【第55回】酒の井戸伝説のある酒々井町で酒蔵特製のお弁当ですの、の巻


千葉県酒々井町にある飯沼本家は300年余続く日本酒の蔵元

 

 酒々井と書いて「しすい」。成田空港に向かう最後のPAの名前でピンとくる方が多いかもしれませんわね。この酒々井町には、町名の由来になったといわれる「酒の井戸伝説」があるそうですの。それは……

──昔むかし、印旛沼の近くの村にとても親孝行な息子と父親が住んでおりました。息子は年老いた酒好きの父親のためにせっせと働いて毎晩酒を買って帰ったそうですが、ある晩とうとうお酒を買うお金がなくなり、途方に暮れながら歩いていました。すると道端の井戸から、なにやら酒の匂いがするではありませんか。ひと口飲んでみるとあら不思議、本物のお酒です。さっそく家に持ってかえると父親は「なんと旨い酒じゃ」と大喜び。それから息子は毎晩その井戸からお酒を汲んで父親を喜ばせてあげることができたのでした。

 というお話。そんなお酒にゆかりのある土地・酒々井で、300年以上の歴史を持つ蔵元が銘酒「甲子正宗」で知られる「飯沼本家」です。広い駐車場のお隣、正門の手前の建物が「酒々井まがり家」。甲子正宗の直営ショップとして平成7年にオープンし、店内には日本酒はもちろん和風小物などの雑貨やおみやげ物などの販売所、お座敷の食事処があります。

今回の車は未確認動物イエティ(雪男)捜索をイメージした特別仕様車!果たして、向かった酒々井にUMAはいるのかっ!?(いません)甲子正宗(きのえねまさむね)の蔵元、飯沼本家は自然豊かな里山にあります
敷地内にある「酒々井まがり家」は新潟から移築した古民家なんですの「甲子」のお酒の試飲&販売、雑貨販売、そして食事やお茶も楽しめるまがり家今回は奥のお座敷で、予約していた特製お弁当をいただきます

 今回ご紹介するのは、このまがり家でいただける特製弁当(1,260円)。実はこのお弁当、飯沼本家の社長さんの奥様手作りなんですの。

 店内に足を一歩踏み入れるとどこからともなく麹の良い香りが……そして右奥にずらりと並んだ日本酒の数々に思わず目を奪われるグルメ隊。

「おみやげは後、後にしましょう、ゆきぴゅーさんっ!」
「そ、そうですわね」

 まずは社長夫人・飯沼幹子さんにお話を伺うことに致しましょう。

「かなりりっぱな建物ですけれど、築何年くらい経っているんですか?」
「200年以上は経っていると聞いています。実はこの建物は、新潟県の東蒲原郡というところから移築してきたものなんですよ」
「ここにあったものではないんですのね」

 もともと地主さんのおうちだったというこの建物、ダムの建設工事で水没する運命だったところを、飯沼本家が譲り受けてこの場所に移築再生したんだそう。そんな古民家でいただくお弁当、一体どんな特徴があるのでしょうか。

「現在飯沼本家では酒の仕込みはすべて社員がやっているんですが、昔は秋になると新潟や岩手から“蔵人”が来てくれて仕込みをやっていたんですね。そんな蔵人衆には、必ずまかないの人が1人ついて来たものなんです」
「蔵人専属の料理人さんってことですわね」
「そうです。まがり家のお弁当は、そのまかないさんの作るお料理、つまり“蔵人たちが食べていたもの”というコンセプトでお出しするようにしています」
「なるほど! 蔵人さんたちが食べていたものをお弁当で再現されているってことですね」

ジャーン! こちらがまがり家特製お弁当(1,260円/要予約)(ぐうう……)早くもお腹が鳴っておりますこの日の汁物は鮭の粕汁。人参、大根、ごぼうと野菜もたっぷり
ご飯は生姜ごはん。あとで体がぽかぽかしたのはこのご飯のおかげですわ粕漬こんにゃく、鮭の粕漬け、焼きカブの自家製にんにく味噌和え、肉だんご地元の農協から仕入れる野菜の煮物。人参、里芋、椎茸、凍み豆腐など
豆腐の塩麹和え。枝豆とゆず皮がいいアクセントになっていました程良い味付けだったナスの煮びたし。切り方がとってもかわいい♪お茶うけの漬物もおいしくてポリポリと止まりませんの

 ご存知の通り酒造りの時期は冬。蔵人たちの体を温めるにんにく味噌や、麹と唐辛子を混ぜたお醤油などが代表的な蔵人調味料なんだそうです。実際お弁当をいただいてみると、

「塩麹や酒粕といった、まさに今そのよさが見直されている日本伝統の発酵食品ばかりですね」
「季節によって少しずつ中身が変わるそうですわよ。桜の咲く頃また来たいなぁ~」

 ほんのりと麹の香り漂う酒蔵ならではの雰囲気の中でいただく、ヘルシーでとってもおいしいお弁当。お友達やご家族といっしょに酒蔵見学をして、その後まがり家でこのお弁当を食べ、お土産に甲子正宗を買って帰れば、まさにパーフェクトな休日間違いなし、ですの!

 都内からわずか1時間、敷地内には遊歩道も整備されていたりして、のんびり里山気分を味わうこともできる酒々井まがり家、次の週末ドライブの目的地にいかがでしょうか。あ、お弁当は完全予約制です。くれぐれも3~4日前までにご予約をお忘れなく~!

食後は抹茶セット(420円)。甲子の酒粕がおまんじゅうの生地に入ってます。こちらは予約不要です洋風のかすていらセット(500円)。お酒と梅酒のケーキにジンジャーティー(またはミントティー)甘酒は100円。大吟醸の酒粕を使っています
お隣の売店には飯沼本家のお酒がずらり。ぜひおみやげに!おみやげにオススメはその名も「まがり家」という純米大吟醸ゆきぴゅーは大吟醸の酒粕(350円)を購入。今の時期しか出ないそうなのでラッキー
数々の賞を受賞している飯沼本家のお酒。さすが千葉を代表する蔵元です季節柄、甲子の古酒と日本酒トリュフのセットというバレンタインギフトもまがり家の2階はギャラリーになっていて、千葉県に縁のある作家さんの展覧会が時々開かれています

酒々井まがり家http://www.iinumahonke.co.jp/
千葉県印旛郡酒々井町馬橋106
電話:043-496-1001
営業時間:10時~17時(L.O.は16時)
定休日:月曜日(祝日の場合は火曜日)
駐車場あり
アクセス:東関東自動車道の佐倉ICから7km、約10分

・お弁当は3~4日前までにご予約下さい。
・酒粕まんじゅうお茶セットやかすていらセットは予約は必要ありません。
・酒蔵見学のお問い合わせ&ご予約もまがり家へ
 (受付11時~14時。所要時間は約30分、月曜日はお休みです)

 

 

このクルマでドライブしました!

ジープ「ラングラー アンリミテッド アークティック」

クロスカントリー・ビークルの代名詞「ジープ」の最高峰モデル「ラングラー・アンリミテッド・サハラ」をベースとした特別仕様車は、サハラとは正反対の極寒の地「アークティック(北極)」を名前に戴く。ベース車の性能はそのままに、各所にあしらわれたイエティやイエティの足あとのイラストで遊び心を演出しています。

プロフィール

ゆきぴゅーゆきぴゅーおふぃしゃるほーむぺえじ
イラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”。長野でフツーのOLをしていたが何の因果か鬼畜デジカメライターの弟子(奴隷)となり2000年に上京。日々の過酷でセクハラな毎日を絵日記で綴っているうちに絵の道に目覚め、ついに2005年独立。以降あちこちでタダでごはんを食べながらポンチ絵画家としてのお気楽な人生を歩んでいる。

 


エイミー
女性カメラマン。カメラマンとして名を馳せるべくボスニアに戦場カメラマンとして渡るも、行った早々流れ弾に当たってしまいあえなく帰国。車にまったく興味がないゆきぴゅーとは正反対に機械モノが大好き。食べるのも大好き。封印したはずの赤いバンダナは、ネット上で復活希望の声があるとかないとか(でももうしません!)

 



2012年 2月 8日