ワイパーを今はやりのフラットタイプに
「エアロツイン マルチ」
メーカー:ボッシュ
価格:オープンプライス
(購入価格、AM53A:3200円、AM45B:2800円)

 

ボッシュのエアロツイン マルチ。店頭では紙パッケージに入って販売されている

 多くの輸入車や、最近は国産車にも標準採用が広がっているフラットタイプのワイパー。支持機構を複数持つ一般的なトーナメント式ワイパーに対し、フロントウィンドーへの均一な接地を実現するというのがウリだ。各社からリプレース用の製品が出ているが、今回は欧州車に数多く純正採用されていると言う、ボッシュのエアロツイン マルチ(Aerotwin Multi)に交換してみることにした。

 エアロツイン マルチは、名前のとおりワイパー前部がゆるやかなカーブを描くスポイラーフォルムとなっており、高速走行時の浮き上がりを抑制するエアロ形状を採用している。トーナメント式のワイパーにも、スポイラーが一体となったエアロタイプがあるが、フラットタイプのためすっきりしたデザインになっている。

上がボッシュのエアロツイン マルチ、下が一般的なトーナメント式のワイパー。複雑な機構を持たず、アーチ状の形状によりフロントウィンドーへの均一な接地を実現するエアロツイン マルチの端部。右が進行方向。ワイパー上部がゆるやかなカーブを描いており、この形状でエアロ効果を発揮する

 価格はすべてオープンプライスで、サイズは長さ340mmのAM34Aから650mmのAM65Bまで21種類。取り付け部は9×3と9×4のUフックに対応する。といっても自分の愛車のワイパーサイズや、適合ワイパーアダプター形状を覚えている人は少ないと思うので、エアロツイン マルチに適合サイズがあるかどうかは、ボッシュのWebサイト「車種別適合品サーチ 」(http://www.bosch.co.jp/jp/aa/fit_search/step-1.asp)で確認しておくのがよいだろう。また、多くの場合取り扱い店には、適合表が置かれている。

 今回は、運転席用に長さ530mmのAM53Aを、助手席用には長さ450mmのAM45Bを購入した。また、自分のクルマにはリアワイパーもあるのだが、リアワイパーではエアロ効果が発揮できないためか、適合製品が記載されていなかったので購入を見送っている。

 実際の取り付けは、フラットワイパーだからといってとくに変わりはない。まずは、ワイパー交換前にフロントウィンドーの油膜取り。フロントウィンドーをあらかじめキレイにしておかないと、新品のワイパーに油汚れなどが付いてしまい、何のために交換するのか分からなくなってしまう。

 フロントウィンドーをキレイにしたらいよいよ交換。Uフックに空いている穴に、古いワイパーのストッパーがかかっているので、それをマイナスドライバーなどで押し込んで取り外す。その後、エアロツイン マルチの取り付け基部のカバーを開け、Uフックの内側から押し込んで“カチッ”という音が鳴ったら取り付け終了。後は取り付け基部のカバーを閉じればよいだけだ。一度ワイパー交換をしたことがある人なら容易に作業可能だろう。

せっかくワイパーを新品に交換するなら、まずはウィンドーガラスをきれいに。プロスタッフの油膜取り「キイロビン」を使って油膜を取る古いトーナメントワイパー取り付け基部のアップ。Uフックに開いた穴の内側にストッパーが引っかけられているのでそれを押し込むストッパーが外れたら、ワイパーアームの基部側にワイパーをずらしていく。ワイパーアームのUフックが汚いのはクルマが古いため
ワイパーアーム先端にあるUフックのアップ。単純な構造だエアロツイン マルチの取り付け基部。「BOSCH」ロゴの右にある凸凹の場所を押さえるとカバーが開くカバーを開けたところ
カバーの穴を、Uフックに通す取り付け基部をUフックにはめる。ワイパーアームの先端に向かって力を入れ“カチッ”という音がすればOK最後にエアロツイン マルチの取り付け基部カバーを閉めれば作業終了

 取り付け作業そのものは10分ほどで終了する。取り付けて最初に思うのは、ややワイパーが太くなったような印象を受ける。外観のエアロ形状が幅広のためそのような印象を受けるが、実際にフロントウィンドーと接地する部分は変わらず、ゴムのエッジで水をかく仕組みも同じだ。

運転席側だけをエアロツイン マルチにしたところ。助手席のトーナメント式ワイパーと比較すると、やや太めの印象を受けた助手席同士の比較。トーナメント機構がなくなったせいか、すっきりした感じに

 ワイパーとしての能力だが、さすがに新品だけあって優れている。あえてホースで大量の水をかけても、1往復するだけで、水をかき飛ばしてくれ、拭きムラもない。拭いた部分とのキワもきれいな円弧が描かれ、仕上がりには満足。高速道路を走ってみたが、とくに風切り音も出ることはなかった。ただ、新品のトーナメント式ワイパーと比較していないため、フラットワイパーだからこその性能と言えるかどうかは微妙なところだろう。

 エアロツイン マルチで気をつけてほしいのが、標準ではブレードが撥水剤対応タイプでないことだ。シリコン系やフッ素系のフロントウィンドー撥水剤を愛用している場合、ワイパーのビビリ音が発生する場合がある。その場合、別売のシリコンプラスリフィールに交換して使うことになるだろう。ただ、このシリコンプラスリフィールは、長さが650mmの「AMR65-S」(オープンプライス)しか発売されておらず、自分でワイパーの長さにあわせてカットする必要があるのがやや面倒と言えるだろうか。

 ただ、実際に使ってみた限りでは、エアロツイン マルチの払拭能力に不満を抱くことはなく、撥水剤を使う必要性は感じなかった。この辺りは好みの問題もあるので、自分のスタイルにあわせて選択すればよいだろう。現在のトレンドとなっているフラットワイパーへ交換できたという満足感を得られるのは間違いない。

ホースで水をかけて拭き取りテスト油膜取りで磨いたばかりなので、水は親水状になる。エアロツイン マルチは1往復するだけで、ムラなく拭き取ってくれた
左がエアロツイン マルチ、右が古いトーナメント式ワイパー作動後のガラス面。右の古いワイパーはゴムが劣化しているため、油分が付くなど、きれいに拭き取れない状態になっていた

(編集部:谷川 潔)
2010年 7月 23日

Amazonでお買い物