしいFUN TO DRIVE = 走りの楽しさ」を徹底的に追求したことで、企画段階から開発、製造に至るまでレーシングドライバーの飯田章氏がアドバイザーとして参加した。
2つめは「圧倒的な低価格」。トヨタ式の徹底した品質管理と改善活動により、目標を落とさずコストを下げ圧倒的な低価格を実現した。
自動車づくりのノウハウが凝縮された新型ボート「PONAM-31」
トップレベルの最高速を持ちながら上質な走りと圧倒的な広さを実現し、その走りは「ハンドルを切っただけできれいに曲がる」(飯田章氏)という「PONAM-31」は、「信頼性の高い自動車エンジン」「自動車技術を応用した制御システム」「高剛性アルミハル(ボディー)」と、自動車会社ならではのノウハウと技術によって生まれた、これからのトヨタ マリンの中核を担うモデルだ。
その走行性能を支えるパワーユニットは、海外仕様の「ランドクルーザー プラド」に搭載される1KD型エンジンをベースに開発された新型マリンエンジン「M1KD-VH」。最高出力260PSを誇る直列4気筒3.0リッターコモンレール式ディーゼルインタークーラーターボエンジンを2基搭載し、低燃費、低騒音、低振動を実現。NOx・PM排出を大幅に低減しつつハイパワー化も達成した。
デザインにおいてもトヨタのカーデザイナーが担当し、その流麗なスタイリングの随所にカーデザインのエッセンスが見てとれる。開発当初は数多くのレクサス車やトヨタのスポーツカー「86」のデザインを手がけた長屋明浩氏(現 ヤマハ発動機デザイン本部長)も参加していたという。
操船支援も充実している。難しい離着岸をジョイスティック1本でコントロールするトヨタドライブアシスト(TDA)や、海上での位置、風や潮流を判断し自動制御で一定の場所にアンカリングしてるかのように留まるトヨタバーチャルアンカーシステム(TVAS)は、自動車づくりで培ってきたノウハウを応用した制御システムだ。
築き上げた自動車販売ネットワークとのコラボレーションと新たな中古艇ビジネスへの取り組み
全国に49社もの販売ネットワークを持つトヨタ マリンは、顧客に船のユーザーも少なくないというレクサスディーラーと合同イベントを開催するなど、海の魅力を広める活動を行う一方で、ボートメーカーによる日本初の品質保証を付けたトヨタ認定中古艇による新たなビジネスを展開。これらの取り組みにより、トヨタはプレジャーボート市場の活性化と底辺の拡大を目指す。
世界の自動車市場に挑戦し認められたトヨタの品質、高い技術を投入し1997年よりスタートしたトヨタ マリン。そのテクノロジーは船づくりにおいても大きなアドバンテージを持っていると自負する友山茂樹氏は、「船には車が及ばない程長い歴史があります。そこで積み重ねられた歴史や(車と違う)オーナーのライフスタイルは、テクノロジーだけでは決して達成できない世界観があります。まだ歴史の浅いレクサスブランドにとってそこから学ぶべきものもあります」と語った。今後のマリン事業は、プレジャーボートの新しい魅力を提供すると同時にトヨタの車に与える影響も少なくないかもしれない。
こだわり続けた「クルマ屋が考えるマリン」「トヨタらしいFUN TO DRIVE」を目標とし、開発メンバーの情熱と知恵の集大成が「PONAM-31」なのだ。