【新連載】NAOさんのDIYでクルマいじり
【第1回】クルマのデンキをいじってみよう

 

さいたま市在住のNAOさん。クルマいじりは電装系もエンジンも足まわりも何でもござれで、現在の愛車はトヨタ「ヴェルファイア」

 クルマいじりと言えば、初歩的なものでは、アクセサリー追加やオイル交換、上級者になるとエンジン交換などをしてしまう人もいるだろう。今回から始まるこの連載では、ライトなものから、ここまでやるの?というヘビーなものまで、なるべく市販品を工夫しながら使うことで、クルマいじりに挑戦していく。筆者は、電気関連に強いNAOさん。今回、電気関連のDIYを紹介するが、静音などのトレンドも紹介していく。連載の方向性はとくに決めていないため、あんなことをやってほしい、こんなことをやってほしいという意見があれば、ぜひCar Watchまで連絡を。


「クルマいじり」楽しんでいますか?
 物心が付いた頃から電池で動くクルマのおもちゃに目がなかった筆者にとって、クルマを所有し、クルマいじりをすることは幼少期からの夢だった。そして免許取得から間もなく念願叶ってクルマを手に入れると、さっそくカーステレオやスピーカーを取り付けるためにあちこちバラバラに分解したことを今でも鮮明に覚えている。

 もちろんライフスタイルに合わせて「クルマいじり」のテーマもさまざまに変化し、当初は馬力、エンジン音、吹け上がり、グリップといった走り重視だったものの、現在では静音性、快適性、画質音質など動くリビングとしての要素を重視して楽しんでいる。コンピューター化が進みクルマもどんどんブラックボックス化しているとは言うものの、本連載では比較的簡単にチャレンジできる内容を紹介して行くので、皆さんも理屈は抜きにして先ずは楽しんでみてはいかがだろうか。

クルマのデンキをいじる前に
 カーナビやテレビなど電装品の取り付けはもちろん、ちょっとしたデンキ系クルマいじりの際にも気をつけたいのが「デンキ系クルマいじりの前には、必ずバッテリーのマイナス側ターミナル(端子)を外す」というお約束だ。作業は簡単、ボンネットを開けてバッテリーのマイナス側ターミナルをボルトで緩めて外すだけだ。

 プラス側ターミナルを外したい方もいるかもしれないが、ボディーやエンジンなどほとんどの金属部分はマイナス側と接続されているため、外したプラス側ターミナルが金属部分に接触すると機器に残っている電流が流れてショートしてしまうことがあるのでお勧めできない。

 車内に設置されているDC12Vソケットにアクセサリープラグを接続するだけならわざわざバッテリー端子を取り外す必要はないが、見栄え重視で裏側から直接配線する方も多いと思う。この程度なら大丈夫だろう、ヒューズ飛んだら交換すればよいなどと手を抜くと、思わぬトラブルを引き起こす可能性があるため要注意。

 一昔前のクルマであれば、ヒューズの場所も数も少なく楽だったが、最近のクルマはアチコチに小さなヒューズやECU(車載コンピューター)が分散され、ショートした個所によっては付近のECUが壊れてしまい修理に何万円も掛かるという場合もあるそうだ。

 また、車種によっては1度バッテリーを外すと一部のECUがリセットされて、アイドリングが一時的に不安定になったりパワースライドドアなどの調整が必要になったりする場合がある。気になる場合は、事前にディーラーなどに相談してほしい。

まずはボンネットを開けてバッテリーを確認。ついでステーの緩みがないかなどもチェックしておこう10mmレンチなどでマイナスターミナルのボルトを緩める。間違ってもプラス側端子とショートさせないように注意!バッテリーターミナルにはさまざまな配線が接続されているが、一番根本のボルトを緩め、ターミナルを丸ごと取り外す
まったく初めてで、工具も何も持っていないという方は、この機会に安物でもよいのでレンチセットを用意してみてはちなみにこちらはカバーを外したプラス側ターミナル。汚れていたらカラ拭きしておこうアクセサリープラグを使えば、バッテリーを外したりいろいろ分解しなくても配線ができる。が、どうしても「後付け感」は否めない

LED工作キットを使って手軽にスタート
 記念すべきクルマいじり第1回は何にしようか相当悩んだのだが、誰でも手軽にスタートでき、かつ効果が分かりやすいということでLEDを使った車内イルミネーションにチャレンジしてみよう。

 最近は家庭用やヘッドライトなど応用範囲がどんどん広がっているLEDだが、低消費電力、低発熱、かつ小型とクルマいじりにはもってこいの特徴を備えている。秋葉原など電気街でLED素子を1つ1つ買って取り付けるという手もあるが、組み付け不良などでLEDが焼き切れてしまった、同じ部品のハズなのに色がバラバラで格好わるい、という話もよく聞くので、やはり大手メーカーのキット品からスタートするのが確実だろう。

クルマいじりの定番、エーモン工業の「フロア用イルミLED」。LED部の長さは1mもあり、フロアへの取り付けに便利。シート上にLED48個と必要な抵抗が配置されているので、DC+12Vを供給するだけでキレイに発光する。白色(写真左)と青色(写真中)があるので、好みで選ぼうフロア用LEDを差し込むと間接照明を作ることができる「フロアイルミ フレックスレンズカバー」。ステップ部に取り付ければ、お出迎え仕様の高級車に変身!?
太い光ファイバー?のような透明チューブの端に高輝度LEDを取り付けることで間接発光できる「ラインイルミ 間接発光チューブ」。より自由度の高い設置が可能だ「ラインイルミ専用LED」(写真中)と「ラインイルミ ライン発光チューブ」(写真左)。専用LEDは相当高輝度なので、即席ダウンライトなどの工作にも応用できそうだ
「LEDイルミコントローラー」は、ただ単に点灯させるのではなく、純正照明のようにじわ~っと発光させることができるコントローラー。LED付きスイッチも純正風デザイン「プラス・マイナス分岐ターミナル」。電源分岐ターミナルを使うと、配線が楽になるだけではなく、万が一トラブルが発生した際にも車輌側への悪影響を防止できる「LED用配線セット」。アクセサリープラグは使いたくないけど、裏側の配線も面倒だ、という方に便利な配線キット。ギボシ端子接続で既存機器から分岐配線できる

 さて、使ってみたいLEDキットを用意した訳だが、当然これらは電源がなければ光らない。前出のとおりアクセサリープラグを使用すれば極々簡単に点灯させることができるのだが、筆者的にはやはり内部から電源を取り出して綺麗に仕上げる方法を選択したい。

 クルマからDC+12V電源を取り出す方法はいくつかあるが、今回は比較的手軽かつある程度の容量を見込める「アクセサリープラグの裏から取る」作戦で行こう。作業方法はアクセサリープラグ裏側にアクセスできるようにパネルカバー類を外し、配線を確認し、配線コネクタ(エーモン工業 ITEM No.E488等)または直接ハンダ付けで引き出し用電源ケーブルを接続する。文字にすると簡単だが、初心者の方は「パネルカバーを外す」という作業で相当手こずると思われる。無理矢理外そうとしてパネルを割ったりすると高く付くので、外し方が解らない場合はディーラーに尋ねるか、アルパインがWebで提供している「車種専用取付け情報」(http://www.alpine-fit.jp/tech-info.php)を参考にしてほしい。

 ※DC+12V/120W=10Aと言えば結構な容量だが、今回はあくまでもLED照明やちょっとした電装品の取り付けを想定してこの方法を紹介させてもらった。パワーアンプやカーテレビをどんどん取り付けよう、といった用途には容量不足で適さないため注意してほしい。

クルマから電源を取る各方法のメリットとデメリット

方法メリットデメリット
アクセサリープラグを普通に使う超簡単見た目がイマイチ
アクセサリープラグの裏から120W確保できるちょっと面倒※1
ヒューズボックスからパーツ使用で簡単場所によっては面倒※2
既存のカーナビ等から分岐接続が簡単容量不足の恐れ※3
バッテリーから別配線を引く大容量OK作業が超面倒※4


※1:アクセサリープラグの位置にもよるが、配線さえできれば確実に最大DC+12V/120Wの容量が確保でき、安心して使用できる。
※2:ヒューズ配線キットを使えばほぼワンタッチで配線できるが、ヒューズボックスの位置によっては作業がやりにくい場合も。
※3:車種によっては、カーナビなどですでに系統電流容量が満杯の場合も。最悪、ナビなどを全部巻き込んでヒューズが切れる怖れも。
※4:いろいろやりたいなら最終的にはこれが便利。だが、エンジンルームから車内へケーブルを引き込むなど多少難しい作業が必要。


昔「シガーライターソケット」、今「アクセサリープラグ」。分かりやすく電圧と最大容量が書かれている形状そのものは昔から何ら変わりはない。奥の丸い部分がプラス極で、周辺の銀色部分がマイナス極
ACCまたはエンジンON状態で差し込めば通電。実に簡単で分かりやすいが、プラグが思いっきり飛び出すので筆者はちょっと遠慮したい
アクセサリープラグの裏側にアクセスするために、インパネの一部を外したところ

 筆者愛車の場合はすでにいろいろな配線がスパゲッティ状態になっているため写真が分かりにくくて申し訳ないのだが、標準状態であればすっきりと1組の配線がプラグ裏側から伸びているはずだ。カーナビなどの電源配線から分岐する場合も、このようにパネルカバー類を取り外して接続する。1度コツを覚えれば簡単に外せるようになるが、あまり何度も脱着しているとツメが割れたり甘くなったりするため、よく考えてできるだけ1発作業で決めるようにしたい。

 接続したケーブルはパネル内部のすきまを通し、電源分配キットを固定する場所周辺から引っ張りだす。今回はハンドル右下の部分に取り付けるため、結構な距離を配線することになった。言うまでもないが、通した配線がハンドルなどの可動部に絡まるなど、事故がないよう十分注意が必要だ。

 1度電源分配キットを取り付けてしまえば、以後はそこから先の部分のみでいろいろと作業できるので、これはぜひ取り付けておくことをお勧めする。イルミコントローラーのスイッチを含め、便利に使えてかつジャマにならない固定場所をいろいろ試したが、筆者の場合はハンドル右側のスイッチ部分にまとめて取り付けることにした。車種によって使いやすい場所、配線しやすい場所が様々なので、ここは各自チャレンジしてほしい。末永く何かと活用する電源部分なので、ちょっと面倒でも頑張って取り付けよう。

電源分配ユニットは、最大5Aの電流を4系統に分配することができる。付近にヒューズを1つ入れておけば、より安心ボタンを押すだけ、工具不要の脱着端子が付いているため配線作業がとても楽になる
既存のスイッチやレバーへ干渉しないことを十分に確認し、スイッチ類の取り付け位置を決める。最初にアルコールなどで綺麗に拭き、付属の両面テープでしっかりと固定しよう
「見せる配線、見せる固定」を意識して、コントロールユニットはステアリングコラム下に固定コントロールユニットの隣に電源分岐キットを固定。デザインが揃っているので、並べても違和感がないコントロールユニットは2系統取り付けることにした。この場所なら配線をすぐ内部に隠せるので、後付け感も最小限にできる
ちょっとやり過ぎかとも思ったが、結局3つ並べてこの位置に固定。配線も最短でできるので何かと便利

「フロアイルミ用LED」などを使って、まず手始めに、ステップ部分に間接照明を取り付ける予定。キットを用意して、箱から出して眺めているだけでも楽しくなってくるぞ(笑)

次回はいよいよLEDキットの取り付けにチャレンジ!
 クルマからの電源引き出しと分配ができれば、さまざまなLEDキットを取り付けて楽しむことができる。はやる気持ちを抑えて、取り付け作業を行った各部分をもう1度点検し、できればテスターなども使ってショートなどがないことを確認し、その後で最初に取り外したバッテリーターミナルを元通り接続する。

 もし万が一、この先の作業でショート事故などが発生した場合でも、電源分配ユニットの途中に取り付けたヒューズでブロックできるので、今後はいちいちバッテリーターミナルを取り外さなくても済む(もちろんそれでも心配な方は、毎回取り外しても構わないが)。

 これまでデンキ系クルマいじりをしたことがないという方も、これを機会にちょっとした工具やキット・パーツなどを用意して、ぜひチャレンジしてみて欲しい。

今回見つけた珍百景① スライドドアの金具が、なにやら面白い顔に見える
今回見つけた珍百景② ステップ部をまじまじと見ると、うーん、さすがは兄弟

 ※クルマいじりは自己責任で。無理な改造は事故や故障、怪我の原因となる場合があります。もちろん、違法改造はやめましょう。


NAO
クルマいじりは電装系もエンジンも足まわりも何でもござれのNAOさん。現在の愛車はトヨタ「ヴェルファイア」。ドライブはもちろんアウトドアも大好きで、歴代愛車はどれも過走行状態に。純正のスタイルをできるだけ維持しつつ、家族がくつろげる快適さを追求するのがモットー。

2011年 11月 16日