女子的東京オートサロン
過去最高の来場者数となった「東京オートサロン2012」。会場入りしてすぐに場内の雰囲気を撮影しようと下方を見下ろすと、この人だかり! 気合を入れてエスカレーターを降りたのでした(苦笑) |
30回目を迎えた東京オートサロンは、255,709人という過去最高の来場者数だったのだとか。おかげで最終日となる日曜日に行ってみると、会場は移動も困難なほどの人で溢れかえっていました。
オートサロンと言えば展示内容もジャンルもいろいろ。クルマもそこに集まる人も、バラエティに富んでいてカラフル。それぞれのブースや展示車などは個性が勝負なわけで、モーターショーよりもよっぽど生々しくてエネルギッシュで俗っぽく、それが独特の熱気を生み、モーターショーとは違ったムードが私にとっては楽しい場所です。
それに普段なら目に留めないようなカスタマイズカーやアクセサリーパーツも必然的に目に飛び込んでくるから刺激的。ただし、あまりの人の多さに見逃しているブースも少なくないはずです。
会場で何人かの方にお話しをうかがってみても、毎年のように足を運び、さまざまなジャンルのクルマたちの変化を見るのが楽しいという方が多かったのです。一方で偶然お会いした知人男性は2人のお子さんと一緒で「奥様は今日はご一緒ではないのですか?」と聞くと「嫁は疲れて休んでます」とのこと。これも現実(苦笑)。
群馬県から来ていた男子2人は、まずお目当てのメーカーやショップに行き、どんなクルマでどんなカスタマイズを行っているのか“今年の方向性”のようなものを確かめるのが毎年恒例であり、オートサロンはそのための行事的なイベントになっているのだとか。その後は“ドレスアップ業界”見学に徹し、女性の品定めも欠かさないのだとか。
カップルで来られている方も、声をかけた方たちは皆さん女性もクルマ好きというから頼もしい。ホンダの水色ボディが可愛いステップバンの前で「こういうカワイイ系のクルマがあればもっといいのに……」という会話を小耳に挟んだ私。都内から来たというそのカップルにお話しをうかがうと、セダンのカスタム系が好きという男性は「毎年来ているけれど最近はファミリーミニバンが多いのが印象的ですが、楽しんでます」とのこと。女性の方も「クルマが嫌いじゃないので来ているものの、もう少しカワイイ、女子目線も欲しい」と本音を語ってくれました。
RE雨宮ブース前で昨年に続き今年も来場者にお話しを伺いました。毎年、こちらのデモカーを見るのが楽しみだという人が多いみたい。人気がありますね。コンテストで受賞されていました | 「こんなクルマみたいな可愛いクルマがもっとあったらいいのに……」と呟くカップルの女子。ちなみに彼はセダン系カスタム志向。お話しをうかがったあとで、後姿ですが撮影に協力していただきました |
そんな中で今回私が一番新鮮だったのがピンクの「マーチ」とブラックの「タント」を展示していた「G-CORPORATION(ジーコーポレーション)」という会社でした。渋谷のマルキュー(109)を意識していたのかいないのか……。いや、むしろそこに集まる女子たちがそういう雰囲気を作り出していたのかもしれません。女子たちが写真を撮ったり品定めをする様子をこれほどまでに見る機会がこれまでのオートサロンであっただろうか!
この会社はこれまで男性向けにカスタムカーの展示のみ行っていたそうですが、今年はそれに加え、ブースを借りて女性向けのホイールやアクセサリーパーツの展示を行うことにしたのだそうです。もともと女性向けのドレスアップパーツが少ないことからカラフルなホイールの販売を始め、今ではインパネやシフトノブ、ナンバーフレーム、デカールなどをネットでも販売しているのだとか。
アイデアは社内の女性たちからはもちろん、お客さんの方から問い合わせや意見があり、それを参考にすることも多いのだそうです。例えば「ホイールのハート型は少しブリッとした横基調のモノのほうが可愛い」という意見がありデザインを変更したとか、「私のクルマに合うエアロパーツはありませんか?」という声を拾ってバリエーションを増やしたのだそうです。
「女性たちはもっと車内を自分の部屋のようにしたいんですよね。でもこれまでは明らかに用品が少なかった」とはG-CORPORATIONの川端さん。ホイールの変更の際にインチアップすることが多い男性に対し、純正タイヤを使える方が女性は嬉しいわけで、その点もしっかり押さえてサイズ展開を行っているところも素晴らしい!
マーチのフロントエンブレムがピンクのラインストーンで飾られたのを見て「こういうの可愛いね」と話す親子に話かけてみると、お母さんがクルマの買い替えを検討中で、数年後にはお嬢さんが免許を取ったときにそれをお嬢さんが乗れるように、2人でクルマ選びをする予定なのだとか。その際に少しでもクルマを飾りたい母娘はココで2人の好みを確認しつつ、今後のクルマ選びの参考にするのだそうです。
栃木から来ていたファミリーのお母さんと娘さん。次のクルマは娘さんが免許を取ったらそのままお下がりが乗れるように、2人でクルマ選び、ドレスアップをしていくのだそうです。楽しそう~ | ピンクの帽子がタントのデコと合っていた女子は買ったばかりのプリウスαのドレスアップのジャンルを決めるために来場 | 本当に女子が立ち寄ることが多かった |
他にもプリウスαを買ったばかりという群馬から来た女子も、今後のドレスアップをどういうジャンルで行っていくかを決めるために、オートサロンに来たと言います。ぶっちゃけ、クルマが生活の足となっていて1人1台が当たり前の土地に住む女子にとって、クルマの移動は大事な時間なんです。そういう土地で育った私としては、女子にとってのクルマや移動時間の価値観は今も変わっていないのだということが実感でき、懐かしくも嬉しい出来事となりました。
いろいろとお金を使うことは多いけれど、そんな中でクルマ生活も充実させたいという乙女心、応援したいです。コチラの会社では今後もマーチやヴィッツなどのコンパクトカーやタントなど軽自動車を中心にバリエーションを増やしていく予定があるそうです。前出の男子2人じゃないけど、個人的には来年はコチラの会社の“今年のラインナップ”を楽しみに来てみたいと思っています。
東京モーターショーと東京オートサロン、この2つのイベントの増加傾向にある来場者数を見ただけでもクルマに興味を持つ方が増えているように思えます。人混みはあまり好きではないけれど、この実感こそがクルマ好きの私自身のエネルギーの源になるような気がしています。毎年恒例1月の東京オートサロンに行って、ますます今年も頑張ろうという気分になりました!
通路にシケインを作るほどカメコが集まるブースも多数あり、群れにつられて一緒になって覗くと、確かにステキな女性が……品定めしたくなる男性心理も理解できます | 「D.A.D」好きな女子もいます |
実際に走る姿を見てみたい1台でした | スバルブースでは「人垣で隠れているのはギャル?それとも……?」と期待を込めて除くと、期待通り、BRZに注目が集まっていたのでした |
■飯田裕子のCar Life Diary バックナンバー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/cld/
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2012年 1月 20日