北京モーターショーを通して中国を知る!?(後編)

街角で見かけたジーリー「パンダ」の3輪車。TEINのステッカーがクルマの印象とギャップあり!?

 今回は、Auto China取材で訪れた北京での、記憶に残るヒドイ体験を2つ。

 まずは着陸間際の北京上空から。眼下は薄灰色で何も見えない……スモッグです。こんなにヒドイ状況はこれまでにどこの国でも体験したことがなく「本当に大変な状況だ」と思いました。

 クルマの渋滞のひどさは2年前に訪れたときと変わらず……スモッグも納得の状況でした。しかし現地駐在員の方いわく「盆地だからスモッグが溜まりやすいのかもしれませんが、こんな状況は実はめったにない」とのこと。

 プレスデーが終了した翌日には素晴らしい晴天と青空が見られたものの、それは開催2日目に降った雨が大気を浄化したことは間違いなく、北京五輪の会期中に化学物質の入ったロケットを打ち上げ、雨を降らせて大気浄化を図ったことを思い出す出来事になりました。プレスデー開催期間に発生したスモッグが、海外から訪れたプレスたちの感想をネガティブにしてしまったのは間違いありません。青空も見られて本当によかった。

渋滞が激しい北京には、まだ1馬力(馬)の存在も……相変わらず渋滞が激しい北京市内街のガソリンスタンド
会場で屋外を抜けて別棟に移動する際、違和感に気付いて空を見たら、今までに見たことのない色をした太陽が……これはスモッグの影響でしょうか最終日、王府井(ワンフーチン)を歩いていたときに広がっていた青空。渋滞とスモッグが問題視される中でも、通常の北京の空の色は青いのだそうです

 今回はほとんどの移動に地下鉄を利用しました。会場まで路線が開通していたのです。所要時間は3回の乗り換え時間も含め、片道で1時間強。クルマの場合は倍近い時間がかかったと記憶していますから、時間が読めるのもありがたい。

 北京市内の地下鉄の料金はどれだけ乗っても2元。日本円で26円(13円/1元換算)と超格安です。これはクルマの渋滞を減らす政策だと聞きましたが、ビジターにとっても旅費(経費)が安く済むから嬉しいです。

 中国人のモラルや“中国人はこういうもの”というのがよく分からない私でしたが、一緒に行動していた同業女子たちとの共通の認識は、人間の距離が近いという点でした。エスカレーターに乗る際も、電車の中でも「もう少し離れていただけると……」と思う場面だらけ。混雑した車内で乗客の距離などないのは当然ですが、人と人とが触れていることを意識して気を遣っているかどうかの気持ちって伝わるものではないでしょうか。それが感じられないから何だか落ち着かないのでした。

 聞けば、日本人の距離感は、欧米人にとって少し近いと感じるのだとか。そんな日本人が“近い”と感じる中国人の距離感は、かなりのものです。ですから、荷物や手や腕が当たることもしばしばでしたが、そんなことも気にしない様子。クルマの運転にこの感覚が取り入れられていなければいいなぁと願うばかりでした(余計なお世話?)。

 朝夕の地下鉄利用では混雑状況も様々でしたが、乗車マナーは思ったよりもわるくありませんでした。ところが……。

ショー会場へ向かう電車の中で見かけたトヨタの広告。1メーカーの広告で車輌を統一するのは日本と同じでした地下鉄の駅には“秒”まで表示するデジタル時計をあちこちで見かけました。“秒”までって、どれだけ正確さにこだわるんだろう。実際、電車の発着時刻は日本のように正確な印象を受けました
地下鉄15号線「国展」駅がAuto China会場の最寄駅駅では、空港にあるような荷物検査機に荷物を通す必要があります。キップはカード式で、入場の際に機械にかざす方法は日本のチャージ式のカードと同じ。一方、出る際にはそのキップを投入口に入れてしまいます

 北京の銀座と言われている王府井(ワンフーチン)に出かけたときのこと。滞在ホテルからは、乗り換えを入れてもたった2~3駅でしたが、ラッシュアワーにしては遅い時間にもかかわらず、地下鉄は乗客で大混雑。駅に到着して人々が降りようとしても、誰1人、入口付近の人ですら微動だもせず……仕方がないから人混みをやや乱暴にかき分けて出口に向かうと、今度はドアが開いた直後から人々が乗り込んで押し戻される始末……あわや私1人降り損ねるところでした。

 人という障害物を掻き分けながら「なんで?どうして?」という怒りにも近い感情がフツフツと湧いてきました。もしも、今回の北京で地下鉄乗車体験がこの1回だったら、私の印象は最悪のものになってしまうところでした。北京で地下鉄を利用される場合は、ご注意を。

 スモッグにしても電車マナーについても、北京のよし悪しを垣間見られたことはよい経験。

 ショー会場では、驚くほど対応のよい説明員の方とも出会い(前編をご覧ください)、ホテルだって快適。食事も美味しい。

 私にとって2度目の中国訪問が、またもや2年ぶりとなるAuto Chinaでした。2度の訪中が北京ということで、他の土地を訪れたことはありません。同じ場所だからこそ見えるものもあるけれど、むしろ新しい体験をすることのほうが多い。だから外国に出かけるのが楽しいわけで、来年は上海ショーに出かけて新しい中国を見てみたいと思っています。

露店の風景モデルカーはドイツ車系が人気? こうして中国の子供たちの間にも憧れのブランドができ上がっていくのかも?“鳥の巣”(北京国家体育場)やウォーターパーク(元 国家水泳センター)のあるオリンピック公園は、日曜日の夜もにぎわっていました。ミッキーやミニーも撮影を頼まれるほど大人気(苦笑) オヤオヤ……という光景でしたが
ショー会場や街のあちこちでも見かけた「上島珈琲」。日本の上島珈琲はUCCですが、中国のは「UBC」北京と言えば、やはり北京ダック。毎日よく歩き、美味しい夕食を食べ、フットマッサージに行ったりもしました。食事もマッサージも日本に比べ、やはりリーズナブル

飯田裕子のCar Life Diary バックナンバー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/cld/

(飯田裕子 )
2012年 5月 10日