写真で見るフィアット「500C」


 フィアット500の現代版リメイクとなる新型500が登場して2年。新たなラインナップとして500Cが登場した。ルーフをソフトトップとし、往年の500のオープントップモデルのイメージを再現して、オープンエアードライビングを楽しめるモデルとなっている。車名についた「C」はキャンバストップ、カブリオレ、コンバーチブルなどを意味すると言う。

 ルーフは電動で開閉し、室内側からは天井前方にある押しボタンスイッチで開閉が可能。開き方は全開のほか、リアウインドーを残した位置で止めることもできる。リアウインドーを残した位置では全開時よりもルームミラーによる後方視界を確保しやすい。閉めるときは全閉の少し手前で一時停止し、挟み込みを防止する構造となっている。

 ソフトトップだがリアウインドーは耐久性に優れたガラス製。通常の金属ルーフからの重量増加は40kg。ボディサイズは3545×1625×1505mm(全長×全幅×全高)で、エンジンは「500C 1.2 8V POP」が直列4気筒8バルブSOHC 1.2リッター、「500C 1.4 16V LOUNGE」が直列4気筒16バルブDOHC 1.4リッターとなっている。MTベースでクラッチ操作や変速を自動化したATモード付5速シーケンシャルトランスミッション「デュアロジック」を介して、前輪を駆動する。

 ルーフ以外はリアゲートの小型化、シートやホイールのデザインが異なる程度でベースの500の同等グレードとほぼ同じ。外装色をダッシュボードにあしらった内装や、純白の本皮巻きステアリングなどもそのままだ。

 なお、撮影車は限定車の「500C 1.4 16V LOUNGE SS」。通常の「500C 1.4 16V LOUNGE」にレザーシートを組み合わせ、3層のパール塗装「ファンクホワイト」とブラックのソフトトップとしている。

ソフトトップのオープンモデル「500C」。3層のパール塗装「ファンクホワイト」が独特の輝きを放つ。クローズ状態ではつや消し黒のソフトトップがクローズドルーフモデルとの見かけ上の差となる

 

フルオープン状態では、ルーフが大きく開き、上空への開放感はオープンボディに匹敵する。ハイマウントストップランプはオープンでも有効だが、畳んだソフトトップはルームミラーの視界を遮ってしまう

 

リアウインドーを残して頭上だけ開けることもできる。フロントシートの開放感は全開とそれほど変わらず、後方視界もクローズ状態と変わらない

 

フロントマスクは旧FIAT500のイメージを受け継いだもの。メッキのバンパーモールなどが特徴ライトは上からウインカーとロービーム、ハイビーム、フォグライト“ヒゲ”とも呼ばれるメッキモールと中央のFIATのオーナメント
スモールライトだけの点灯ができないのが国内仕様のフィアット500。スモールライト自体はハイビーム側の中にあって、ロービームと同時点灯しているサイドのウインカーは小さい楕円型のものを装備フロントウインドー。派手な内装色だが、ダッシュボード上面が濃いグレーのため、映り込みが邪魔になることはない
サイドミラーはメッキ仕上げとなるドアハンドルもメッキサイドモールにも“500”のロゴが入る
“500C”であるロゴは外見ではBピラーのみ入るリアのナンバープレート上のガーニッシュもメッキ仕上げテールライトの配置は左右非対称。ブレーキ、テール、ウインカーは左右対称だが、運転席側にリアフォグ、助手席側がバックライトとなる。右ハンドルなのでこちらがリアフォグ
メッキパーツとなるバンパーのモールフィアットのオーナメント。新型500のデビューに合わせるかのように近年赤ベースのものに変更された。以前は青がベースの丸型1.4リッターモデルはマフラーエンドにステンレスのカッターが装着される
フューエルリッドは手動で開閉。キャップにキーを付けてロックを解除する。給油中はリッドのフックにキャップを引っ掛けるエンジンは1.4リッター。カバー上面に「100HP」と刻まれ100PSであることを主張する
タイヤは前後とも195/45 R16とアルミホイールが標準装備。1.4リッターエンジン搭載車はリアもディスクブレーキとなる

 

布地によるソフトトップは2つのオープンスタイルが選べる。フルオープンの開放感はオープンカーに匹敵
リアウインドーはガラス製。熱線も搭載しているフルオープン時でもハイマウントストップランプは機能する。この下にリアウインドーが水平に格納される

 

ダッシュボードが外装と同じカラーとなる。「500C」のロゴもあるステアリングホイールはホワイトの本革巻き。オーディオのサテライトスイッチも装備する上からエアコンの吹出口、オーディオ、エアコン、シフトレバーとなる
ATモード付5速シーケンシャルトランスミッション「デュアロジック」のシフトレバー。前進へはブレーキを踏んで「+」に1度倒すドリンクホルダーはフロントに2つ。代わりに灰皿を装着することもできるシフトレバーの運転席側横にはカードなどが入る小物入れがある
左側のコラムスイッチはウインカーとヘッドライト。スモールライトポジションがないので、1段ひねるとライトが点灯する。ハイビームはレバーを前倒し右側のコラムスイッチはワイパー操作と先端にトリップメーターの操作ボタンがある室内側のドアハンドルはメッキ仕上げ
クラッチ操作のないデュアロジックなので2ペダル。AT限定免許でも運転可能膝下の足を保護するニーエアバッグが標準装備される
真っ赤なレザーのシート。ヘッドレストがホワイトとなる。シート表皮はフロントマスクのオーナメントと左右に突き出たモールをイメージした模様がエンボス加工される晴天下では赤と白の内装のコントラストが映える
ドア内張りにも赤があしらわれるグローブボックスはフタがないように見えるが、上に小さなフタ付きの収納がある
オーディオはラジオとMP3対応のCDプレーヤー。その下にはハザードランプスイッチ。その左側はシフトスケジュールとパワーステアリングのアシスト量を変化させるスポーツモード、右側はフロント/リアフォグのスイッチCDボタンを押すとAUX入力が表示されるが、日本仕様ではAUXは用意されていないと言う1.4リッターモデルはエアコンがオートになる。その下の左右のスイッチは左右のパワーウインドー
ルームミラーとその根元のガラスに貼り付けてあるのが三菱電機製の一体型ETC、ルームランプは左右の部分を押すと点灯モードが切り替わる。その上のスイッチはソフトトップの開閉左右のバイザー裏にはミラーが備わるキーは溝のあるタイプ。リモコンでロックの施錠/解錠とトランクの解錠ができる
定員が4名でシートも4名分。オープンモデルだがリアの居住性は通常モデルとほとんど変わらない
フルオープン、上面のみオープンでは後席の光の入り方が異なる

 

トランクリッドは下半分だけが開くため開口部は小さめスペアタイヤはトランクルーム下に応急用が収まる。工具セットもホイール内に収納される
シートは50:50の分割可倒式トランクスルー機構を備える
インパネ内には表示の切り替えボタンがある。ライト点灯時は手動で光軸を上下するボタンも兼ねる通常時のインパネ。外周がスピードメーター、内周がタコメーター、左のバーグラフが燃料、右のバーグラフが水温。液晶上部がシフトポジションでAUTOモード時は横に「AUTO」と小さく表示される。その他は時刻、日付、走行距離
メーター内のメニューボタンを押すと設定ができる助手席エアバッグの切り替え
整備時期の表示速度警告ブザーの設定。任意の速度でブザーを鳴らすことができる2つめのトリップメーターの設定
オーディオの表示の設定。設定すると日付に替えてオーディオの状態が表示される言語設定も可能。残念ながら日本語には設定できない。よく分からない言語にすると、元へ戻せなくなるので注意

 

(正田拓也、Photo:鈴木広一郎)
2009年 10月 8日