NAOさんのDIYでクルマいじり
【第6回】ボーカルもはっきりさせて心地よく

 

キット取り付け前の状態。お手軽なDIY作業で低音とボーカルをはっきりさせて、心地よいリスニング環境を手に入れられるのか!?

デッドニングによる静音化+音質向上を体験してみよう
 コストと性能と軽量化を最適なバランスで達成しているであろう現代の日本車に、無駄な部品や無駄なスペースというのはおそらくないだろう。サービスホールにしても、不幸にしてドアをぶつけてしまった場合などに内側からの作業を容易にする大切な機構ではあるのだが、写真のとおり、両手を広げてもふさげないほどの大穴はスピーカーボックスとして致命的だ。先ずは最もお手軽に取り付けができる「音楽計画 低音しっかりキット」を試してみることにしよう。

 取り付け方法は至って簡単、ビニールシート越しに見えているサービスホールの大きさにあわせて吸音スポンジシートをカットし、それをビニールシートに貼り付けるだけで完了だ。車種にもよるが、ビニールシートの一部には切れ込みが入っており、ドアノブやドアロック用の可動部分が顔を出しているのでそこには干渉しないように気をつけよう。

この大きな穴から、ロードノイズ、余計な共鳴、抜けてほしくないスピーカー音圧などがダダ漏れになってしまう大掛かりな施工作業をしなくても、ビニールシートの上からキットを貼るだけで低音に迫力が出るなら、こんなよい話はないぞ
仕掛けは簡単でも、作業は丁寧に。めったに掃除できない場所なので、付属のクリーナーでしっかり下処理しよう
サービスホールよりちょっと大きいぐらいにカットした吸音スポンジを、しっかりと貼り付けていく大きめに貼ったほうが効果がありそうな気もするが、やみくもに貼ると内張と干渉してしまう場合も

 作業に使ったトヨタの「デュエット」は、カーナビとフロントスピーカーのみ市販品に交換しているが、他はドノーマル状態なので先ずはこのシートを貼っただけでの効果を確認しよう。せっかく分解したのだから一気に作業を進めたい気持ちはもちろんあるが、効果を確かめながら進めた方がより楽しめるぞ。

 左右ドア内側に「低音しっかりキット」を取り付けたら、内張を一度元に戻して音楽を聴いてみる。停車状態では「ちょっと中低音がハッキリしたかな」程度の印象だったが、近所を一回り走ってみると確かに以前よりも低域が聞こえてくるのが分かる。ちょっと貼っただけでこの効果、これがデッドニングの面白いところだ。

固定ピン用の穴と干渉しそうな部分は、しっかりとカットする。細切れになったスポンジも再利用できるので大切に貼り付けが完了したら、もう一度可動部との干渉がないかどうかをチェック。ドアが開かないと困るでしょ?吸音スポンジシート2枚で貼れる分だけを施工してみた様子。見た目的にも若干高級感が増したような?

「低音しっかりキット」に加えて、「ボーカルはっきりキット」にも挑戦
 ビニールシートの上から貼り付けただけで効果が体感できたのだから、もうちょっと内部にも手を入れればもっと効果が得られることは容易に想像できる。と、言うわけで、同じくドアスピーカー周辺に作業するタイプの「ボーカルはっきりキット」を試してみよう。

 サービスホール部分は先ほどの作業で改善できたが、スピーカーの周辺はビニールが寂しくたるんでいる状態だ。デュエットの場合、スピーカーの裏側はドア外側の鉄板がむき出しの状態になっており、見るからにスピーカーとロードノイズが喧嘩していそうな状態だ。

 ドアそのものの振動ノイズを抑えるべく、アルミ制振材をドア内側に貼り付けていく。使いやすいサイズにカットされているので、1枚ずつ位置決めをして付属のヘラで押しつぶすように貼り付ける。ドア内部には鋭利な部分もあるため、手袋をするなどして怪我を防いでほしい。スピーカー裏側部分のドアパネルに吸音スポンジを貼り、スピーカーを再固定し、スピーカー外周部に特殊吸音スポンジをグルリと1周貼り付ける。

せっかくのスピーカー、実力を発揮させるためにもデッドニングはぜひ行いたいものスピーカーはネジ3本で固定されている場合が多い。もしリベット固定されている場合は、別途ネジを用意しようスピーカーの裏側は、文字通り鉄板むき出し状態。これではドラム缶の中で音楽を鳴らしているようなものだ
吸音スポンジシートの粘着力は強力なため、ビニールシートなど余計な部分が張り付かないように作業する
スピーカー外周部に特殊吸音スポンジを使用した防音テープを貼る。かなりの薄さまで潰れて、しっかり密着されるドア内張は、取り外しよりも取り付けのほうが大変。クリップの位置を合わせつつ、バランスよく取り付けていく必要がある

 はやる気持ちを抑えつつドア内張を元に戻し、先ほど同様に試運転してみる。これは分かりやすい(笑)。思わず1人で笑ってしまうほど、音の明瞭感がよくなっている。近所を走行してみると、音質向上はもちろんだが、フロントドアからの騒音が少なくなっていることが明らかに分かる。お手軽施工で効果が体感できるデッドニングキットは、是非チャレンジしてほしいアイテムの1つ。次回もお楽しみに!

※クルマいじりは自己責任で。無理な改造は事故や故障、怪我の原因となる場合があります。もちろん、違法改造はやめましょう。

思い出した珍百景① こちらは筆者が以前に購入した業務用の制振材。大きさは1枚100×50cm、重量も相当ある。青天井で予算と体力が使える人は、こちらもアリかも(笑)


NAO
クルマいじりは電装系もエンジンも足まわりも何でもござれのNAOさん。現在の愛車はトヨタ「ヴェルファイア」。ドライブはもちろんアウトドアも大好きで、歴代愛車はどれも過走行状態に。純正のスタイルをできるだけ維持しつつ、家族がくつろげる快適さを追求するのがモットー。

2012年 2月 28日