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2015年のル・マン24時間レースフォトギャラリー

 テストデーのポルシェのタイムを見た時、誰もが驚きを隠すことができなかった。それほどポルシェのタイムは予想をはるかに上回ったものだといえた。

「4メーカーの激突」と言われた今回の「FIA世界耐久選手権(WEC)第3戦 ル・マン24時間レース」だったが、国内メーカーではトヨタ自動車が昨年トップを走ったことでマシン開発の方向性を信頼性に振ったが、ポルシェ陣営がトヨタを寄せ付けることはなかった。日産自動車にとっては今回の結果は少々厳しいものだったかもしれない。

 アウディはきっちり進化させてきたように見えたが、シャシー自体は昨年同様で、小改良にとどまった。パワーユニットの進化はきっちり見て取れたものの、ハイブリットシステムのコントロールはやはり難しいらしく予選ではしばしば不安定な姿勢でコーナーを立ち上がる姿が見て取れた。しかし本番ではこの兆候が見られず、安定した走りでポルシェを追い込んだアンドレ・ロッテラー選手の頑張りは称賛に値するものだろう。

 そして勝ったポルシェ、なんともはや圧勝である。走り出しの計測1周目でコースレコード! その後も他を寄せ付けないタイムを連続で叩き出した。そのタイムの出方には訳があった。ポルシェの使うリチウムイオンバッテリーは、新品時の性能がよくその後も安定はするものの、絶対的な性能は新品時に戻らないことから彼らはバッテリーを毎回交換して予選に臨み、圧倒的なタイムをマークしていたのだ。

 レースは完全にポルシェの手の内にあったといえる。耐久レースにおいてノントラブルで走り切ることが最優先事項であることはすべてのチームが理解している。まさにそれを実践したのが総合優勝を果たしたポルシェ 919 ハイブリッド(19号車)だった。序盤の混戦を無理することなく避け、他車がトラブルに見舞われるたびに順位を上げてトップの座を守り切る様は、まさに“横綱相撲”のごときレース展開だった。

 トヨタは昨年のペースで淡々と走るしかなくトップ争いに絡むことはできなかった。だが、トヨタは来年に向けてニューマシンの開発を明言、キャパシタを封印する可能性も示唆した。今年ポルシェが採用したリチウムイオンバッテリーは、他のメーカーに大きな影響を及ぼすことは明らかだが、その価格は一基2400万円とも噂されている。

Photo:中野英幸