写真で見るホンダ「ステップワゴン/スパーダ」


ステップワゴン
 初代ステップワゴンがデビューしたのは1996年。家族のための生活創造車「ファミリー・ムーバー」として登場し、乗用車感覚の運転のしやすさ、広くてフラットな室内空間を実現した。その後、室内をより広く機能的にした2代目が2001年に、広さをそのままに低床・低重心を実現した3代目が2005年に登場し、2009年10月に4代目となる新型ステップワゴンがデビューした。

 新型ステップワゴンのキーワードは家族みんなの“皆楽”ミニバン。独自のパッケージングである「低床・低重心」を活かし、床面を低く、そしてルーフを高くしたことにより、クラス最大の空間を確保した。新型ステップワゴンの車両サイズは4690×1695×1815mm(全長×全幅×全高、FF車)。先代モデルよりも全長で50mm、全高で45mm拡大し、室内高は1395mmとした。この恩恵により1列目で30mm、2列目で40mm、3列目で25mmものヘッドクリアランスを広げることに成功した。

 広がったのは車体寸法にとどまらず、両サイドウインドーの下端を25mm低く、さらにリアクォーターウインドーの下端を50mm低くするとともに後方に拡大。また、G Lパッケージ、L(およびスパーダ S、Z)にメーカーオプションとして設定される「スカイルーフ」のサイズは1400×840mm(縦×横)で、これは世界最大級だと言う。これらの組み合わせにより、とてもミニバンとは思えないほどの開放感を味わうことができる。

 低床・低重心の恩恵は両側スライドドアも受ける。ルーフサイド部の薄型化にともない、開口部の高さは従来モデルよりも45mm拡大し、さらに開口幅も25mm拡大した。また、床面の最低地上高を390mm(FF)とし、乗降性を確保したのも特徴点。

 新型ステップワゴンの注目すべき特徴の1つである3列目床下収納機構を採用するため、ホンダはフレーム構造から見直した。通常、直線に設計されるリアフレームは、リアタイヤから車体外側に大きく湾曲し、マフラーサイレンサーも収納スペースを確保するためにリアタイヤ間に横置きするという工夫がなされる。従来モデルでは3列目シートにはね上げ式を採用していたが、収納する手間や労力を考えると、この手法は画期的と言えるだろう。

 搭載されるエンジンは2WD(FF)、4WDともに直列4気筒SOHC 2リッターで、最高出力は110kW(150PS)/6200rpm、最大トルクは193Nm(19.7kgm)/4200rpm。10・15モード燃費は14.2km/L。FF車のトランスミッションはトルクコンバーター付CVTを採用し、4WD車には5速ATを設定する。いずれも低燃費運転を支援するエコアシスト機能の「ECONモード」に対応する。

 グレードはG、G Lパッケージ、L、Liの4つ。ボディーカラーはプレミアムパールホワイト、スーパープラチナメタリック、プレミアムヒダマリアイボリー・パール、アオゾラブルーメタリック、ポリッシュドメタルメタリック、ディープボルドーパール、クリスタルブラックパールの7色。

 環境対応車普及促進税制(エコカー減税)に全車対応し、自動車取得税と自動車重量税がFF車で75%減税、4WD車で50%それぞれ減免される。

エクステリア

先代モデルよりも全長で50mm、全高で45mm拡大した新型ステップワゴン。グラスエリアも拡大し、視覚的な広さを体感することができる
硬質イメージのフロントグリルと、大型のヘッドライトを採用したフロントマスク。Liにのみ標準装備される車速/車間制御機能ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は、フロントグリル内からミリ波を発信し、前方走行車両の状態を検知。自動的にアクセルとブレーキを制御して車間距離を保持するLとLiに標準装備するアクティブコーナリングライトは、約35km/h以下で走行中にウインカーや一定以上のステアリング操作を行うと作動。進行方向内側を照射することで、視認性を高める。さらにバックギアに入れると左右両側が点灯するエンジンは全グレードに渡って直列4気筒SOHC 2リッターを搭載
ドアミラーは全体的に大型化されるとともに、ミラー下端部は視野範囲を拡大し、後方視界を確保した各グレードのFF車は標準で15インチホイールに195/65 R15サイズが、4WDには205/65 R15サイズのタイヤが組み合わせられる。また、G Lパッケージ、L、Liにはオプションで16インチアルミホイールに205/60R16サイズのタイヤを用意する。このオプションを選択した場合、FF車は専用のチューニングサスペンションが奢られる視認性に優れるリアブレーキランプ
リモコンおよび運転席のスイッチから開閉ができる両側パワースライドドアは、Gを除く各グレードに標準装備される両側スライドドアの開閉にあわせて足元を照らすパドルライトテールゲート左側に配置されるロゴ
リアゲートに収まるCCDカメラ

インテリア

フロントピラーはドライバーから細く見える断面形状を採用した。また、従来モデルよりもフロントドアウインドー下端を25mm低く設定することで、前方・側方視界を向上インストルメントパネルは左右に広がる横基調をベースに、視認系、操作系、収納スペースを明確に分けた
電動サンシェード付きスカイルーフは、G Lパッケージ、Lにオプション設定トランスミッションはFF車がCVT、4WD車が5速AT。その横はエアコンの操作スイッチが配置されるメーターは左からタコメーター、スピードメーター、マルチインフォメーションディスプレイが並ぶ。スピードメーター中央のリングはECONスイッチをONにすると点灯し、エコドライブ度に応じて色が変化する。グリーンの色が濃くなるほど低燃費走行を行っていることを表す
インフォメーションディスプレイは上から瞬間燃費、走行距離、航続可能距離、平均燃費、外気温、燃料タンクの残量表示が可能
7インチワイドディスプレイを採用するHonda HDDインターナビシステムはリアカメラ付きで、ワンセグチューナーを搭載。G、G Lパッケージ、Lにオプション設定される。マルチビューカメラシステム機能付きはLにオプション、Liに標準装備されるバックギアに入れるとカーナビのモニターにリアビューが映し出される。予測進路を示すガイド線はステアリング舵角により表示するLにオプション、Liに標準装備するマルチビューカメラシステムは、フロントグリル、左右ドアミラー、テールゲートにそれぞれ魚眼CCDカメラを装備。これにより車両の全周囲を撮影することができ、撮影した映像や、それらを合成した映像をカーナビ画面に表示する。写真は左右ドアミラーとテールゲートのカメラで撮影したもの
左はフロントカメラで撮影したもので、右は4つのカメラで撮影した映像を30コマ/秒の高速処理を行い、上空から見下ろしたような映像を表示するグラウンドビューと呼ばれるもの。グラウンドビューはミラーを格納した状態でも表示できるフロントカメラに設置される魚眼カメラにより、前方左右の景色を広範囲にわたって表示するフロントブラインドビュー画面左右ミラーによりフロントタイヤ付近の下方を表示する左右サイドビュー画面
カーナビ上部のディスプレイは時計とエアコンの表示を行うハンドル右側にECONスイッチが設けられる両側パワースライドドアは運転席のスイッチで操作できる。G Lパッケージ、L、Liに標準装備
左右のルームランプに挟まれるスイッチで、電動サンシェードの開閉(左)とルームランプのON/OFF(右)を行える路肩寄せや狭い道で活用するサイドビューサポートミラー。視野範囲は左前輪から前方約7mまで。G、GLパッケージ、Lに標準装備。Liはマルチビューカメラシステムを標準装備するため設定はない運転席のドアの内側。ミドルポケット、ロアポケット、ドリンクホルダーなど収納スペースが豊富
運転席のドアに配置するスイッチ類左のペダルはパーキングブレーキリモコンとキーは別体タイプ(タイプや装備によって一体式もある)。アンサーバック&ウェルカムランプ機能付き
2列目もエアコンの風量調整ができるG Lパッケージ、L、Liにオプション設定されるリアエンターテインメントシステム。9インチワイドディスプレイでDVDビデオやテレビなどが楽しめる

収納スペース

上は助手席アッパーボックス、下はグローブボックスコインポケット。その上にETC車載器を装備するセンターロアポケット。その上にはDC12VのアクセサリーソケットとビデオINPUTソケットがある
センターコンソールのドリンクホルダーは2つ助手席のシートバックにも収納が設けられる両側スライドドアのロアポケットはドリンクホルダーもつく
3列目シート用のドリンクホルダー

シート

3列目シート。大人が座っても狭さを感じない2列目は中央席のチップアップ&スライドシートを折りたたむことで、センターウォークスルーが簡単にできるようになる。G LパッケージとLにオプション設定運転席&助手席
2列目に実際に座ってみるとこんな感じ。足元に窮屈さは感じない2列目中央席の通常状態両側スライドドアを開けた状態で真横から。開口部は700×1230mm(幅×高さ)とし、先代モデルよりも幅が25mm、高さが45mm拡大した。また、2列目シート位置は先代モデルよりも100mm後方に設置されたことにより、乗降性はいっそう向上している
2列目シートのシートバックは前に倒れ、さらに座面がはね上がることで前部にいっぱいまでスライドできる。これにより3列目の乗り降りがしやすいものとしている

3列目シートの収納を実践

それでは3列目を収納していこう。まずストラップをひき、シートバックを前に倒す。左右どちらのシートからはじめても構わないが、今回は右シートからはじめた左シートも同様に
ストラップをひくときに力は必要ない次にレバーを引きながら(左手)シートバックのストラップをもつストラップを持って手前に引っ張りあげる。女性でも簡単にできるほど軽く作動する
そうすると3列目は反転して床下スペースに収納される。シートを復帰させる際もアシストスプリングを備えるため、軽い力で操作できる格納したら走行中に飛び出さないようにフックを引っかけて固定左右にスペースが空くので蓋を閉める(写真は右側)
以上の操作ですっきりかつ広大なラゲッジスペースのできあがり真後ろから。先代モデルと比べて明確に異なるのは荷室最大幅。はね上げ式と比べて床下格納式は595mmも広い1425mm(収納時)を確保している。テールゲート部の開口最大幅は1235mm(先代モデルより+5mm)、テールゲート部の高さは1180mm(先代モデルより+60mm)

ステップワゴン スパーダ
 ステップワゴン スパーダは、押し出し感の強いフロントグリルや専用エアロ、アルミホイールなどにより、より上級に、そしてスポーティに仕立て上げられたモデル。エアロパーツは風洞実験により空力に優れた形状とし、とくに高速走行時における燃費性能の向上のほか、フロントリフト量を低減し、操縦安定性を高めていると言う。

 エクステリアの専用装備は、アクセサリーランプ内蔵フロントグリル、エアロフォルム・バンパー(フロント/リア)、エアロフォルム・カラードサイドシルガーニッシュ、テールゲートスポイラー、フォグライト、クリアアウターレンズ・リアコンビネーションランプ、LEDストップランプ、16インチアルミホイール+205/60 R16タイヤ。

 インテリアは専用カラーのクールブラック1色のみを設定し、本革巻きステアリングホイール、専用デザインメーターを採用する。またスパーダ独自の機能としてパドルシフトを採用する。

 グレードはS、Z、Ziの3つで、ボディーカラーはプレミアムホワイト・パール、スーパープラチナ・メタリック、ポリッシュド・メタリック、ディープボルドー・パール、コバルトブルー・パール、プレミアムブラキッシュ・パールの6色。

標準モデルよりもさらに上質感を感じるエクステリア。撮影車はオプションで用意される17インチホイールを装備
グリル内部にはアクセサリーランプを内蔵エアロフォルム・バンパーにはフォグランプがつくオプションの17インチアルミホイール。タイヤサイズは205/55 R17
テールゲートスポイラーにはLEDハイマウントストップランプを内蔵するLEDストップランプにクリアレンズが採用されるテールゲート右側に配置するロゴ
黒と青紫を基調とするインテリアハンドルにはパドルシフトを装備。メーターも専用のものスマートキーシステム。写真はリモコンとキーの一体型だがタイプや装備により異なる
全体的に引き締まった印象を受けるシート

(編集部:小林 隆 Photo:堤晋一)
2009年 11月 4日