飯田裕子のCar Life Diary

「DS3」でカーライフががらりと変わった女性

今回はシトロエンのイベントで出会った女性についてご紹介します

 プジョー・シトロエンのお話が続いてしまうけれど、今回はある意味“たまたま”シトロエンのイベントで出会った女性のお話。女性は男性以上に出費の機会も意欲も強い。1人の女性が愛車を変えたら生活まで変わったというエピソードを紹介したい。

 5月31日、東京は芝の増上寺で「シトロエン“DS DAY” ~Holiday Morning Day in 増上寺~」というファンミーティングが開催された。この「DS DAY」はシトロエンがグローバルで展開しているイベントで、日本では今回が初開催。事前申し込みの必要はないが、先着50台100名は増上寺の大殿で交通安全祈願をしていただけることになっていた。モーニング・ミーティングゆえにお寺の開門に合わせて開場は7時。実際には150台ものDSがやってきたのだとか。

 快晴の初夏の朝。青い空に荘厳な造りの大殿、その前には「FAUBOURG ADDICT(フォーブール・アディクト)」とネーミングされた“ウイスパー”という深い紫色をボディーカラーに採用した限定モデルのDS3/DS4/DS5(DS5は未発表モデル!)が並び、背後には東京タワーがそびえ立つ。ここは東京のど真ん中。その光景はエッフェル塔とパリの旧い街並みが造る眺めとはまた違う、しかしシトロエンのプレミアムモデルであるDSらしい粋でオシャレ、そして増上寺の境内であることも含め贅沢なものだった。

 交通安全祈願。どんな雰囲気なのかと思っていたら、本堂の中は広く奥深く、雅な装飾の奥には鎮座する阿弥陀如来像……。雅楽の演奏とともに祈願が唱えられ、清々しい朝、厳粛な気分を抱くことができたのは私だけではないはず。私は交通安全祈願が終わったあと、トークショーでMCを務めさせていただいた。

増上寺の大殿で行われた交通安全祈願の様子。厳粛な気分を抱くことができました
東京のど真ん中で行われた「シトロエン“DS DAY” ~Holiday Morning Day in 増上寺~」。主たる目的はDSオーナー向けのミーティングですが、旧式のDSシリーズやCラインで参加された方もいて、シトロエンオーナー全般が集まるイベントになっていました。会場では2CVやType Hを使っての移動式カフェが並んだり、シトロエングッズの販売などが行われたりして、とても賑やかだったのです
トークショー後にお声をかけて下さった女性2人組とパシャリ

 さて、ここからが本題。トークショーが終わり、会場をブラブラしていたときに女性2人組から「写真を一緒に撮っていただけませんか?」と声をかけられたことに少々驚き、すぐに嬉しくなって快諾した私。聞けば今日は山梨県から姉妹でこのイベントに参加したとのこと。彼女(妹)の名前はカグラさん。当然話は盛り上がる。

「おクルマは何にお乗りなんですか?」と聞くと、
「DS3です」とカグラさん。
「何色ですか?」と聞くと、
「真っ赤なボディーに白いルーフを選びました」とカグラさん。
「へぇ、カワイイ。っていうか、ステキですね」などなど。

 そこからお姉さんも嬉しそうに話に加わってきた。その内容が今回の素敵なエピソードなのだ。お姉さんによると、カグラさんはそれまで軽自動車に乗っていたそうで、以前はクルマにそれほどこだわりを持っていたわけではなかったという。その点はカグラさんも同意している。ところがDS3を購入すると彼女のカーライフは一変。それまで山梨県の身近な界隈をクルマで走る=移動するのがせいぜいだったのが、DS3を購入後は横浜や都内に1人でせっせと出かけるようになったという。

「本当にこのクルマを買って、変わったよねー」と姉。
「とにかく運転するのが楽しくて」と妹。

 細かく聞くと、カグラさんはDS3のデザインとクオリティ、サイズ、そしてとてもよく走ることが魅力だという。が、彼女の「とにかく運転するのが楽しくて」という一言から、いかに今ハッピーなカーライフを送っているのかがうかがえる。

 ただ、私のような仕事をしていると、このやりとりはでき過ぎだと思ってしまうこともある。2人の会話に合わせ、目をキョロキョロと動かしながら話を聞いていると、まるで台本のある小芝居を見ているようにも思える。しかし本当にこういうことがあるんだなぁ、と。いやいや、クルマ好きの私としてはその気持ちはよーく分かるのです。そしてそんなやりとりを目の当りにした私はとても嬉しくなってしまった。

 DS3を購入したカグラさんが住む山梨県では、多くの人にとってクルマは生活の必需品。私が育った神奈川県の生活エリアの中でもそれは同じ。だから彼女にとってクルマというものは自分の生活を何不自由なく送るための大事な移動手段であり、これまでは“単なる移動手段”として満足していた気持ちも深く納得できる。しかし彼女は賢明さを併せ持つ女性の“欲”のなかに、こだわりの1台という項目を加えてしまったのだ。

 女性はファッションや美容、グルメに旅行、趣味や習い事など男性以上に欲張りで出費の機会も多く、出費への意欲も強い。さらにいえば、愛情や人との繋がりを強く求め、思い通りの人生を追求し続けながら充実感を得たい。時間も上手に使いながら人生の中のさまざまなチャンスを上手につかんでいきたいと考えている、と私は思う。前に読んだ女性心理分析の本にも書かれていた記憶があるけれど、どちらかといえば女性は、お金は貯めるよりも自分が望んでいることを達成するための手段と考えている。そういう女性意識のもとで選ばれる事物の中にクルマもあるのだ。あえて付け加えるなら、それに値するクルマでなければ心までは動かせない。

 生活の中に変化を起こす、もしくは起きるときというのは、何かスイッチ(きっかけ)があることもあるし、それが突然やってくることもある。しかし突然やってきたように思えても、例えば彼女がDS3を買うと決めたとき、実は自身でスイッチを切り替えていたんじゃないかな、と。ただしそれが思いのほか彼女の生活やカーライフを大きく変えることになるとは、想像していなかったみたい。でもよかったよね。

 妹が楽しそうに愛車について語る傍らにいる姉。その2人の笑顔を見ていると、クルマっていいなぁ、すごいなぁ、素晴らしいなぁ、と改めて思うのでした。女性のカーライフ、もっと充実して欲しいな、とも。

飯田裕子