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エスペック、国連規則に対応する世界初の「バッテリー安全認証センター」開設

テュフズードとの提携で9項目の安全性試験から認証申請までワンストップで実現

2015年9月17日開設

「バッテリー安全認証センター」はエスペック 宇都宮事業所の敷地内に新設された

 エスペックは9月17日、栃木県宇都宮市にある同社の宇都宮事業所内に世界初の施設となる「バッテリー安全認証センター」を開設。同日に開所式を執り行ったほか、来賓や報道関係者向けの見学会を行った。

 開所式に伴い実施された説明会では、最初にエスペック 代表取締役社長 石田雅明氏が登壇。1947年から始まる同社の歴史のほか、現在の会社概要、新たに開設されたバッテリー安全認証センターの果たす役割や今後に向けた狙い、さらに2014年10月に業務提携した独テュフズードを紹介し、両社が協力してバッテリー安全認証センターを開設した意義などについて語った。

開所式のなかで、スライドを使って新しいバッテリー安全認証センターなどについて解説
エスペック 代表取締役社長 石田雅明氏

 エスペックは日本で初めて「環境試験機器」を生み出したメーカーとして知られ、工業製品や電子機器などが日常的な環境のなかで受ける温度や湿度、気圧などの変化、ホコリや光などがどのような影響を与えるかについてテスト、計測する「環境試験」を取り扱う会社として、環境試験機器の世界シェア30%、国内シェアは60%以上となっている。また、機器の開発と販売に加え、日本国内に5個所、中国に2個所の試験所を展開。工業製品や電子機器などのメーカーから環境試験の受託試験サービスも行っている。

 また、2013年11月には宇都宮事業所内にハイブリッドカーやEV(電気自動車)などにも多く使われている二次電池やパワー半導体、太陽電池などに特化して環境試験を行う「エナジーデバイス環境試験所」を開設。普及が進むハイブリッドカーやEVで利用される二次電池などの電子機器の環境試験により、故障解析や信頼性のチェックなどを行っている。

 この日に開設されたバッテリー安全認証センターは、2013年に国連欧州経済委員会(UN ECE)で改正された「バッテリー式電気自動車に係る協定規則」により、来年となる2016年7月15日以降に新規認可されるEVなどは国連規則「UN ECE R100-02.PartII」に適合することが義務づけられ、日本もR100-02採択国としてこれに追従することになっている。この国連規則の効力発生に向け、自動車メーカーやバッテリーメーカーなどは「UN ECE R100-02.PartII」で定められた安全性試験を行い、認証を取得する必要がある。今回開設されたバッテリー安全認証センターはこの流れを受けたものとなっており、世界で初めて国連規則に対応し、安全性試験から認証申請までをワンストップサービスで請け負える施設となっていることが石田氏から説明された。

エスペックは宇都宮事業所のほか、神戸、豊田など国内5個所、中国の上海、蘇州の2個所に試験所を持っている
試験方法の研究開発や国際規格化、試験機器の開発・製造、委託試験の実施など、製品の品質チェックに関するさまざまな分野を手がけている
環境試験は製品が使われる場所に応じて内容が変化。それぞれに対応できるノウハウを持っていることも重要とのこと
ハイブリッドカーやEVの普及により、需要が高まった自動車向けのバッテリーの安全性向上が求められるようになり、UN ECEで9種類の試験項目を設定した新しい国連規則が制定されている
エスペック 常務取締役 石井邦和氏

 バッテリー安全認証センターと国連規則「UN ECE R100-02.PartII」の詳細については、エスペック 常務取締役の石井邦和氏が解説を担当。石井氏は、来年7月からスタートする「UN ECE R100-02.PartII」が「外部短絡」「温度サイクル」「圧壊」「振動」「衝撃」「過充電」「過放電」「加熱」「耐火試験」の9項目を安全に関わる要件として設定しており、新しいバッテリー安全認証センターでは各項目をしっかりと、安全を確保しながら試験が行えることを強調。

 また、テュフズードとの業務提携によるシナジー効果で、バッテリー安全認証センターの試験設備にテュフズードがバッテリー試験実績で培ってきた安全性に対するノウハウが生かされ、さらに認証や認可における申請のノウハウでワンストップサービスが実現できたと紹介。1つの場所で9項目すべての試験が実施可能であり、そのまま認可申請も行えるサービスを提供することで、メーカーは短期間に低コスト、低リスクで今後のハイブリッドカーやEVの開発に取り組めるようになると語っている。

 さらに石井氏は、バッテリー安全認証センターでは「UN ECE R100-02.PartII」の試験メニューに加え、メーカーからの要望があれば「UN38.3」「GB規格」といった国際規格の試験も同時に行えると解説している。

バッテリー安全認証センターはさまざまな試験エリアが集まる宇都宮事業所の一角に建設された
「耐火試験室」以外はL字型の建物内に設置され、とくに危険性が高い過充電・過放電、圧壊といった試験はテュフズードのノウハウで作られた「安全試験室」で実施。さらに消火設備などを隣接させている
試験開始から認可申請まで、問題なくスムーズに進めば試験で約1カ月、認可申請でさらに約1カ月の計2カ月ほどで完了するとのこと
大容量化が進むリチウムイオンバッテリーの搭載車が増えてきたことで、安全性の確保が社会から要求されるようになった
試験を外部のエスペックに依頼することでメーカーは車両開発に専念でき、トータルコストを抑えることができるとの説明
「UN ECE R100-02.PartII」に適合する試験所としては世界初になるという
「UN ECE R100-02.PartII」の概要
バッテリー安全認証センターでは試験や認可申請に加え、技術アドバイスもできるとしている
「UN ECE R100-02.PartII」の試験だけでなく、ニーズに合わせてさまざまな試験を1度に実施できることもバッテリー安全認証センターの強み
バッテリー安全認証センター内部の見学風景

 開所式と説明会の終了後には、約1時間にわたってバッテリー安全認証センターの内部を紹介する見学会が実施された。一部区画は試験を請け負うクライアントとの契約などの関係で非公開となったが、各所で解説員から試験機器の特徴や試験内容の要点などが紹介された。

エスペック製の圧壊試験機。最大荷重は1000Nmとなっており、プレス面にはさまざまな形状の「圧壊面」を取り付けて試験内容のアレンジが可能
圧壊試験を行う「安全試験室」は、テュフズードのノウハウを生かしたぶ厚い衝撃耐圧コンクリートの側壁を設置
「安全試験室」のとなりには計測室を用意。ガラス窓から内部の状況を確認できるようになっている。
「安全試験室」の天井部分には、爆発などが起きた場合を想定して4個所の大型ベントを用意
水平移動による瞬間的な衝撃や持続的な振動による影響を測定できる「2軸切換式振動試験器」。テーブルサイズで大型試料に対応。こちらは国際計測器の製品
二次電池の釘刺し試験を行うエスペック製の「大型釘刺し試験機」。異物による貫通や荷重による変形で内部短絡が発生したときの安全性を評価する機械となっている
航空機で運搬された場合など、圧力が低い状況下での変化を観測できる減圧試験機器
導電性のもので正負極間が接触して短絡した場合の安全性をチェックできる「外部短絡試験機」。車載用の大型電池パックにも対応し、排気、消化、ガス検知などの機能を持つ
対応する温度帯は-60℃~180℃で、-40℃~85℃の温度変化を30分以内に行える「大型冷熱衝撃装置」
耐火性試験室のみ屋外に設置されている
バッテリー安全認証センターのエントランスエリアには、エスペック製の各種製品が展示されていた

(編集部:佐久間 秀)