写真で見る

写真で見る ホンダ「S660(プロトタイプ)」

 本田技研工業の「S660」は、エンジンを車両中央後方寄りに配置するミドシップレイアウトを採用した軽規格のスポーツモデル。2013年に開催された東京モーターショーなどに「S660 CONCEPT」として出展され、多くのファンの期待を集めたモデルが、ついに市場に現れることになる。ただし、今回紹介する車両はプロトタイプで、内外装のデザインのほか、各種スペックも市販車両として公開されたものではない。発売が迫っていることもあり、ここから変更される可能性はあまりないと思われるが、市販モデルではないことをご留意いただきたい。

 分かっている範囲内での情報を紹介すると、S660に搭載されるエンジンは直列3気筒のターボユニット。専用ターボチャージャーの採用とバルブスプリングの強化といったチューニングにより、最高出力は47kW(64PS)/6000rpmを発生させる。実質的な先代モデルといえるビートが自然吸気エンジンを搭載していたのに対し、ターボによる過給を行うことで大幅なパフォーマンスアップが図られている。トランスミッションは6速MTとCVTを用意。開発者によれば「ビートはMTのみしかなく、幅広いユーザーに楽しんでいただけなかったから」とのこと。

 グレード展開はαとβの2タイプで、αが上級グレード、βがベーシックグレードという位置付け。メカニズム面での大きな違いはなく、内外装の加飾が異なる。ボディーカラーは正式名称は不明ながら、ホワイト、メタリックグレー、ブラック、ライトブルー、イエロー、レッドが確認されている。

ボディーは軽自動車枠の制約を感じさせないスポーティなシルエット
横に長い形状を採用するドアミラー。S660 CONCEPTではLEDウインカー内蔵タイプだったが、市販にあたって単なるデザイン的な処理に変更された
フロントフェンダーにはエアアウトレット的なデザインが施される
左側のBピラーにインタークーラー用のエアインテークを配置
リアにはS660のバッジ。グレードを示すバッヂは装着されないようだ
エンジンフードは運転席と助手席の後方が盛り上がったデザイン
αとβの分かりやすい見分けポイントがフェンダーに設定されるウインカー。上級グレードとなるαにはクリアタイプが用意され、βはアンバーとなる
ボンネットとエンジンフードはともにリア側に支点がある構造
ヘッドライトの点灯パターン。デザインは最近のホンダ車に共通したテイスト
リアコンビネーションランプの点灯パターン。ポジションランプがLEDを使った導光タイプで、ブレーキランプもLEDで最近のトレンドを踏襲
バックランプは非点灯時には存在が分かりづらいように処理されている
ホワイトボディー。ボディーは剛性と軽量化を追及した新設計の構造を採用
フロントウインドーまわりのパネルは継ぎ目のない一体成型
フロントウインドーの生産時に余ってしまう中央部分をリアで使用。部材のロスを低減している
フラットなボディー下部。実車にはさらに樹脂製のアンダーカバーが付く
フロントにタワーバーを装着
フロント下部にもブレースバーを入れて剛性を強化
スポット溶接の打点も通常のクルマより多めだという
キャビンスペース
フロアの補強は左右で同じ部材とすることでコスト低減。必ずしも生産台数が多いモデルではないため、随所にこういったコスト低減対策が盛り込まれている
サイドシルは断面積の広い形状。これも軽量化と剛性アップにひと役買っている
車両後方からリアバルクヘッド方向を見たところ。フロアトンネルからエンジンルーム内に空気を導くダクトを配置し、採り入れた外気でターボチャージャーを冷やす構造となっている。燃料タンクもこの場所に設置されるため“Ω”のような形状をしており、燃料ポンプが左右に1つずつ(計2個)付く豪華仕様
エンジンは直列3気筒DOHCターボユニットを搭載。スペックは最高出力47kW(64PS)/6000rpm。最大トルクは公表されていない
バッテリーが車両フロント側のすぐにはアクセスできない場所に設置されているため、エンジンルーム内にジャンプコード接続用のターミナルが設けられている
エンジンフード中央に排熱用のスリットを用意。エンジンカバーのホンダロゴがチラリと見える演出がニクイ
リアガーニッシュ下にはエンジンルーム内の熱を排出するハニカム形状のグリルが付く。さらに下側はマフラーのタイコ部分があるため、リアにトランクスペースはない
ガソリンは無鉛レギュラー仕様。燃料タンクは24L程度とのこと
マフラーはセンター出し。心地よいスポーツサウンドが楽しめるような構造を採用したという
αのアルミホイール。フロントのタイヤサイズは165/55 R15。ブレーキは前後φ260のディスクローターを採用
リアタイヤのサイズは195/45 R16
タイヤは専用コンパウンドを採用したヨコハマ ADVAN NEOVA AD08R
タイヤの空気圧は今どきのクルマとしては低めの設定
βのインパネはヒカリモノ系の加飾がないシックな印象。センターディスプレイはオプション
ステアリングはホンダ車のなかで最も小径となるφ350
6速MT車のシフトノブ
CVT車のシフトノブ
CVT車はステアリングにパドルシフトを設定する
パーキングブレーキはレバータイプ。センターコンソールにはキーなどを置くのに便利なスペースがある
CVT車のペダル
ホンダの軽自動車では初となるデジタルスピードメーターを採用
「SPORT(CVT車)」、または「SELECT(6速MT車)」ボタンを押すと照明が赤に変わり、左側の燃費計がブースト系になる
メーターナセル左側にあるSELECTボタン。CVT車の場合はSPORTモードへの切り替えボタンになり、スロットル制御やシフトタイミングが変化してスポーツ走行向けになる
オプションのセンターディスプレイにはGメーターを表示可能
ラジオなどのソース切替
時計表示
オーディオ操作も画面上で確認できる
バックカメラの映像も映し出すことができる
インパネ中央にはオーディオとエアコンの操作パネルがある。DINスペースの確保は難しそうな感じだ
インパネ中央下側にHDMI&USBコネクター。さらにDC12Vソケットも設置する
ステアリングコラム右側下部にVSA(Vehicle Stability Assist)のOFFスイッチ
ルーフ前端にルームミラーとランプが付く
運転席、助手席ともにサンバイザーを装備
シートは専用のスポーツタイプ。βのシート表皮はファブリックタイプ
運転席足下にボンネット、エンジンフード、フューエルリッドのオープナーがある
運転席側のドアトリム。カーボン調の加飾は樹脂製
ドアアームレストにパワーウインドーのスイッチを用意。後方にあるのはリアセンターガラスの開閉用
風の流れを調節できる電動式のリアセンターガラス
インパネの助手席側前方に足下にエアコンの風を送るためのアウトレットを用意。オープン時でも快適に過ごすことが可能だ
グローブボックスの容量は少なめ
センターコンソール後方にカップホルダーとトレイを用意
シティーブレーキアクティブシステム(CTBA)も用意される
ボンネットはダンパー付
ボンネット内には樹脂製の収納ボックスを用意。バッテリーはこの下に設置されている
深さがあってたっぷりとした容量だが、ロールトップを収納するとほとんど使い切ってしまう
ロールトップの収納手順
αのインパネ。メタリック調の加飾も使って上質な雰囲気を演出
ステアリングは本革巻になり、ホワイトステッチで華やかに彩る
6速MTのシフトノブは本革と金属調加飾の組み合わせに
ペダルもアルミタイプになる
スターターはα、βともプッシュ式
αのシート。形状はβと同じ
シート表皮は革とバックスキン調ファブリックのコンビネーションタイプになる
S660 CONCEPTのようにシートカラーが左右で異なる車両も用意されていた

純正オプション装着車

撮影車両はβをベースに各種オプションパーツを装着している
フロントバンパーは左右のアクセントを大きくすることで安定感を増した印象
ボンネット上のデカールは光の当たり方によってS660のロゴが浮き出る
ブラックタイプのフューエルリッド
リアのエンジンフード上にもフロントと同様のデカールを設置
レッドのロールトップを装着。白のボディーカラーとの組み合わせは、ホンダ・F1参戦第1期のマシンを連想させる日の丸カラーだ
電動リアスポイラー。70km/hで自動的にアップするほかマニュアル操作も可能
スポイラーのスイッチはVSAスイッチの横にレイアウト
専用カラーのアルミホイール。ナットまで黒い塗装を施すのは初となる
センターマフラー対応のエアロバンパー
ディンプルタイプの本革を使ったシフトノブ。サイドブレーキも同様の仕上がりで白いステッチが入る
カラードタイプのドアトリムやメタル調のサイドステップも用意

(安田 剛)