北海道ぶらりドライブ
支笏湖の湖畔にて |
GW明け、前日までお仕事で来ていた北海道を、せっかくだからぶらぶらとドライブしてみることにしました。それも結果的には、今までとは少し違うカタチでドライブすることになったのでした。
札幌に滞在していて、帰りも新千歳から東京に戻るチケットを取っていたので、必然的に移動範囲は決まります。それでも東西南北、行先はフリー。
今回は、たいして土地勘もないのに、行く先々で次の目的地を決めるようなドライブになりました。そこには地元の方のアドバイスや、口コミ、フェイスブックのお友達の情報が大きかったんです。周囲の人々が、A地点→B地点→C地点とドライブポイントを結んでくれたのでした。
普段なら、慣れない土地であればなおさら、ある程度のプランを立てて行動することで、安心を得ながら旅を楽しむことも少なくないんです。が、今回は目的地を洞爺湖とした以外はあえて行き当たりばったり。
洞爺湖に目的地を決めたのも「札幌から出かけるおススメドライブは?」とお仕事で伺ったディーラーの方に聞いたところ、洞爺湖までの峠道ドライブをすすめられたのでした。しかしその翌日、おすすめの峠道「中山峠」が通行止めと知らされます。札幌周辺のGWのお天気は、かなり荒れ模様だったのだとか。そこで新たに支笏湖経由で向かうルートを教えていただいたのでした。
朝、レンタカーをピックアップし、カーナビをセット。まずは支笏湖を目指します。土地勘はなくても北海道の郊外を走る気持ちよさは過去にも経験がありますから、早く街の中を抜け出したい気持ちでレンタカーの「アクア」を走らせました。札幌市内は桜も咲き、新緑の芽吹きも始まっていましたが、周囲の風景に徐々に木々が増えはじめると、景色はまだまだ春が始まったばかりのような季節を逆戻りしているようなドライブがオモシロイ……。
美幌峠に入ると、残雪が増え水量の豊富な川沿いを走りました |
一般道のドライブの楽しみの1つは「道の駅」です。今回立ち寄った2カ所の道の駅はローカル感が満載で、おかげでローカル道路を旅をしているという実感が魅力的に増すような施設でした。地元の特産物の販売や特産物を使ったお食事、工芸品や観光施設や宿、レストラン情報などもゲットできます。それも、超ローカル情報が手作りの資料によって紹介されているところが温かい。
また北海道の道の駅と言えば、スタンプラリー。知ったような事を言ってますが、実は以前、札幌市内で出会った私の母親世代の姉妹が、道内の道の駅(141カ所)を毎年制覇するべくクルマでドライブに出かけている、というお話を聞いたことがあったんです。目的は各「道の駅」のスタンプを集め、すべて集めて賞状をもらうことでした。ささやかな目的が広大な北海道をクルマで旅する気持ちを盛り上げ、それを嬉しそうに話してくれた2人の女性の笑顔が印象に残っています。
しかし実際にクルマでドライブをしていると道の駅が楽しみになり、何となくスタンプを押したくなるものですね。北海道は広くてさまざまな物事に出会える機会も多く、道の駅を巡りながら道内を旅するのも悪くないと思いました。
最初に立ち寄った道の駅「フォレスト276 大滝」 | 「雪の下ニンジン」っていう名前が甘みや美味しさを連想させます。買って帰りたかったけど、残念ながら断念 | 目によいアントシアニンがたっぷり含まれているというアロニアのジュース。ココでアロニアの実を知り、後にカフェに立ち止まることになったのでした |
洞爺湖でお昼を食べる予定で支笏湖から美幌峠を走ったとき、まだ春が始まったばかりなのだと残雪を見て実感。まだ冬の様相をした左右の風景も、それはそれで美しいと思えます。夏場なら葉っぱで隠れてしまう小川や湧き水が小滝のように流れ落ちているのが見えたりする、アケスケな感じ。そしてこの辺りが緑で覆われる季節もそれもそれで美しいだろうな……と想像しながらドライブを続けていました。
すると大滝区あたりで1軒のカフェの前を通過し、やっているのかどうかもわからないのに何だか気になる佇まいに、心にエンジンブレーキが強くかかる思いがしたのです。道の駅で知った「アロニア」という、ロシアから近年入ってきたという実のことを知り、そのゼリーがあるという看板に惹かれて立ち寄ったのがそもそものきっかけです。
「Cafe Aivalley」。ドアは開いていて、ウッディな建物の中にはお店の方が1人いるだけ。ガランとした店内はよけいにヒンヤリとした空気が感じられました。が、「やってますか?」と聞いてしまった手前、とりあえず入ることにしたのです。残念ながらゼリーは今の時期はなく、しかしアロニアのハーブティーをオーダーすると、お店の方の心遣いでジャムを載せた一切れのチーズケーキも付けてくれました。
最初は静かに食べながら、地図や道の駅でもらったパンフレットなどを広げていたのですが、そのうちにお店の女性と会話を交わし、なぜここでカフェを開いているのかとか、以前はその方が藍染の先生をしていて、ここは藍染の教室だったこと、お母様がアイヌ模様の作家さんであることなどを話してくれました。
もちろん私が東京から来て、1日のんびりドライブして帰ることにしたことや、私のお仕事の話などもしました。気づけば、以前から知り合いで久しぶりに訪ねてきたような気分になり、お母様の工房を見学させていただき、今度は夏か秋に、彼女自慢のガーデンやカフェから見える山を登りにいらっしゃいと言ってくれました。
そして洞爺湖では洞爺湖芸術館でお母様のお友達でありアイヌの芸術家として師匠でもあった砂澤ビッキ氏の作品が見られるという情報や、洞爺湖でランチ後に登別かカルルス温泉に行こうと考えていた私に、オロフレ峠は通行止めだから洞爺湖温泉がいいとすすめてくれたのもその女性でした。
果たして、このカフェで時間を取りすぎた私は、洞爺湖でミシュランガイド北海道版にも紹介されていたラーメン屋さんに入れず、フェイスブックで洞爺湖で向かうと書いた際に数人の方からいただいたレストラン情報を頼りに行くも休憩時間、トホホ……結果、道の駅で知った小さな中華店で、TVでも紹介されたという「あんかけやきそば」を食べ、フェイスブック友達のお友達が経営されているという「万世閣」という温泉旅館で、こちらが恥ずかしくなるくらい目の前に洞爺湖が眺められる露天風呂で薄いミルク入りコーヒーのような色をした洞爺湖温泉を満喫し、帰路に着いたのでした。残念ながら洞爺湖美術館も次回のおたのしみ……となりました。
フェイスブックでお友達に伝えた近況と行った先で知り合った人や道の駅の情報で旅した1DAYドライブ旅行。他力本願……(苦笑)。いろんな人にお手伝いしてもらったおかげで、私にとって北海道の中でも特別な場所になったような気がします。こういうクルマの旅も、今の時代ならアリなんですね。「Cafe Aivalley」は必ずまた来ようと思うけれど、また違う場所でも今回のようなドライブ旅行がしてみたくなりました。
■飯田裕子のCar Life Diary バックナンバー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/cld/
(飯田裕子 )
2012年 5月 18日