写真で見るホンダ「フリード」「フリード スパイク」


 2008年に発売されたホンダ「フリード」は、約4.2mとコンパクトなボディーを持ったスモールサイズのミニバン。独自の低床・低重心技術などにより広い車内空間を実現しており、3列シート&7名乗車を可能にしているのが特長だ。さらに2010年には同車をベースに5名乗車&大容量カーゴルーム化により、ユーティリティ面を強化した兄弟車「フリード スパイク」がリリースされている。

 そして、この11月にマイナーチェンジと同時に追加設定されたのが、5ナンバーサイズミニバンとしては初となるハイブリッドモデル「フリード ハイブリッド」および「フリード スパイク ハイブリッド」だ。

 心臓部となるハイブリッドシステムは、「CR-Z」と同じ直列4気筒1.5リッターのi-VTECエンジンとIMA(Integrated Motor Assist)の組み合わせ。ハイブリッドモデル専用となるエンジンはそれぞれ吸気1、排気1を備えたSOHC 8バルブで、88PS/13.5kgmと単体でも必要十分なスペック。その上、気筒あたり2つの点火プラグを備えるほか、減速時には全気筒を休止することでポンピングロスを低減するなど、低燃費化を追求するギミックも搭載されている。ここに10PS/8.0kgmのモーターを組み合わせることで、システム合計では99PS/16.6kgmのスペックを実現する。

 駆動方式はノーマルモデルは2WD(FF)と4WDが用意され、ミッションはFFがCVT、4WDは電子制御5速ATとの組み合わせ。ハイブリッドはFFのみの設定となるためCVTを採用するが、クラッチのミートタイミングを変えるなど専用セッティングを実施。さらに従来のハイブリッド車用CVTよりローレシオ化することで、フル乗車時や大量の荷物を積載した時でも、スムーズでレスポンスのよい加速が可能となっている。

 気になる燃費は、モーター単独での走行やアイドリングストップなどによりJC08モードで21.6km/L、10・15モードで24.0km/Lを達成。ミニバンとしては群を抜いた省燃費を実現している。

 走りの面でもノーマルモデルよりリアをワイドトレッド化したのをはじめ、ダンパー減衰力&スプリングレートの最適化、ボディー剛性アップなどによりパフォーマンスを向上させたほか、専用の吸音材や遮音材、遮音機能付きフロントガラスの採用により、静粛性も向上している。

 ラインアップはフリードが「ハイブリッド(定員6名)」と「ハイブリッドジャストセレクション(定員6/7名)」の計3モデル。上位グレードとなるジャストセレクションは、標準モデルに対しディスチャージヘッドライトやスマートキー、クルーズコントロール、リア左側パワースライドドアなどが標準装備となる。価格は2,149,000円~2,326,500円。

 フリード スパイクは「ハイブリッド」と「ハイブリッドジャストセレクション」の計2モデルで、ジャストセレクションはディスチャージヘッドライトやクルーズコントロール、リア左側パワースライドドアなどが標準。価格は2,149,000円~2,295,000円。

フリード
 デビュー当初は2+3+3の8名乗車モデルが用意されていたが、このマイナーチェンジにより3列目の定員が2名に。これにより2+2+2の6名乗車モデルと、2+2+3の7名乗車モデルのラインアップとなった。ハイブリッドではジャストセレクションで両モデルの選択が可能だ。

 装備面では全席に3点式シートベルトが設定されたほか、VSA(車両挙動安定化制御システム)やヒルスタートシステムなどが標準となった。

 撮影車両はジャストセレクションの7名乗車モデル。ボディーカラーはスーパープラチナ・メタリック。HDDインターナビシステムやアルミホイール、本革巻きステアリング、コンビシートなどをセットにした「Lパッケージ」を装着している。

エクステリアは「Gエアロ」に準じた内容。エアロタイプのバンパーやサイドスカートなどの装着によりスポーティな印象となっている
ヘッドライトもメッキ+クリアブルー塗装により差別化が図られている
フロントグリルはクロームメッキ+クリアブルー塗装の専用パーツフェンダーには専用の「HYBRID」エンブレム上位モデルのドアミラーはウインカー内蔵タイプ。ベーシックグレードの「G」のみウインカーレスとなり、その代わりフェンダーにサイドマーカーが付く
ドアハンドルはボディー同色。運転席にはスマートキー用のボタンも付くボディーサイドには小ぶりながらボリューム感のあるサイドスカートを装着ルーフスポイラーも標準装備だ
リアゲート左側に車名のエンブレム右側にはハイブリッドのエンブレムリアコンビランプもヘッドライト同様、メッキ+クリアブルー塗装が施される
リアゲートはバンパー直上のかなり低い位置まで開くため、荷物の積載がとてもラクボンネット内には横置き4気筒エンジンとモーター。単体を見れば分かるように非常にコンパクトなため、見た目には普通のガソリン車かと思えるほどだ
燃費基準、排出ガスのラベリングもハイレベルでエコカー減税の対象となるタイヤサイズは185/65 R15。標準ではスチールホイール&専用デザインのホイールキャップだが、オプションのLパッケージを選択すればアルミホイールを装着できる2段にセパレートされた独特な形状を採用するインパネ。メーターパネルはもっとも遠い位置にセットされ、運転時の視線移動を最小限に抑える
ジャストセレクションのステアリングはチルト&テレスコピック機能付き。ハイブリッド専用となる右側下部のインフォメーション用スイッチのほか、右スポーク部のクルーズコントロール、左側のAV系など各種スイッチを配置。本革巻き仕様はオプション設定だインパネ右側のスイッチパネルではスライドドアやドアミラーなど各種操作が行えるハイブリッドのみ専用のデジタルメーターを装着。スピードメーター下の青い部分は燃費状況のインジケーターで、よい状態だとグリーンに変化して教えてくれる
下部のマルチインフォメーション・ディスプレイには、エコ運転度のグラフをはじめ燃費などさまざまな情報の表示が可能
ステアリング奥には「ECON」ボタン。エンジンやエアコンを制御することでさらなる低燃費を実現できるインパネ中央部はエアコン&ナビスペース。エアコンはフルオートタイプが標準だが、AV系はスピーカーのみのレス仕様。写真のインターナビはオプションだ。本革巻きシフトノブもオプションナビゲーション下はトレイ状になっており、駐車券などを一時的に置くのに便利
エアコン下にはETC車載器やビデオ入力(ともにオプション)、DC12Vソケットなどが配置されているグローブボックスはシンプルな形状。縦型のため開けたとたんに中の物が飛び出す、なんて事態とは無縁。フタ右側にある円形の切り欠きはカードホルダーサンバイザー裏には運転席、助手席ともバニティミラーを内蔵
アームレストにパワーウインドーとドアロックのスイッチ。ドアロックは車速感応タイプだオプションのグランスムース&スウェード調ファブリックコンビのインテリア。ジャストセレクションには運転席だけでなく、助手席にもアームレストが付く運転席にはリクライニングとハイトアジャスターを装備
7名乗車モデルは3名がけの2列目シートを採用しており、すべての席に3点式ショートベルトを装備。中央席を使わない際はアームレストが利用可能2列目のリクライニングレバー。3列目アクセス時などでシートを跳ね上げる際もこのレバーだけで行えるマイナーチェンジにより2名がけとなった3列目。中央部にはアームレストを内蔵
中央部には座面ポケットを用意。ソフトな素材でカバーされているため、休憩時に横になるなんて場合にも邪魔にならないボディー側のアームレスト部にはドリンクホルダーを用意フル乗車時でも小型のバック程度なら置くことができるスペースを用意
50:50分割跳ね上げ式の3列目を収納すれば大型の荷物も積み込める7名乗車モデルでは2列目も収納でき、さらに広大なラゲッジスペースが確保できる
3列目の床下部分にバッテリーとコントロールユニットを統合したIPU(インテリジェント・パワー・ユニット)が収まる。ノーマルモデルより65mmフロアが高くなっているが、脚部の工夫により3列目のヒップポイントは同等な高さに設定される

フリード スパイク
 こちらはデビューからまだ1年ということもあってか、マイナーチェンジによる変更点は少なめ。装備面ではフリード同様、全席3点式シートベルトやVSA、ヒルスタートシステムの全車標準化といったあたりが大きなトピックだ。

 撮影車両はジャストセレクションで、ボディーカラーはプレミアムブルーオパール・メタリック。こちらもHDDインターナビシステムなどを装着したLパッケージ仕様だ。

ハイブリッドはフリードと同じくエアロモデルに準じたエクステリア。ボンネット~ヘッドライトまわりの傾斜角が異なるため、若干押し出しの強いフォルムとなっている
クロームメッキ+クリアブルーのフロントグリル、メッキ+クリアブルーのヘッドライトガーニッシュはハイブリッド専用装備形状は異なるがヘッドライト、ウインカー、ポジションなど内部の配置はフリードと同一となっているスパイクならではと言えるのがCピラー以降の造形。ウインドーレスとすることでパーソナル感が強調されている
リアゲートのエンブレムは「Spike」のみの表示エンジンまわりはフリードと同じだが、グリル後部の造形はスパイク専用だ標準では185/65 R15タイヤとスチールホイール&キャップの組み合わせ。Lパッケージ仕様では専用デザインのアルミホイールとなる
インパネまわりの造形はフリードと変わらず。エアコンまわりのシルバー塗装の有無、ウインドーより上の内装色がダーク系となるといったあたりが異なる各種スイッチを備えるステアリング。ジャストセレクションのみチルト&テレスコピック機能が備わるのもフリードと同じ
インパネ右側のスイッチパネル。こちらも内容は変わらないハイブリッド専用デジタルメーターを備えたメーターパネル。右上はモーターがアシスト状態なのか、チャージ状態なのかを表す
マルチインフォメーション・ディスプレイはステアリングのスイッチで表示内容の切り替えが可能。表示項目はECOドライブディスプレイ、エネルギーフロー、平均燃費、瞬間燃費、推定航続可能距離など多彩
ステアリング奥のECONボタンを押すことで、エンジンやエアコンを制御してさらなる低燃費化が可能。状態はマルチインフォメーション・ディスプレイで確認できる
インパネ中央部にはフルオートエアコンとオプションのインターナビを装着。照明付きのトレイも用意インパネ中央下部にはオプションのETC車載器やビデオ入力、DC12Vソケットが備わる。下部は小物が収納できるボックスとなっているサンバイザー裏には運転席、助手席ともにバニティミラーを内蔵
Lパッケージにはグランスムース&スウェード調ファブリックコンビを採用したシートを装着。ジャストセレクションには助手席側もアームレストが備わる3名がけの2列目シート。全席3点式シートベルトはフリードと同じだが、中央部アームレストは未装着となる
スパイクならではと言えるのがラゲッジルーム。フル乗車時はもちろん、分割可倒式の2列目シートを倒せばフラットで広いスペースが確保できる。フロアにはタイダウンフックを4個所、ルーフにもユーティリティフックが2個所用意されている
後部には反転可能な2分割のフロアボードを用意。1150mmの最大荷室高が確保できるため、背の高い自転車の積み込みなどもラクに行えるもちろんフロアボードは取り外してしまうことも可能フロアボード左側には小物を整理して収納できるサイドボックスを用意。右側は下部にIPU用のダクトが入っている
ラゲッジ左側のサイドパネルに装着される角度調節が可能なカーゴスポットライトとビルトインテーブルはジャストセレクション専用の装備ラゲッジ右サイドはサイドトレイや非常停止板の収納に便利なスペースなど。リアスピーカーがハイマウントされているのは荷物満載時にも音の通りをよくするため

写真で見る バックナンバー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/photo/

(安田 剛)
2011年 12月 12日