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アイシン精機と千葉工業大学、4つの異なるモードにトランスフォームする3輪モビリティ「ILY-A(アイリーエー)」を公開
ロボット技術を応用し、自動ブレーキ機能などを搭載。5年以内の市場投入を目指す
(2015/3/18 00:00)
- 2015年3月17日発表
- 千葉工業大学 東京スカイツリータウンキャンパス
自動車部品メーカーのアイシン精機と千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター「fuRo」は3月17日、東京ソラマチ(東京都墨田区押上)8階にある千葉工業大学 東京スカイツリータウンキャンパスで、利用シーンに応じて変形する3輪パーソナルモビリティ「ILY-A(アイリーエー)」の発表会を開催した。
「ILY-A」という名称は「Innvative Life for You」に「Active」を付けて略したもの。アクティブな生活スタイルをサポートするパーソナルモビリティという意味が含まれたものとなっている。シニアカーや電動アシスト自転車といったジャンルを含み、若者からアクティブシニアまで幅広くターゲットとしている。
ロボットや知能化技術を使った試作モデルの開発は千葉工業大学「fuRo」が行い、デザインや製品版の開発、量産をアイシン精機が行い、「ILY-Aプロジェクト」として連携して手がけていく。
ILY-Aは電動で動く3輪形状で、大きさは全長965mm/全幅440mmとほぼベビーカーと同じサイズ。最高速度は10km/hで、一般的な使い方であれば1日程度はバッテリーで走行できるとのこと。まだ試作段階ではあるが、より小型化に、よりバッテリーが持つことを追求し、市場に投入したいとしている。
その特徴は、利用シーンにより4つの異なるモードに変形させられること。上に座って乗車して移動する「ビークル」モードを主軸に、片足で乗り蹴る動作でスピードを加える「キックボード」モード、本体に荷物を載せて手で押して歩く「カート」モード、本体を畳んで2輪のみでキャリーバックのように引きずる「キャリー」モードがある。
こういったシーンごとで気軽に持ち出すことができ、さまざまな用途に対応できる電動補助付き近未来モビリティの「次世代の足」を提案するものとしており、千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之氏は「あらゆる世代の生活シーンをサポートし、行動の範囲を広げることのできるILY-Aというパーソナルモビリティで、次世代の生活のあり方をイノベーションしたい。人とモビリティのつきあい方が変わっていく」と言及した。
さらにILY-Aはロボット技術を応用した、知能化された安全機能と自己診断機能、操縦支援の機能を持っている。
知能化安全機能では、ハンドル下部にあるレーザーセンサーを使ったリアルタイムマッピングにより、周囲の状況を最大5mの範囲で判断する。人やモノが前方に急に現れても自動ブレーキがかかり、障害物の多い場所では自動減速し低速走行となる。
知能化自己診断機能では、ILY-A自身のコンピュータや通信システム、駆動系などを常時監視し、異常を感知した場合には非常停止モードに入る。
操作支援機能では、キックボードモードで人が押しているかどうかを判断し、車輪の動きを適切になめらかに制御したり、カートモードでは動きが逆向きになるため、それにならって操作用ジョイパッドの左右が入れ替わるなどといった支援をしてくれる。前方の脚部にはフルカラーLEDバーが埋め込まれていて、障害物を感知した時には赤く点滅して光るなどモードに応じた表示をするため、利用者が直感的に分かりやすい作りになっている。
まだプロトタイプの段階と言いながらも完成度はとても高く、自動ブレーキ動作時も安定していて、誤動作は1度もなくスムーズに停止していた。価格設定もまだ未定で、公道走行には法的な問題もクリアする必要があると思われるが、アイシン精機 常務役員 江口勝彦氏は「可能な限り急いで、5年以内には市場投入を目指したい」と発言していた。
●ILY-A走行動画
なおILY-Aは、4月14日~19日に行われる世界最大のデザインエキシビション「ミラノデザインウィーク2015」のアイシン精機ブースに出展され、デモンストレーション走行を行うことが決まっている。
また、会場となった東京ソラマチ8階にある千葉工業大学 東京スカイツリータウンキャンパスには、福島原発復旧支援で投入されたレスキューロボットや各種ヒューマノイドロボット、火星探査船操縦シミュレーターなどが千葉工業大学の最新研究結果体感型アトラクションゾーンとして展示されていて、入場無料で観覧できる。最新ロボット技術など先端技術に興味があるならぜひ立ち寄っていただきたい。