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UL Japan、2016年の事業戦略を発表

株式会社UL Japan 代表取締役社長の山上英彦氏
2016年2月24日 発表

 UL Japanは2月24日、東京 丸の内の同社本社で報道関係者向けの事業戦略説明会を開催した。

 製品安全規格である「UL規格」の認証をはじめ、製品や部材が各国の法令規制に適合するようにサポートを行なうことなどが主な業務となる同社は、2016年もメーカーが海外進出する際のコンプライアンスソリューションをトータルでサポートする会社を目指すという。

 同社は従来、電気機器メーカーが北米のマーケットに進出する際、UL規格の認証を受ける手伝いをすることがメインの業務だった。現在もその業務は継続しているが、北米以外が対象となる仕向地の多様化への対応も重要な業務となっている。

 具体的には、各国の規制対応のソリューションを拡充する。UL Japan 代表取締役社長の山上英彦氏は「1国の規制をキープしていけば、生産活動をサポートできる時代は終わってる」と述べ、メーカーが海外に進出する場合、製品輸出でも海外生産でも、製造地や仕向け地の法令に合致していることが必要だと説明した。

 そして単に法令遵守と言っても、法令や規制が複雑化して、さらに新しい規制が次々に生まれる現在では、法令適合させることだけでも非常に複雑。進出する国が1つ増えるだけでも確認作業は多大なものとなるため、UL Japanが提供するソリューションによってそれをサポートしていく。

 特に2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本は東京を中心にさまざまな技術のショーケースとなることが見込まれている。日本のリーディングテクノロジーは、自動車関連では水素の活用や自動運転などの技術があり、世界に展開するためのサポートも行なっていく。

2015年の主な実績
2016年の課題
2016年の事業戦略

 自動車関連の業務はワイヤレス機器の製品導入で、10年以上前のキーレスエントリーやイモビライザーからスタートした。現在はドイツの自動車メーカーの車載機器向け規格で試験をサポートし、各社の認定試験所となっているなどEMC業務が成長。さらに、スマートフォンなどの電子機器がいろいろなプロトコルでクルマと接続され、それがインターネットにつながることに発展している。

 同社では車載機器向けのEMC業務を引き続き重要項目としながらも、新たにモバイルネットワークの事業者に対して、車載機器が相互に機能するかどうかのインターオペラビリティの試験をする「NACサービス」を国内で展開する。

 また、2020年や2025年に環境規制やCO2排出規制が大きく変わることが予定されており、これを受け、クルマの電装品や軽量化への取り組みの変化が見込まれる。軽量化は材料が変更になることがあり、新しい材料の採用となれば各国の法令に適合するかの確認が必要。電装系では無線機器の増加が見込まれ、相互干渉やインターオペラビリティの確認なども含めたEMC試験が重要となってくる。

 ただし、車載用機器のEMC試験を行なっている鹿島EMC試験所の受け入れ容量はすでに飽和状態。2016年は受け入れ数を増加させるため、設備の拡充や施設そのものの増設も視野に入れ、容量拡大を進めていくとした。

2016年の事業施策
グローバルの活動サマリー
戦略領域における体制強化

(正田拓也)