写真で見るプジョー「RCZ」


 「RCZ」はプジョー初となるプレミアムコンパクトスポーツクーペで、同時にモデル名に数字を用いない初の車種となる。同社は2010年に創業200年を迎えるにあたり、新たなブランドスローガン「MOTION&EMOTION」を掲げており、伝統を守るだけでなく、新時代へのチャレンジも行うという強い意志を具現化したモデルとなっている。

 RCZが初めてお披露目されたのは、2007年のフランクフルトショー。当時はコンセプトカー「308RCZ」としての出品で、市販の予定はなかったが、反響の高さから市販化が検討された。2年後の2009年、同ショーで市販モデル「RCZ」として発表。日本でもこの5月から先行予約を開始、7月下旬から販売が開始されている。

 RCZは、フロントに横置きした1.6リッターの直噴ツインスクロールターボエンジンで前輪を駆動し、マクファーソンストラット/トーションビームのサスペンションを備えるなど、308CC準じたもの。ただし、ボディーサイズ(4287×1845×1359mm[全長×全幅×全高]、ホイールベース2612mm)をはじめ各部分は、新規開発および専用チューニングが施されるなどブラッシュアップが行われており、プレミアムの名に恥じない内容となっている。

 ラインナップは2モデルで、右ハンドル車は6速ATのみ、左ハンドル車は6速MTのみという構成。エンジンはどちらも1.6リッターの直列4気筒DOHCターボとなるが、スペックには差が付けられている。

 ATモデルに搭載されているのは308CCなどにも採用されている「EP6CDT」ユニットで、最高出力は115kW(156PS)/6000rpm、最大トルクは240Nm(24.5kgm)/1400-3500rpmを実現。オイルポンプの電動化やキャタライザーの改良などにより最新の欧州排出ガス規制「EURO5」に対応するなど、省燃費化とクリーン化が図られている。

 一方のMTモデルには新規投入となるハイパワーユニット「EP6CDTX」を搭載。吸入気量をバルブリフト量で制御する「VTi」、オーバーブースト機構などにより147kw(200PS)/5800rpm、275Nm(28.1kgm)/1700rpmのパフォーマンスを獲得している。

 またMTモデルには、ターボの過給圧に応じてエンジン音を室内に響かせる「サウンドシステム」を採用。低速時には室内の静粛性を保ちつつ、加速時や高速走行時には聴覚も楽しませてくれる。

 サスペンションはプジョー伝統のフロント/マクファーソンストラット、リア/トーションビームの組み合わせ。RCZ専用チューニングを施すとともに専用のロワー・プレイシングバー、大径のフロントサスペンションピボット、さらにφ340、30mm厚のフロントベンチレーテッドディスクローターなどの採用により、スポーツクーペに相応しい操縦性を手に入れている。

 エクステリアはプジョーらしさを随所に残しつつ、新ラインのモデルとしての要素を盛り込んだ。308よりワイド&ローなフォルムに、コンパクトなキャビンを載せ、前後のフェンダーを繋ぐルーフラインを、シルバーの「アルミナムアーチ」で飾って強調した。ルーフ部には「ダブルバブルルーフ」と呼ばれる2つの膨らみを持たせて、スポーティークーペらしい抑揚のあるスタイルを演出している。

 インテリアは、パネルに新素材「プジョーテクノテップ」やレザーなどを使い、質感の高さを視覚はもちろん触覚でも感じられる仕上がり。メーターやエアコンの吹き出し口は丸形形状を採用するとともに、クロームリングによる縁取りを行うことでクラシカルモダンな雰囲気を演出している。

 車両価格はATモデルが399万円、MTモデルが423万円。加えてパッケージオプションが用意されており、前者は「カーボンルーフ・パック」と「インテグラル・レザーパック」が、後者は「カーボンルーフ・インテグラル・レザーパック」が選択できる。

 「カーボンルーフ・パック」はルーフトップがブラックカーボン仕上げとなるほか19インチアロイホイール、3色から選択可能なレザーシートなどがセットで価格は30万円。「インテグラル・レザーパック」は19インチアロイホイール、インテグラル・レザーシート仕様となるほかサンド・ベージュカラーのアルミナムアーチがセットになり価格は28万円。「カーボンルーフ・インテグラル・レザーパック」は「カーボンルーフ・パック」とインテグラル・レザーがセットになり価格は43万円。

RCZ RHD 6AT

 

308CCより全長は168mm短いが、全幅は25mmワイドに、そして全高は71mm低い。ボディーそのものはコンパクトだが、ボリューム感満点のフェンダーにコンパクトなキャビンの組み合わせは強い存在感を放つ。撮影車両は「インテグラル・レザーパック」仕様で、ボディーカラーはトゥアナケ・ブルー

 

フロントマスクはプジョーらしいアイデンティティを感じさせるRCZより採用となった新しい「ライオン」ロゴAピラーからCピラーまでを飾るアルミナムアーチがエクステリアの大きな特長
ヘッドライトはオートレベライザーとウォッシャー付のバイキセノンタイプ。ステアリング操作によって光軸が左右に変化するディレクショナル機能付だ。フォグランプも標準装備となる
ワイパーは雨滴感知式で、ブレードはフラットタイプリアコンビネーションランプはLEDタイププジョーとしては初となる数字以外のモデル名を採用。リアに装着されるロゴマークは控えめ
サイドミラーはスタンド部分にマーカーが埋め込まれる。熱線入りで視界を確保するほか、リバースギア連動チルト機能、ドアロック連動自動格納機能なども備える
トランクリッドは強い丸みを帯びたデザイン。オープナーはバンパー上部に用意されるトランクリッド中央にも新しいライオンロゴ
トランクリッドに内蔵されるアクティブリアスポイラー。速度によってポジション1(19度)、ポジション2(34度)と自動的に変化。センターコンソール上のスイッチで、手動でポジション2にセットすることもできるフューエルリッドは右サイドに配置され開閉は手動式
バンパー下部の中央にはバックランプとリアフォグランプが配置されるボンネットはフェンダー部分から開くため、ちょっとグループCカーっぽい雰囲気。ヒンジ部には火薬式のアクチュエーターが採用されており、歩行者との接触を感知するとボンネットを持ち上げ、エンジンとの間に空間を作ることでダメージを軽減するアクティブボンネットとなっている右ハンドル車には156PSのEP6CDTユニットを搭載
撮影車は「インテグラル・レザーパック」仕様のため、19インチの「ソルティレージュ(ミッドナイトシルバー)」ホイールを装着。タイヤサイズは235/40 R19。標準車は18インチの「オリジナル」ホイールとなり、タイヤサイズは235/45 R18になるノーマルのキャリパーは未塗装タイプ。カーボンルーフパックはシャイニーブラックで塗装されるマフラーはデュアルテールパイプ

 

インテグラル・レザーパック仕様のダッシュボードは本革(標準車は人工皮革「プジョーテクノテップ」)仕上げとなる。ピアノブラックのセンターコンソールや、アナログ時計、随所に配置されたメッキパーツと相まって、質感は高いメッキリングを持つアナログメーター。スピードメーターは250km/hオーバーのスケールを持つセンターコンソール上部にはエアコンの吹き出し口に加えアナログ時計、インフォメーションディスプレイなどを用意
メーター中央に配置されたパネルにはシフトポジションやトリップメーターのほか、車両状態なども表示される
インフォメーションディスプレイは通常、時計や日付、外気温度などを表示。サイドブレーキ横の操作パネルを利用することで、各種設定の変更などが行える
センターコンソールは深みのある光沢を持ったピアノブラック仕上げ右ハンドル車には6速ATを採用。シフトゲートにはマニュアルポジションが用意され、スポーツ/スノーモードの切り替えも可能外部入力端子付のAM/FMチューナー付CDプレーヤーが標準装備。カーナビはメーカーオプション
運転席と助手席で異なる温度設定が可能な左右独立調整式インテリジェントエアコンを採用。花粉などのほか悪臭まで取り除くことが可能なアクティブカーボンフィルターも装備ルーフ前端にルームランプとマップランプを用意さらにその前方にはシートベルトの警告パネル
シフトレバー後方のセンターコンソールはシンプルな造形サイドブレーキ横にはDC12Vソケット、アクティブリアスポイラーのスイッチと、インフォメーションディスプレイ用のコントローラーを配置
最後方にはコンソールボックスを兼ねたアームレスト。内部は単純なボックス
フロントシートはナッパレザーを使った専用形状のバケット型スポーツシートヘッドレスト部にロゴマークが浮かぶ凝った意匠だ。ショルダー部のレバーを操作するとバックレストが倒れる運転席はポジションメモリー付の電動シート。シートヒーターも内蔵する
助手席側も電動&シートヒーター内蔵だが、メモリー機能は省略されるあまり実用的とはいえないリアシートかなり車高が低いフォルムだがダブルバブルルーフのおかげで頭上高には意外と余裕がある
D形状の本革巻ステアリング。分かりづらいが左ハンドル用とは形状やデザインが若干異なっているステアリング右側のレバーはワイパー用。先端のスイッチを押すとチェックプログラムが走り、メーターパネル内に結果が表示される左側はヘッドライト/ウインカーとクルーズコントロールの2レバー
ステアリングコラムの右前方には小物入れキーはドアロック/アンロック、トランクオープンなどのコントローラー付アクセル/ブレーキは滑り止め付のアルミペダル
運転席、助手席ともサンバイザー裏には照明付バニティミラーを用意クーペらしい大型のサッシュレスドア。下部には暗いところでの乗り降りに便利なカーテシーランプも
サイドシルにはロゴ入りのドアステップガードを標準装着ドアのアームレストにはパワーウインドウスイッチのほか、ドアミラーのコントローラーもボンネットのオープナーは左サイドに
グローブボックス内にヒューズボックスが配置されているため、容量はかなり少なめ321Lとかなりの容量を持つトランクルーム。リアシートを前側に倒すことで最大容量は639Lにもなり、ゴルフバッグふたつをラクに積み込むことが可能
トランク内にリアシートのロック解除レバーを用意トランクのマット下にも収納スペースを用意。黄色のボックスは電動コンプレッサー付のパンク修理キット。スペアタイヤは非搭載となる

RCZ LHD 6MT

撮影車両は「カーボンルーフ・インテグラル・レザーパック」仕様で、ボディーカラーはペルラネラ・ブラック

 

パッケージオプションを装着するとカーボンルーフ仕様に。素材そのものがカーボンになるワケではなく、標準ルーフにカーボンシートを貼り付けたものとなる。ボディーカラーがペルラネラ・ブラックの撮影車両の場合はカーボンルーフがマットブラックになるが、ほかのボディカラーの場合はシャイニーブラックとなるカーボンルーフ仕様の場合、ペルラネラ・ブラックのドアミラーカバーが装着されるが、撮影車はボディーカラーと同色となってあまり目立たないMTモデルはVTiなどを採用したEP6CDTXユニットとなる。出力は大幅にアップし、200PSとなる
MTモデルのタイヤサイズは235/40 R19。カーボンルーフ仕様のため、ホイールが「ソルティス(マットブラックオニキス)」になるカーボンルーフ仕様のキャリパーはシャイニーブラックに塗装されたものとなる標準車のホイールは「ソルティレージュ」になる
左ハンドルのみとなるMTモデルのインパネ。ステアリング形状やメーターパネルの意匠など、右ハンドル車とは細部がわずかながら異なっているトランスミッションは6速MTABCペダルとも滑り止め付のアルミタイプとなるほか、フットレストも装着される
乗り心地はかなりハードな印象だが操縦性は良好。200PSのエンジンを積むMTモデルはさすがに速い

 


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http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/photo/

(安田 剛)
2010年 9月 13日