飯田裕子のCar Life Diary

オートサロン2016の会場で「サーキットチャレンジャー」に乗った

「ヒュイーン」というモーター音を伴い、アクセル全開でオーバルコースを快走するEVマシン。手元のレバーでシフトアップしなければ速度が乗っていかないので、走行開始とともにせっせとシフトアップをする私。加速に加えて減速(ブレーキ)操作もハンドル左右に設置されたレバーで行なう。最高速は30km/hなので、スピードに慣れた大人にとってはそれほど速さでスリルを味わうタイプではないが、シートベルトを装着し、ヘルメットの装着は不要。安心感とともに冬晴れのヒンヤリとした風を頬に感じながら「コレでF1も開催される鈴鹿サーキットの国際レーシングコースを走ったら、どんな感じかな? コーナリングなんか、きっともっと楽しいだろうなぁ」と想像を巡らせていた。直線でジグザグ走行してみると、けっこうハンドルが切れる。タイヤのグリップはまあまあよさそうなのだけれど、一般的なレーシングカートほどハンドルも重くない。これなら誰でも気軽にレーシーな気分が楽しめそうだ。

 鈴鹿サーキットは3月19日から、国際レーシングコースを走行できる新たなアトラクション「Circuit Challenger(サーキットチャレンジャー)」を導入すると発表。本コースでのデビューを前に、先日開催された「東京オートサロン 2016」の屋外会場でメディア向けのプレお披露目&プチ試乗会を開催。私も体験させていただいた。そのサーキットチャレンジャーがどんな乗り物なのか、デビュー前に情報をお伝えしよう。

サーキットチャレンジャーのプロジェクトアドバイザーを務めたインディカードライバーの佐藤琢磨選手

 会場には、開発のアドバイザーを務めたという元F1ドライバーで現在はインディカードライバーの佐藤琢磨選手もやってきていた。「小学生以下のお子さんも運転できるシンプルさを持ち合わせながら、遊園地のゴーカートと違ってシフトチェンジやハンドル操作によってモーターのパワーをいかに走りに繋げられるかにこだわったチューニングは、大人も楽しめるはずです」と琢磨選手。

プレお披露目&プチ試乗会では、琢磨選手に加えてレースアナウンサーのピエール北川氏が司会を担当して新アトラクションについて紹介
プチ試乗会に先駆けて琢磨選手によるデモ走行も披露された

 鈴鹿サーキットでは、1965年に子供から大人までレーシングコースを走行体験できるカートを導入して現在にいたるが、この新アトラクションとなるのが今回ご紹介するサーキットチャレンジャー。子供のころから乗り物を操る楽しさや達成感を味わってほしいというのが鈴鹿サーキットの思い。さらに今回はモータースポーツの楽しさに触れ、未来のモビリティファンになってほしいという。

 車両は現代の先端技術を搭載するというEVマシン。ボディサイズは2500×1300×1000mm(全長×全幅×全高)。ミツバ製のモーターを使用して最高出力は4.3kW。バッテリーは東芝製二次バッテリー(SCiB)を使用。フル充電で鈴鹿の国際レーシングコース・東コース(2.243km)を20周できるそうだ。

 浅いバスタブのようなコクピットには2つのシートを備え、乗車定員は最大3人。フロントからリアにかけてフラットに流れるサイドポンツーンは少々高めで、乗降時にはまたぐ姿勢になるが、その分、乗車した際には包まれ感が得られるのがいい。前後の樹脂製バンパーの中には緩衝材が入っており、ぶつかったときの衝撃を緩和してくれる。コーナーリング性能が優れていると感じたのは、後輪にデフギヤ(ディファレンシャルギヤ)を採用しているからなのだ。一般的なカートにはデフギヤなどない。ただのゴーカートアトラクションにしては、やはり懲りすぎているのではないか。

サーキットチャレンジャーのEVマシン。助手席は前後に広くなっており、大人(中学生以上)の前に2歳〜未就学児が座って最大3人乗りまで可能
EVマシンのインパネ。子供が乗ったときに足が届かないといった事態にならないよう、操作をすべて手元で行なうのが特徴
「操作して上手に走る楽しさ」を体感できるよう、EVマシンながらボタン操作によるシフトチェンジを採用。グリーンのボタンでシフトアップ、イエローのボタンでシフトダウンする
インパネの中央には万が一に対応する緊急停止ボタンを設置
ヘッドレスト後方に、バッテリー残量を表示するインジケーターを設定。フル充電で鈴鹿の国際レーシングコース・東コース(2.243km)を20周できる

 それにしても、ドライブフィールは冒頭のとおりだが、私にとってはハンドルに運転操作が集約された、アクセルやブレーキの操作方法が新鮮だった。ハンドル右側後方のブルーのパドルがアクセル、左側後方のレッドのパドルがブレーキになる。また、ハンドルのセンターパッド左側にはグリーンとイエローのボタンがあり、これでシフト操作のアップ/ダウンを行なう。ギヤは4速あり、シフトアップは高音のブザー、シフトダウンは低音のブザーが鳴ってタイミングを教えてくれる。最高速30km/hのEVマシンゆえ、本来ならギヤボックスは必要ないのだが、敢えてギヤを変えて速度を上げていくという操作を追加しているのだそうだ。これらの操作方法により、ペダル操作だと足が届かないような小さな子供でもドライビングが楽しめる。

高めのサイドポンツーンを乗り越えるように乗車
2点式のシートベルトを装着して、スタッフさんから操作方法のガイダンスを受けたら走行開始
最高速は30km/hながら、EVマシンだけに発進時にはトルク感が心地よい。後輪にデフギヤを備えてコーナーリング性能に優れ、大きめのアールなら全開状態のまま駆け抜けられる

 また、小学生以下でも運転できるというこのサーキットチャレンジャーでは、ビーコンシステムを採用するEVマシンの走行データを記録として残すことができ、運転テクニックをさまざまな視点から解析することもできるという。スタート、アクセル操作、ハンドリング、シフトチェンジなどの評価項目から総合的にレベル判定され、数値化されるというのだ。琢磨選手にすでに見本データを作製済みかと質問してみたところ、「まだ走行できてないんです。ただ、このサーキットチャレンジャーは、速度はそれほど速くなくてもかなり細かい解析をするので、上位レベル判定をゲットするのは簡単ではないはずです」とのこと。

琢磨選手にサーキットチャレンジャーの開発ポイントなどを直接質問。「サーキットチャレンジャーはかなり細かい解析でレベル判定されるので、上位レベル判定をゲットできるまで何回もチャレンジしてほしいです」とのコメント
実際の車両製作を担当した株式会社モビリティランド テックプロ 技術課 チーフの海東万里氏からも詳しい車両解説を受ける。EVマシンは子供がエンジンに触れて火傷したりしないこともメリットだという
EVマシンは親子などで一緒に走れるよう、左右に2つのシートを備えている

 サーキットチャレンジャーのオープン予定日は3月19日。実際のアトラクションでは東コース1周を約7分で走行できるという。車両の導入台数は70台を予定。鈴鹿サーキットのゆうえんちはもちろん、本コースの走行を子供なりに、大人なりに夢中になれる新アトラクション。サーキットチャレンジャーでまさに“鈴鹿サーキットチャレンジ”してみてはいかがかしら!?

(飯田裕子/Photo:高橋 学)