【第60回】肉厚ジューシー! 伊那谷名物ソースカツ丼ですの、の巻 |
伊那谷名物ソースカツ丼発祥のお店をご紹介 |
食通で知られる故・池波正太郎氏の食のエッセイにはカツレツが数多く登場します。そしてこのグルメ隊でも、カツは過去2回取り上げていて今回で3回目。これは単純にグルメ隊長であるゆきぴゅーがトンカツ好きということに他なりません。
今回向かった先は長野県伊那市。伊那インターを下りてわずか5分ほどのところにある「ひげのとんかつ 青い塔」です。伊那市・駒ヶ根市を含む「伊那谷」は、ソースカツ丼が有名ですわよね。一体どんな特徴があるのでしょうか。お昼時のピークを過ぎて到着したグルメ隊、ご主人の平澤さんに気になっていたことを質問してみました。
「え~と、“ひげのとんかつ”ってどういう意味なんですの?」
「これはですね、実は先代の容貌からきているんですよ」
そう言って見せてくださったのは古いモノクロの写真。写っていたのはりっぱなあごひげでスキンヘッドという個性的な出で立ちの男性ですの。平澤さんのお父様で、このおひげの方こそが伊那でソースカツ丼を広めた方なんだそう。
カツ丼目指してひた走る! 今回の車もプジョーRCZ | 「ひげのとんかつ」の意味は??? 本文でご紹介 | 「ソースカツ丼って3回目? そうでしたっけ?」 |
明るくて清潔感あふれる店内。ここは10年前にオープンした新店舗。その前はすぐお隣の建物で営業していたそう | 奥には先代が造ったお庭を眺めながら食べられる座敷席があります | なんとパン粉で作った動物たち! パン粉アートなんて初めて見ましたわ~ |
「青い塔」という店名は、先代が旧満州で賄いの仕事をしていた時にお世話になったお店に由来するそうですの。先代は戦後、昭和21年に伊那市の中心部に店を構えて青い塔をはじめました。そしてこここそが、伊那谷名物ソースカツ丼の発祥と言われているお店なんですの。
歴史が分かったところで、さっそくかつ丼をいただくことにしましょう。ちなみに青い塔のソースカツ丼には、ロースかつ丼(980円)の他にも、ヒレカツ丼(1100円)、チキンカツ丼(880円)、少なめのミニ丼(730円)などもあります。しばらくして出てきたロースカツ丼、ご飯の上に千切りキャベツ、その上に分厚い豚のロースかつがドーンと4切れ。
「うわっ、本当に肉厚ですね!」
ほどよい脂身を含んだ断面は、3cm弱はあるでしょうか。さっそく揚げたてをひと口。ソースがからんでいるのにサクサクの衣ですの。
「やわらかいお肉ですわ~!」
使っているのは厳選した国内産の豚ロース200gとのこと。200gですわよ、奥さん!
「たとえば福井のソースカツ丼は薄目のヒレかつが3、4枚乗っていたりと、全国各地いろいろな系統があるようですね。このあたりのソースカツ丼の特徴は、とにかく肉厚ということなんです。以前、福井から新聞記者の方がいらしたことがあるんですが、福井のソースカツ丼とはまた全然違うっておっしゃってましたね」
「このサクサク感はどうしてなんでしょう?」
「ラードで揚げているからでしょうか、風味がよくてカラっと揚がりますね。何にしてもこれだけのいい肉を、しかも200gのロースを使うソースカツ丼は、全国でもこの地域くらいじゃないんでしょうかね」
「それからこのソース。少し甘めな感じでわたくし、この味好きですわ~。やっぱり特製ですわよね?」
「そうですね、何十年も注ぎ足しているソースです」
おっとりとした語り口にも「常に揚げたての美味しいとんカツを出している」という自信がみなぎっているご主人が印象的でした。
平日は地元のサラリーマンなどの利用が多いそうですが、週末ともなると親子連れ、しかもお孫さんと一緒におじいちゃんやおばあちゃんまでもが足を運ぶという青い塔。関東だけでなく名古屋方面や関西からのお客さんも多いんだとか。高速からのアクセスのよさも人気の要因のひとつかもしれませんわね。GWのドライブを計画中という方、ぜひ伊那谷名物ソースカツ丼を目指して走ってみてはいかがでしょうか。
さて、約2年半にわたりご愛顧いただいてきましたこの「ゆきぴゅー&エイミーの週末はグルメでドライブし隊!」ですが、60回目の今回をもって連載終了することになりました。グルメカメラマンになりかけたエイミーは本来の夢を果たすべく再び戦場に赴き、わたくしゆきぴゅーはこれからもお気楽グルメライターとして(?)精進する所存です。カーウォッチ読者の皆様には、またどこかでお目にかかれることを心から願っております。
その日までごきげんよう、さようなら~さようなら~!
■ひげのとんかつ 青い塔(http://www9.ocn.ne.jp/~aoitoh/)
長野県伊那市西箕輪大萱7010-1
電話:0265-72-5777
営業時間:11時~14時/17時~21時
定休日:月曜日(祝日の場合は火曜日)
駐車場あり(約15台)
席数:約40席
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■プロフィール
イラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”。長野でフツーのOLをしていたが何の因果か鬼畜デジカメライターの弟子(奴隷)となり2000年に上京。日々の過酷でセクハラな毎日を絵日記で綴っているうちに絵の道に目覚め、ついに2005年独立。以降あちこちでタダでごはんを食べながらポンチ絵画家としてのお気楽な人生を歩んでいる。
女性カメラマン。カメラマンとして名を馳せるべくボスニアに戦場カメラマンとして渡るも、行った早々流れ弾に当たってしまいあえなく帰国。車にまったく興味がないゆきぴゅーとは正反対に機械モノが大好き。食べるのも大好き。封印したはずの赤いバンダナは、ネット上で復活希望の声があるとかないとか(でももうしません!)
2012年 4月 18日