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写真で見る スバル「レヴォーグ」

 スバル(富士重工業)が日本市場のために開発した新型スポーツツアラーが、5ドアステーションワゴンタイプのボディーを持つ「レヴォーグ」だ。同社のベストセラーモデル「レガシィ」が北米を中心とする海外からの要望に応える形で大型化したため、従来のポジションをカバーするクルマとして新型車の投入となったワケだ。車名は「LE」GACY、RE「VO」LUTION、TOU「R」IN「G」の各単語を組み合わせたもので、「スバルの大いなる伝承を引き継ぎながらも次世代に先駆けた変革により、新たなツーリングカーの時代を切り拓く」という思いを込めたものだという。

 現行レガシィツーリングワゴン(BR型)がデビューした際、それまでレガシィに乗り続けてきたユーザーの多くはそのサイズに不満を漏らした。先代レガシィツーリングワゴン(BP型)が4680×1730×1470mm(全長×全幅×全高)だったのに対し、BR型は4790×1780×1535mm(全長×全幅×全高)とひとまわり大型化。後席を中心に格段に居住性がアップしたものの、日常の使い勝手やスポーティな走りを求めるユーザーにとっては、それが善とは映らなかったのだ。

 そこでレヴォーグでは4690×1780×1490mm(全長×全幅×全高)と、ほぼBP型に近い大きさまでダウンサイジング。全幅はBP型より50mm広がっているものの、ホイールベースを2650mmとBR型の2750mm、BP型の2670mmより短くすることで取り回しのよさも確保。全幅が広がったことにより居住性もアップしており、BP型と比べて肩まわりで35mm、肘まわりで23mm、運転席/助手席のアームレスト間が24mm広がっている。また、ラゲッジスペースはBR型の520Lから522Lへと拡大したほか、バンパーとラゲッジフロアの段差がBR型より15mm低くなり、実用面においても使い勝手が向上している。

レヴォーグ(左)と現行レガシィ

 パワートレーンもボディー同様にダウンサイジングされた。BP型と同じ2.0リッターエンジンとともに、新たに1.6リッターエンジンを追加。水平対向エンジン&シンメトリカルAWD&CVTの組み合わせは共通ながら、それぞれ異なるキャラクター設定が与えられた。

 2.0リッターエンジンは水平対向4気筒の「FA20」ユニット。「BRZ」に搭載されている自然吸気バージョンと同じボア×ストロークがともに86.0mmのスクエアタイプで、BR型と同じ直噴ターボ仕様の「DIT(Direct Injection Turbo)」ユニットとなる。燃料は無鉛プレミアムガソリンが指定され、最高出力221kW(300PS)/5600rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/2000-4800rpmを発生させる。トランスミッションはCVTで、高出力対応&8速マニュアルモードを備えた「スポーツリニアトロニック」を採用、駆動方式は走行状況に合わせて前輪、後輪への駆動配分を連続可変制御する「VTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)」を組み合わせる。JC08モード燃費は13.2km/L。ハイパフォーマンスモデルながらエコカー減税の対象となり、自動車取得税60%、重量税50%がそれぞれ軽減される。

 1.6リッターエンジンは「インプレッサ」と同じ「FB16」ユニットを名乗るものの、クランクシャフトを除くパーツを専用に新開発した、いわばプレミアム版。FA20と同じく直噴ターボのDIT仕様ながら無鉛レギュラーガソリン指定となり、最高出力125kW(170PS)/4800-5600rpm、最大トルク250Nm(25.5kgm)/1800-4800rpmを発生。トランスミッションは専用チューニングが施された「リニアトロニック」を採用し、駆動方式は「新世代アクティブトルクスプリットAWD」となる。こちらはJC08モード燃費が17.4km/Lと高い省燃費性を実現しており、エコカー減税によって自動車取得税、重量税が免税となる。

 スバルの先進安全技術といえばアイサイトだが、レヴォーグでは「EyeSight(ver.3)」に進化した。ver.2まではモノクロカメラが使われていたが、ver.3ではカラー&高解像度化することにより、ブレーキランプなどを認識することが可能になり、ステアリング制御を含めこれまで以上に緻密な制御を実現しているのが大きな特長。これに伴いプリクラッシュブレーキシステムで衝突回避が可能な速度が約30km/hから約50km/hへと引き上げられたほか、全車速追従機能付クルーズコントロールもカーブでの追従性能をアップするなど高性能化を果たしている。

 グレードは1.6リッターエンジン搭載車が「1.6GT」「1.6GT EyeSight」「1.6GT-S EyeSight」の3タイプ、2.0リッターエンジン搭載車が「2.0GT EyeSight」「2.0GT-S EyeSight」の2タイプ。上位モデルに位置づけられるGT-Sグレードはビルシュタイン製ダンパーやピロボールブッシュ付のアルミ製鍛造フロントロアアームを採用するなど、走りの質を高めたモデルとなる。価格は順に266万7600円、277万5600円、305万6400円、334万8000円、356万4000円。

レヴォーグ(右)と現行レガシィ。レヴォーグの方が車高が低くよりワイドに見える。全幅は同じ1780mmだが、筋肉質で引き締まった印象だ

2.0GT-S EyeSight

全高を抑えるとともにリアのルーフを薄型化することで、クーペのようなシルエットを実現。撮影車両のボディーカラーは新色のスティールブルーグレー・メタリック
ヘキサゴングリルを中心にノーズコーン構造とすることでボリュームのあるフロントマスクを演出
ボンネット上のエアインテークは2.0リッター車と1.6リッター車で内部構造が異なる。写真のように仕切り板が設けられているのが1.6リッター車
ブラックのインナーベゼルを採用したヘッドランプはGT-S専用
フロントグリルは専用タイプとなるダークメッキとブラックのコンビネーション
フロントウインドーは遮音性を高めるために中間膜が挟み込まれている
ドアミラーはドアマウントタイプを採用。ウインカーのほかフットランプもオプションで内蔵可能
運転席ドアハンドルはキーホール付
キーレスアクセス&プッシュスタートを装備するためリモコンはシンプルな形状
2.0リッターモデルは無鉛プレミアムガソリン仕様。フューエルリッド内を樹脂パーツで覆うことで質感を高めている
空力性能を高めるルーフスポイラーを装備
テールゲートに車名のバッヂが付く。排気量やグレードを示すバッヂは付かない
アンテナはシャークフィンタイプ
シャープでワイドなイメージを演出するホークアイヘッドランプ。2.0リッター車と1.6リッターGT-S EyeSightにはLEDのクリアランスランプとロービームを採用
リアコンビランプはヘッドランプと同じコの字型デザインを採用。テール&ストップランプはLEDになる。リアコンビランプ内側部分は右がリアフォグ、左はバックランプになる
2.0リッター車に搭載されるFA20ユニット。見た目は1.6リッターのFB16ユニットとほとんど変わらない
マフラーはデュアルタイプ。マフラーカッターも装備
GT-Sは18インチの専用アルミホイールを装着。PCDは全車114.3になった。タイヤはダンロップ・SPORT MAXX 050の225/45 R18
インテリアはブラックとシルバーのコンビネーション。ステッチがブルーになるのはGT-Sの専用装備。ナビゲーションはディーラーオプション
高触感革を採用したステアリング&シフトノブ。こちらもブルーステッチになる
ペダルはアルミパッド付のスポーツタイプ。サイドシルにもステンレス製のプレートが付く
フロントシートは専用のスポーツタイプ。オプションで専用仕上げの本革シートも選択可能だ

2.0GT EyeSight

グリルやホイールなどGT-Sとの違いは少ない。撮影車両のボディーカラーは有料色のクリスタルホワイト・パール
ホイールは18インチでGT-Sと同じだがデザインが異なる。タイヤのブランドとサイズはGT-Sと同様
GT-Sとはステッチカラーやグローブボックス上の加飾が異なる。こちらもナビゲーションはディーラーオプション
ステアリングは本革巻でステッチがホワイトになる。パドルシフトは全車標準装備だ
シフトノブも本革巻。ピアノブラックと金属調プレートのコンビネーションとシフトブーツの装着により質感の高い仕上がり
EyeSight搭載車のパーキングブレーキは電動式。左のスイッチは坂道での発進を容易にするヒルホールドスイッチ
こちらはごく普通のペダルを採用
ブルーとホワイトを組み合わせたメーターパネル。中央には3.5インチのカラー液晶を用いたマルチインフォメーションディスプレイを配置
マルチインフォメーションディスプレイの表示例。乗車時にはウエルカム演出も表示
インパネ中央上部にマルチファンクションディスプレイ(MFD)が備わる
操作部はハザードランプ下に配置され、助手席からも操作が可能
新たに追加された高速巡航ECOチャレンジ。予想航続距離を示す緑色のバーを実際の航続距離を示す青色のバーが超えられるとトロフィーが表示される
1分ごとの燃費を示すエコ履歴
予防安全画面
アクセル開度、ブースト圧、水温の3連メーター
2.0リッター車だけに追加されたブースト表示
設定画面に移動するためのメニュー画面
設定画面では時刻などの調節が可能
時計表示
燃費画面
オプションのパイオニア製ナビ。上で紹介したGT-Sに付く専用ビルトインSDナビではMFDとの2画面表示が可能
エアコンは運転席、助手席で個別に温度設定が可能なデュアルタイプ
インパネ下部にはUSBとDC12Vソケットが備わる
スタートスイッチはインパネ右側にある。パワーシート用のメモリスイッチも付く
EyeSightはver.3に進化。ただし、外見からはその違いが分かりづらい
マップランプ前方にON/OFFスイッチが用意される
サンバイザー裏には照明付バニティミラーが備わる
センターコンソールにはスライド式のシャッターが付いたカップホルダーを用意
運転席、助手席間にスライド式センターアームレストを装備
内部は収納スペースでDC12Vソケットも用意
GT-S用ほどではないもののホールド性が高く快適なフロントシート。写真のアイボリーカラーはオプションの本革シート装着時に選択できる
シートヒーターも装備
6:4分割可倒式リアシートはサイド部のレバーでリクライニングができる。中央には収納式アームレストも装備
ラゲッジには9インチのゴルフバッグ4個を積載可能
広くフラットなラゲッジスペースはリアシートを倒すことでさらなる容量アップを実現
フロア下にサブトランクを用意。スペーサーを取り外すことで標準サイズのタイヤを収納することができる空間が用意されている
ラゲッジサイドにはリアシートを倒すためのフォールディングスイッチを用意。その横は袋などをかけるのに便利なコンビニフック

1.6GT EyeSight

1.6リッターGT系モデルはホイールが17インチアルミ&フルエアロキャップの組み合わせに。タイヤサイズは215/50 R17
レギュラーガソリン仕様となるFB16ユニット。スバルのターボ車としては初となるアイドリングストップ機構が備わる
インパネは2.0リッター車同様。高い質感を備えている
シート表皮はファブリック。形状は2.0リッター車と同じ

STIパーツ装着車

2.0GT-S EyeSightをベースに各種パーツを装着。ボディーカラーはギャラクシーブルー
STIフロントアンダースポイラー&スカートリップ。スバル車オーナーにはおなじみのアイテムだ
横からのルックスを引き締めるSTIサイドアンダースポイラー。スポイラー類は発売済み
STIサイドストライプは秋にかけて発売予定。「STI performance」バッヂはSTI performanceパッケージに付属するもの
STIリアアンダースポイラー
オイルフィルターやラジエターキャップ、バッテリーホルダーなども順次発売予定
発売予定のSTIフレキシブルタワーバー
STIアルミホイール。シルバーのほかブラックとガンメタも用意されている
現在開発中のSTIスポーツマフラー
STIロゴが入った赤いSTIプッシュエンジンスイッチ
STIシフトノブもロゴ入り

純正アクセサリー装着車

1.6GT EyeSightをベースに純正アクセサリーを装着した車両。ボディーカラーはライトニングレッド
外周部分をボディー同色、内部をメッシュにしたフロントグリル。BP型レガシィっぽい雰囲気だ
テールゲートに装着するウエストスポイラー
ヨーロピアンなイメージを演出するリアバンパースカート
ユーロテイストの18インチアルミホイール。写真のレッドストライプのほかブルーストライプも用意されている
ブラックとボルドーのコンビネーションカラーを採用した本革調フルシートカバー
カーボン調コンソールパネル。パワーウインドースイッチ部にも同様のパーツを用意
荷物の横滑りを防止してくれるカーゴマット

(安田 剛)