ニュース

NEXCO中日本、東名阪道、伊勢湾岸道、新名神を結ぶ四日市JCTの夜間橋梁架設工事現場を公開

橋長51.46m、重量300tの橋桁を国内最大級のクローラークレーンで架設

2014年11月8日開催

東名阪道と伊勢湾岸道を結ぶ四日市JCTの夜間橋梁架設工事現場。伊勢湾岸道路を正面に見て、右が伊勢方面、左が名古屋方面。カメラに向かって新名神高速道路 四日市北JCT方面となる
工事現場の公開に先立ち、中日本高速道路 四日市工事事務所 河野博通氏が四日市JCT、新名神の概要などについて説明を行った

 NEXCO中日本(中日本高速道路)は11月8日、東名阪自動車道と伊勢湾岸自動車道を結ぶ四日市JCT(ジャンクション)の夜間橋梁架設工事現場を報道陣に公開した。

 今回の四日市JCTの工事は東名阪道、伊勢湾岸道に加え、2015年度末に完成予定の新名神高速道路 四日市JCT~四日市北JCT(4.4km)を接続するためのもの。この工事を行うため、11月8日22時~9日6時まで四日市JCTを通行止めとし、最大で1250tの重量物を吊り上げることが可能な国内最大級のクローラークレーンで橋長51.46m、幅約9m、架設重量約300tの橋桁を架設する様子を見学することができた。見学当日はこれに加え、橋長23.16m、幅約9m、架設重量約90tの橋桁を所定の位置へ移動する作業も行われた。また、11月29日22時~30日6時にも通行止めを行い、通行止め1日目に所定の位置に移動した橋桁を鉛直ジャッキで吊り上げる作業が行われる予定になっている。

NEXCO中日本は新名神高速道路の四日市JCT~亀山西JCT間を管轄。四日市JCT~四日市北JCT(4.4km)間は2015年度末に、四日市北JCT~亀山西JCT間(23.4km)は2018年度中に完成予定となっている
四日市JCTのジオラマ。円形のタービン型4枝JCTとなる四日市JCTは、東名阪道、伊勢湾岸道、新名神を結ぶ役割を担う
今回の工事で重要な役割を担った、国内最大級となるクローラークレーンの1/50スケールモデル。1/50スケールだが、タバコの箱と比べても相当に大きい

 新名神は、日本における道路交通の大動脈となる東名高速道路、名神高速道路と並行して走る自動車道路。新名神の運用は一部ですでに開始されているが、東側に位置する四日市JCT~亀山西JCT間(27.8km)においてはまず四日市JCT~四日市北JCTを2015年度末までに完成させ、その後2018年度中に四日市北JCT~菰野IC(インターチェンジ、仮称)~鈴鹿PA(パーキングエリア、仮称)スマートIC~亀山西JCTを完成させる予定になっている。この四日市JCT~亀山西JCT間の開通により、東名阪道の渋滞緩和が期待されるとともに、四日市JCT~亀山西JCT間の所要時間が東名阪道を使用したときと比べ、およそ5分ほど所要時間が短縮されるとの効果が見込まれている。

 今回の工事について説明を行った中日本高速道路 四日市工事事務所 河野博通氏によると、四日市JCT~亀山西JCT間は6車線(片側3車線)分のキャパシティを持つが、まずは4車線で運用し、その後交通量などを鑑みながら必要に応じて6車線化も検討するという。また、四日市JCT~亀山西JCT間の特徴として、円形のタービン型JCTとなる四日市JCTをはじめ、エクストラドーズド橋と呼ばれる橋桁の外に補強材を配置した構造の菰野第二高架橋、茶畑に囲まれる鈴鹿PAスマートIC、鈴鹿PAスマートICと亀山西JCTの間に位置し、4.1kmという三重県内最長のトンネルとなる野登トンネル(仮称)などが河野氏から紹介された。

日本に3台しかないという国内最大級のクローラークレーンが橋長51.46m、重量300tの橋桁を持ち上げた。今回の橋桁は施工業者の1つ、JFEエンジニアリングの津製作所で作られた部品が使われ、工事現場で組み立てが行われている

 今回の工事における見どころの1つとして、建設用機材のリースなどを行っているミックが所有する日本に3台しかないという国内最大級のクローラークレーン(Demag CC 8800)が使われたことが挙げられる。クレーン自体の組み立てに約8日間、クレーンの各部品の運搬に大型トレーラー76台を要するというこのクレーンは、地面からクレーン先端まで約80m、クレーンの総重量約1700tというダイナミックなスペックを持つ。キャタピラでの走行が可能で、設置面積が広いため整地されていない斜面や地盤が軟弱な場所での作業にも適するという。

 当日はこのクローラークレーンで橋長51.46m、重量300tの橋桁を約20mの高さまで持ち上げるとともに、約30mの距離を旋回、その後約4m下げて位置調整する様子を見学できた。重量300tの橋桁といえど、最大で1250tを吊り上げることが可能なクローラークレーンをもってすれば想像以上にスピーディに作業が進む。その様子を見ていたNEXCO中日本関係者からも驚きの声があがっていた。

最大で1250tを吊り上げることが可能なクローラークレーン「Demag CC 8800」。キャタピラでの走行が可能で、設置面積が広いため整地されていない斜面や地盤が軟弱な場所での作業に適するという
橋長51.46m、重量300tの橋桁が架設された
現場を引きで見てみた。橋長51.46m、重量300tの橋桁が徐々に持ち上がっていくのがお分かりいただけるだろうか
クローラークレーン後方の重石にはタイヤが付いており、タイヤの角度を変えて約30mの距離を旋回した
架設がほぼ完了したところ。この後、橋桁の位置の微調整が行われた

(編集部:小林 隆)