写真で見るフォルクスワーゲン「トゥアレグ」


 フォルクスワーゲン「トゥアレグ」は、同社初の本格プレミアムSUV。日本では2003年8月から販売されていたが、この2月にモデルチェンジした新型の販売を開始した。

 ボディーサイズは従来モデルより、全長+45mm、全幅+15mm、全高+10mm、ホイールベース+50mmと、ひとまわり大型化。これにより生まれた余裕は室内空間の拡大に充てられ、快適性が高められている。その一方で、車重は最大約70kgの軽量化を達成しつつ、ボディー剛性が約5%ほど高められており、操縦性や燃費、安全性といった面にも寄与している。

 スタイリングは水平基調のグリルやLEDを使ったヘッドライトなど、ここ最近の同社の流れを汲んだもの。ひと目でフォルクスワーゲンブランドのモデルと分かるキャッチーな造形だ。

 エクステリアやインテリアの一新も目立つ部分ではあるが、注目したいのが従来のV型8気筒エンジンに代わって登場した、同社初のハイブリッドシステムを搭載した「トゥアレグ ハイブリッド」。これは3リッターのV型6気筒DOHC直噴スーパーチャージャーエンジンと、1基のモーターを組み合わせたパラレル・ハイブリッドシステム。モーターはエンジンと新開発の8速ATの間に組み込まれ、必要に応じて乾式油圧クラッチにより接続/切り離しが行われる。

 これによりシステム合計の出力は279kW(379PS)、580Nmを発揮。0-100km/h加速が6.6秒、最高速度240km/hという高い動力性能を獲得しながら、10・15モード燃費はアイドリングストップシステムなどとの組み合わせにより13.8km/Lを実現している。

 また、従来通り3.6リッターのV型6気筒エンジンを搭載した「トゥアレグ V6」もラインナップしており、同社が提唱する「ブルーモーションテクノロジー」により高効率化が図られている。具体的にはStart/Stopシステム(アイドリングストップシステム)、ブレーキエネルギー回生システムなどが採用されており、その結果10・15モード燃費は9.5km/Lと約38%もの燃費向上を果たしている。

 4WDシステムは、「ハイブリッド」と「V6」で異なっている。前者には比較的ライトな使用をイメージした「4MOTION」を、後者には従来モデル同様にヘビーデューティーなシチュエーションにも対応可能な「4XMOTION」を搭載。

 「4MOTION」はオートロック式のトルセンLSD式のトランスファーを持ち、4輪すべてにエレクトロニックディファレンシャルロック(EDS)を装備。路面に応じたトルク配分を行うことで、高いトラクション能力を発揮する。一方の「4XMOTION」はセンターおよびリアデフロックやローレンジまで備えた本格派。オンロード走行時は前後にトルクを50:50で配分、路面状況に応じて電子制御のセンターデフにより100:0から0:100まで変化させ、最適なトルクを路面に伝えることが可能になっている。見た目のスマートなイメージとは裏腹に、クロスカントリータイプの4WD車にも引けをとらない走行性能を実現していると言えるだろう。

 また、トゥアレグは全車がエコカー減税(環境対応車普及促進税制)に適合し、「ハイブリッド」は自動車取得税および自動車重量税が100%免除、「V6」は自動車取得税および自動車重量税が50%減免される。

 今回撮影したモデルは「ハイブリッド」がタングステンシルバーメタリック、「V6」がグラシオーサブラウンメタリック(一部クールシルバーメタリック)。車両価格は「ハイブリッド」が898万円、「V6」が623万円。

トゥアレグ ハイブリッド

ボディーサイズは先代モデルよりひと回り大型化。ただ、車重は2340kgとV8エンジンを搭載した先代初期モデル(2390kg)より軽量化を実現している

 

エンジンは3リッターの直噴V6ユニットでスーパーチャージャーも装着。単体でのスペックは最高出力245kW(333PS)/5500-6500rpm、最大トルク440kW(44.9PS)/3000-5250rpm。出力34kWのモーターはエンジンとトランスミッションの間に挟まれる形で装着される。システムの合計出力は279kW/580Nmとなるラゲッジルーム直下に搭載されるバッテリー。合計240個のセルをもつニッケル水素バッテリーで、288Vを発生。単体重量は67kg、ケースと冷却システムを含めたシステム重量は79kgと大人1人分程度に過ぎないエキゾーストパイプのエンド部分はバンパーと一体化した形状で見た目もスマート
ハイブリッドを示すロゴマークをフロント、リア、サイドの3カ所に装着する
10・15モード燃費は先代トゥアレグV8モデルの6.6km/Lに対し13.8km/Lと倍以上の数値を実現。エコカー減税にも適合し自動車取得税および自動車重量税は100%免除となるハイブリッドは19インチホイールが標準。タイヤは265/50 R19を履く
バイキセノンヘッドライトは最新のフォルクスワーゲンDNAを感じさせるデザイン。操舵に応じて角度を変えるダイナミックコーナリングライト、低速時にコーナー方向を照射するスタティックコーナリングライトも装備。これは両グレードに共通
リアコンビネーションランプも同様。テールゲート側にはリアフォグランプを内蔵している

 

前席から2列目頭上までの広い範囲をカバーする電動パノラマスライディングルーフはオプション。フロント側はチルト/スライドが可能で、直射日光を遮るための電動サンシェードも装備
標準装備のHDDナビゲーションシステムには各種情報を表示することが可能。これはラフロードインフォメーション電子制御デバイス関連の設定や確認ができる
バッテリーの残量や走行履歴などが確認可能なハイブリッド専用の表示モード
フロント、サイド、リアに4個のカメラを装着。自車周囲を頭上からの映像で確認できるアラウンドビューカメラ「Area View」を両グレードに標準装備。もちろん、フロントだけ、リアだけの映像を表示することも可能ハイブリッドにはステアリングヒーターを装備。寒冷時でも快適な運転操作が可能だ
メーターパネルにも液晶表示のマルチファンクションディスプレイを用意。こちらにも様々な情報が表示できる
スターターはプッシュタイプを採用。といっても、エンジンが始動するわけではないので、電源スイッチ的な役割だハイブリッドにはアダプティブクルーズコントロール(ACC)を装備。これはクルーズコントロールにレーダーセンサーを組み合わせたもので、フロントバンパーなどに装備された複数のセンサーで車間距離を測定。自動的に加減速を行い、一定の車間距離を維持してくれる
ハイブリッドシステムの稼働状況はモニターにリアルタイム表示が可能。左からモーターのみを使用する発進時、エンジンのみの低負荷時、アクセルOFF時。減速状態ではエンジンを停止し回生システムが働く
モーターのみで50km/hの速度で最大2kmの走行が可能。その際はタコメーターの表示は0rpmとなり、普通のクルマに慣れているとかなりの違和感があるパワーテールゲートはハイブリッドのみの装備

トゥアレグ V6

ハイブリッドとの外観上の違いはエンブレムやACC用センサー類の有無、ホイールサイズなどテールゲートのエンブレムはV6専用。最新の環境技術を採用したことを示す「ブルーモーションテクノロジー」のマークも
エンジンは3.6リッターの直噴ユニット。スペックは206kW(280PS)/6200rpm、360kW(36.7kgm)/2900-4000rpmと従来型同等だが、燃費は38%改善の9.5km/Lを実現しているホイールサイズは18インチ。タイヤサイズは255/55 R18ガソリンは無鉛ハイオク仕様

 

機能性だけを追求するのではなく高い機能性と質感をあわせ持ったインテリア。撮影車両はオプションのレザーパッケージ装着車でカラーはコーンシルクベージュ。ウッドのデコラティブパネルも同オプションによる装着パーツタコメーターとスピードメーターの間にはあるマルチファンクションディスプレイにはカラー液晶を採用
マルチファンクションディスプレイにはオーディオや車両状況など様々な情報の表示が可能だ
V6にはアイドリングストップシステムを採用。機能動作時の情報もここに表示されるオーディオやマルチファンクションディスプレイのコントロールスイッチがついたレザーステアリングを標準装備するインストゥルメントパネル右側のライトコントロールパネル
手触りのよいシフトレバー。トランスミッションは新開発の8速ATで、7~8速は燃費や静粛性を向上するためのオーバードライブ扱い。本来はこのレバーの右側にプッシュスターターが備わるが、撮影車両は未装着スイッチ操作で作動/解除が可能なエレクトロニックパーキングブレーキを採用。ホールドボタンを利用すればペダルから足を離してもブレーキの保持が可能で、坂道での発進などで便利シフトレバー後方の操作パネル。左側のダイヤルがCDCエアサスペンションのハイトコントロール、右側は4WDシステム。中央がサスペンションなどのスイッチとなる
エアコンは花粉/ダスト除去フィルターを備えた2ゾーンフルオートタイプ。シートヒーターはオプションのレザーシートパッケージ装着で装備される。ハイブリッドには標準エアコンの操作パネル下にはアッシュトレイとシガーソケット
ハイブリッドに標準、V6にオプションとなるCDCエアサスペンション。センサーにより自動的に最適な車高の維持が可能なほか、手動で「積載」「ノーマル」「オフロード」「スペシャルオフロード」の切り替えも可能。また、「オフロード」レベルでは不用意な車高変化を防止するためロックすることが可能。その際はディスプレイにロックマークが点灯する
3タイプの減衰力が選択できるダンパーコントロール機能はハイブリッドに標準、V6にオプション
8インチの大型液晶ディスプレイを採用するHDDカーナビを標準装備。60GBのHDDを採用しCDのリッピング機能も装備。さらにETC車載器や地デジチューナー、iPod接続にも標準で対応している。また、ナビゲーション利用時にはメーターパネル内にアローガイド表示も可能だ
液晶ディスプレイでは様々な設定や状態のチェックが可能だ
インパネ上部にはふた付きの小物入れを用意アームレスト下は収納スペース。DC12Vの電源ソケットも備わるアームレスト前方にはカップホルダー
グローブボックスにはETC車載器のほかMEDIA-INソケットを用意。標準でiPod用接続ケーブル(専用コネクタ、ステレオミニプラグ)が付属するほか、オプションとしてUSBデバイス用接続ケーブルも用意されている
V6はファブリックシートが標準。撮影車両はオプションのレザーシートパッケージ装着車のため、運転席/助手席とも8ウェイのパワーシートが装着されている
パワーシートのメモリー機構はドアパネルに。そのほかパワーウインドー、ドアミラーなどのスイッチが備わる
4WD車ながらフロアトンネルが低く開放感のあるリアシート。160mmの前後スライド、2:1の分割可倒&リクライニングが可能だリアドアには引き出し式のサンブラインドを装備
リアシート用のマップランプ。前方の凹みはラゲージネットパーティション取り付け用足元を淡く照らすフットウェルランプ。後席だけでなく前席にも装着されている
容量580Lのラゲッジルーム。フロア左右のレールを利用して伸縮ロッドを前後に自在に配置、スペースを区切ることが可能。黒い袋はラゲージネットパーティション
2:1の分割可倒式リアシートを採用。両側を倒すことで最大1642リットルのスペースを確保することができるラゲッジのフロア下にはスペアタイヤや工具などが収まる。ハイブリッドはここがバッテリースペースとなるため応急修理キットでの対応となる
ラゲッジスペースの右サイドにはDC12Vソケットなどを配置。後席の背もたれをワンタッチで倒すことが可能な電動バックレストリリースはレザーシートパッケージの装備ラゲッジスペースの左サイドには小物入れを用意
荷物を外から見えないようにするためのトノカバーは高さ調節が可能なタイプ

 


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http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/photo/

(安田 剛)
2011年 2月 24日