NAOさんのDIYでクルマいじり
【第2回】LED間接照明を取り付けてみよう

 

スッキリ、密かに、さりげなく
 前回の作業でクルマからスッキリと電源を引き出すところまで完成できた。ここまでできれば、あとはアチコチにLEDキットを取り付けるだけだから楽勝だと思われるかも知れないが、「純正のスタイルを崩さず」にこだわる筆者としてはここからが勝負所なのだ。

 もちろん、電源分岐ユニットにLEDキットの配線を差し込み、テキトーにビニールテープか何かで配線を止めて、これまた空いている場所にLEDをペタッと貼り付ける。で、満足できる人ならば取り付け作業は10分で完了だ。だが、しかし、ここなら大丈夫だろうと思って仮固定して、ちょっとまわりを片付けて一歩下がって眺めてみると……違和感アリアリなのだ。

 クルマ純正のデザインというのは、莫大な費用と時間を掛けて設計されているだけのことはある。すべての造形に意味と機能があり、そこに思いつきでペタッと貼り付けてしまうと台無しになってしまうのだ。

  と、言うわけで、カット・アンド・トライのクルマいじり、はじまりはじまり。

 ミニバンのステップ部というのは、改めて見てみると相当大型になっている。スライドドアが大きく開口するのだから当然と言えば当然だが、ここまで大きいとLEDテープが足りなくなるのではと心配したが、LED部分が約1mあるため余裕で間に合った。逆に余った部分をカットすることになったため、このカット部分は後々また活用できるだろう。両面テープがしっかり貼り付くようにアルコールで拭いて脱脂するのだが、砂の付いたクツで踏まれるせいかステップ部は細かな傷がたくさん入り、なかなか綺麗にならない。ここで磨き職人モードに突入すると後の作業が進まなくなるため、ある程度磨いて仮固定作業に入る。

 筆者愛車のボディーカラーは白、内装色もアイボリー系、ステップの色もアイボリー。そして、取り付けようとしている間接照明モールは黒色。やる前から分かるだろと突っ込まれそうだが、試しにステップの縁側にそのまま貼り付けて見ると、見事なまでの違和感が発生。そもそも照らしたいのはステップのジュウタンではなくて地面なので、ステップ下部の縁側に移動してみると……、おや、なんということでしょう。まるで純正としてもともと付いていたかのような自然な仕上がりになった。まさにこれが「純正のスタイルを崩さずクルマいじり」の醍醐味である(言い過ぎか)。

まず手始めにスライドドアステップ部分にラインイルミネーションLEDを取り付けることに仮固定する前に、ステップ部分をアルコールで綺麗に拭き掃除。クツで踏まれる部分だけに汚れというよりも小傷が多く難航するある程度きれいになったので、両面テープをちょっとだけ露出させて仮固定テスト開始
仮固定とは言え、ゆがみなく、それなりにきれいに貼り付けて見るのだが……そもそも、白い内装に黒いモールを貼り付けている時点で違和感満点。黒い内装のクルマなら、これでもOKかも試しにステップ下部の縁側に貼り付けてテスト。もともとある黒いドアモールに近いため、かなり自然に見える
言われなければ分からないほど、純正もどき状態で取り付けることに成功!もちろん、スライドドアとの干渉もなし位置が決まったら両面テープをしっかり圧着して本固定し、余ったモールをハサミでカットする

 エーモン工業のフロアイルミLEDキットのLED部分は、幅8mmほどのテープ状になっている。テープそのものがフイルム状の配線基板になっており抵抗も取り付けられているため、ここにDC+12Vを流すだけでLEDを点灯させることができる。

 LED 3個ごとにハサミでカットできる個所が用意されており、必要な長さに切って使うことができるのも便利だし、カットした側も配線をハンダ付けすれば再利用することができ2度おいしい仕様になっていた。純正もどき状態でモールを固定できることが分かったので、早速LEDテープを仕込んで本固定作業に掛かったのだが、どうしてもLEDからの配線が見えてしまうのが気になるところだ。きれいに配線するキットなどもいろいろとあるようだが、やはり究極的には隠蔽配線にしてまったく見えないのがベスト。と、言うわけで、ステップ部を一旦取り外して配線を埋め込むことにしよう。

LEDテープは非常に薄く、自由に折り曲げることができる。が、LEDやチップ抵抗を剥がさないように取扱注意破線部分が「ハサミで切ってもよいよ」ポイント。銅色の部分はハンダ付けできるので、カット部分の再利用もできる。
ステップ1個所で余ったLEDテープはこのぐらい。9素子あり、小物入れなどの照明には十分すぎる光量が得られる黒い遮光モールの真ん中にある、白色の部分から光が漏れる仕組み。LEDテープは抜き差しできるので、後日の色変更も可能だ間接照明モールのアップ。光を集めて、1方向にだけボヤーンと照らす、うまい仕組みになっているのが分かる

きれいに仕上げるには、やはり一度バラさないと
 前回電源取り出しのためにインパネ部分を取り外したが、同じ理屈でステップ部なども比較的簡単に取り外すことができる。工場での生産性をよくするためなのだろうが、こうした部分はネジやボルトで固定されているのではなく、クリップで固定されている場合が多い。

 筆者は配線通しはもちろんだが、要不要に関わらず防音材や制震材をあちこちに詰め込むのも趣味としているため、車を買ったら同時に純正のクリップを数十個注文するようにしている。クリップは上手に外して上手に取り付けたつもりでも、歪んだり割れたりして再利用できない場合が多い。メジャーな車種であればカー用品店で互換クリップが売られているし、ディーラーで注文すれば1個数十円で純正クリップを購入することができるので、クルマいじりをするなら常備されたし。

 カーオーディオ取り付け部分のフィッティング情報はWebサイトで入手可能だが、ステップ部など内装の取り外し方法についてはなかなか情報が手に入らない。内装外し工具などでちょっとやってみてまったく外れない場合などは、壊す前にディーラーに問い合わせることをお勧めする。クリップは安いが、ステップ部を丸ごとバキッと折ったりすると相当な出費になってしまうからだ。ヴェルファイアのスライドドアステップ部は、力を込めて上に引き抜くとバキン!という精神衛生上よくない大音響とともに取り外すことができる。力の掛かる部分だけにクリップの数も多いので、怪我をしないよう、壊さないよう、気をつけて作業にあたる。

 ステップを取り外すと、配線が通っているプラスチック製のガイドが見える。車両内部に配線を通す際は、できるだけこの配線ガイドを利用して取り回すことをお勧めする。配線は走行中の振動などで意図せぬ力が掛かる場合があり、特に電源配線は万が一被覆が擦り切れたりしてショートや漏電が発生する危険性もある。

 車両火災など最悪の事態を防止するためにも、安全かつ確実な配線の引き回しが重要だ。バッテリー直結配線やスピーカーケーブルなど太く、純正の配線スペースにどうしても入らない場合は色々と工夫が必要になるが、これはまた機会があれば紹介したい。

 ステップ部に取り付けたLEDラインには1m程度の配線が予め付いているが、ハンドル下のコントロールユニットまでは届かないので市販の配線コードを接続して延長する必要がある。電気工作に慣れた方ならば直接ハンダ付けしても良いし、丁寧に仕上げるなら市販のギボシ端子配線キットなどを購入して加工接続すれば綺麗に仕上げられる。

もう何度も繰り返した作業だが、壊さないようにしっかりと力を掛けてステップを外すバキン!と音がしてクリップが外れたところ。写真では斜めに持っているが、できるだけ真上に引き抜くとやりやすい黒いフレーム部分に穴があり、そこに白いクリップがガッチリと食い込むようになっている
クリップをよく見ると、軽さと固定強度と抜けにくさを考え抜いたと思われる形になっている。だが、脱着を繰り返すと割れやすい大きなパーツを取り外した時は、パーツそのものを傷つけないことと、外したパーツで内装を傷つけないように注意が必要だ
モールには横から光が漏れないようにするカバーが付属しているが、今回は端から端までぴったりの長さで取り付けるため、あえて不使用ステップは大きくクリップも多いため、クリップの位置をよく確認した上でエイッ!と体重を掛けて取り付ける

 どの部分の配線にも共通して言えることだが、長さピッタリに配線してしまうと、振動や何かの拍子に引っ張られた時にすぐ抜けたり切れたりトラブルの原因となってしまう。配線長はある程度余裕を持たせ、要所要所に「遊び」の長さを作っておくとよいだろう。

 配線を通して、各部問題ないことが確認できたらステップを元通りに取り付ける。外すときも力が要るが、取り付けにもまた力が必要だ。思い切り体重を掛けて押し込む訳だが、その前にクリップが正しい位置にあるかどうか要確認。取り外した際に位置がずれたり、車体側にクリップだけが残っている場合もあり、これを確認しないで無理矢理押し込むとクリップが割れてしまうのだ。

次回はより大胆に、そして上品に、LEDキットで車内イルミをコーディネート
 電源分配キットは取り付け済み、LEDはキットを用意、これなら一瞬で取り付けできるぜ!と思いきや、きれいに仕上げようとするといくらでも手間は掛けられるということを奇しくも証明してしまった訳だが、その分仕上がりは実に満足できるものとなった。

 通常それなりに時間が掛かる配線引き出し作業やLEDの組み付け加工作業を、キットを活用することで大幅に時間短縮。その分の時間と体力と気力を、取り付け場所の選定や、微妙な位置・角度の調整に使うことで、目標としている純正もどきスタイルを実現することができた。次回は車室内のLEDイルミも活用して、美しくくつろげる空間の創造にチャレンジしてみたい。

夜を待って、スライドドアステップ部の間接照明をテスト。おおぉ、想像以上の自然な仕上がりに大満足!イルミネーションコントローラーを接続しているので、光量も自由に制御できる。これは「大成功」かも
 なかなかうまくお伝えできないので、パッケージの説明をちょっと拝借。じわ~っ、ふわふわ~ん、なのだスライドドアステップを間接照明化したら、次はフロントドアも、あっちも、こっちも……夢が広がるクルマいじり。
釣り場での雨宿り場所としても便利な?バックドアの下。バックドア部分にぐるっと一回りLEDラインを取り付けると、夜釣りに便利かも。(未実行)
今回使った照らすタイプの間接照明に加えて、イルミネーションとしての発光チューブもいろいろと用意。買いすぎ?(笑)今回見つけた珍百景① 残暑厳しい日の屋外作業で、気がつけば体中に虫さされの跡が。カユイカユイカユイ!!(汚ない足でスミマセン)


2011年 12月 2日