やっぱりBLIZZAK VRXは凄かった!「愛車ハチロク、BLIZZAK VRXで雪道を疾走……か!?」後編
BLIZZAKの敵はBLIZZAK!? VRXとREVO GZで対決!!

一般道と高速道路でドライとウェットの路面を走り、ウェットから解けた雪によるシャーベット状の路面を走る。ブリヂストンのBLIZZAK VRXを履いた我が愛車は、フロントエンジン・リヤドライブ(FR)のトヨタ ハチロクである。関東地方もすっかり冬に突入し、年に数回とはいえ降雪に対する警戒が必要になってきた。そんな中、我がハチロクはFRなのである。

前編でも書いたことだが、冬ともなれば厳寒の北海道においても、最近では「FRだから」と避けられることはほとんど無い。FRを避けるというより雪道に強い四駆、そしてフロントエンジン・フロントドライブ(FF)のクルマが上位に来るという自然な流れなのである。FRの進化というよりクルマの進化は、雪道においても安全な走りをドライバーにもたらしてくれた。そしてもう一つ、FRを気にしなくてすむようになった理由がある。そう、タイヤの進化だ。

スパイクタイヤという雪道最強のタイヤは現在、特定の用途でしか利用できなくなった。路面に与えるダメージが大きく、雪解けの時期には削れた路面による粉塵被害が大きな問題になったためだ。そこで登場したのがスタッドレスタイヤである。このスタッドレスタイヤ、シーズンごとに進化を続け、ブリヂストンの最新モデルはBLIZZAK VRXとなった。従来モデルのREVO GZは大ベストセラーとなり、現行モデルとして販売が続いている。そのREVO GZをも凌ぐスタッドレスタイヤ、それがBLIZZAK VRXという訳だ。

そこで気になったのは我がハチロク、FR車とBLIZZAK VRXの組み合わせである。果たしてBLIZZAK VRXを履いたハチロクは、雪道でどういった走りを見せてくれるのか? また、優れたスタッドレスタイヤを履いているとはいえ、FR車のハチロクは雪道でどのような挙動を見せるのか? 気になったら即テスト。という訳でコーディネートをCar Watchの営業さんに振ってみたら、二つ返事で「任せてください!」とのこと。あれこれテストをしたいのでBLIZZAK VRXをハチロクに履かせて、REVO GZを積んで出発したのは3月に入ってから。

最初は「雪が無い!」と慌てたが、なんとかしっかりとした積雪地帯に投入できたところまでが前編。水上に宿を取り「どうか雪が降りますように」とお願いして寝たのが悪かったのか、良かったのか? 深夜から吹雪になったのには驚かされた。

宿へと向かうハチロクとアテンザ。FR車とFF車、どちらもBLIZZAK VRXを履いている


絶好のテスト日和になりました

吹雪が嘘のように晴天となった翌朝、私のハチロクと、Car Watch営業さんのマツダ アテンザは目的地へと向かって水上の宿を出発した。目指すは群馬県利根郡みなかみ町にある「群馬サイクルスポーツセンター」だ。基本的にはユニークな自転車を体験できる、遊園地的な施設である。また、約6kmの林間峠コースがあり、こちらは自転車だけでなく、クルマで走ることもできる。ただし山間部の施設であり、メインが自転車ということもあって冬季は休園となる。そして休園しているからこそ、我々のようなタイヤをテストしたいグループや、各種パーツの冬季テストをしたい会社などが利用できるのだ。

誰のせいかは知らないが、昨晩は吹雪になってしまった。ハチロクもアテンザもこの状態

BLIZZAK VRXも寒そうである

その群馬サイクルスポーツセンターへ向かう路上、BLIZZAK VRXとハチロクにとっては重要な雪道となってくれた。早朝に出発したため除雪はまだ行われておらず、状況としては「踏み固められて凍った雪道の上に、新雪が降り積もった」状態である。もちろん滑りやすく危険なコンディションであり、運転はいやが上にも慎重になる。また、目的地が山間部、ちょっと奥の方にあるため、そこへ向かう道路は限りなくワインディング、滑る路面がクネクネした状態で続くのだ。まあ、ノーマルタイヤの出番は一切無い状況だ。

だが、我々のタイヤは最新のスタッドレス、BLIZZAK VRXである。ノーマルタイヤならあっさり諦める、というより車庫からクルマを出さないような状況でも、しっかり路面にくいついてくれた。凍った路面を覆う浅い雪、深い雪を掻き分けてFRのハチロクとFFのアテンザが進んでいく。

さて、目的地へと向かう途中、試してみたのがハチロクの「SNOWモード」。SNOWモードはハチロクがいくつ持っている走行モードのうちの一つで、「雪道など、すべりやすい路面での発進・走行に適している(ハチロクのマニュアルより)」というもの。通常走行モードのハチロクはスポーツカーらしい味付けがなされており、アクセル開度へのレスポンスがかなりクイックだ。しかし、このSNOWモードを設定していると、パワーの出方が緩慢になる。要するにアクセルをグッと踏んでも、パワーのかかり方がゆっくりになるのだ。

雪道では積極的に「SNOWモード」を活用しよう。実際、かなり使える走行モードだと感じた

BLIZZAK VRX強し! 無理をしない限り、雪道を感じさせないしっかりした走り。ハチロクのようなFR車でも大丈夫

でもそこはそれ、FF車に先導を任せる

いくら優れたスタッドレスタイヤを履いていても、雪道での急発進、急停止は厳禁である。雪道は通常の路面とは、まったく異なる環境なのだということをしっかり認識して運転しなくてはならない。凍った路面で急発進、急加速を行うと、ある瞬間を境にタイヤはグリップを失う。そしてこの時、FFとFRの違いが顕著に出るように思う。FFの方がアクセルさえ戻せば容易にコントロールを取り戻すことができる。一方のFRはリアが前に出るような挙動があり、姿勢が乱れるのでコントロールの回復が少し難しい。

が、しかし。要はコントロールを失うような状況を、作らなければいいだけの話。雪道、凍った路面だということをしっかり認識して、急発進や急加速を避ける。余裕のある運転を心がけて実践すれば、後はBLIZZAK VRXやSNOWモードがしっかりサポートしてくれるのだから。群馬サイクルスポーツセンターへと向かう道のりは雪だらけ、そして積雪の下は凍った路面だったが、まったく問題無く進むことができた。だが、山間部にあるサイクルスポーツセンターの入り口から、コースへ続く山道でハプニングは発生した。


雪道対策は抜かりなく

山道で私のハチロクが、軽いスタック状態に陥ってしまったのだ。このスタック、スタッドレスタイヤとか、SNOWモードとかまったく関係のない話。要するに休園中のサイクルスポーツセンター内の道路は除雪がほぼされていない状態。アテンザの作ったわだちの上を走っているときは問題なかったのだが、フロントタイヤがわだちから外れてしまうと、途端に積もった雪の土手に乗り上げるような状態になって前に進めなくなってしまった。FFであればその雪を乗り越えられるのだろうがFRだとそうは行かない。しかし無理に進もうとしたためリアタイヤの周りの雪がほれて亀の子状態になってしまった。

タイヤが路面から離れてしまっては、いくら優秀なスタッドレスタイヤであってもお手上げだ。タイヤは接地することでその性能を発揮するのだから。こうなるとタイヤとはまったく関係の無い話、雪道でのトラブル対策の話になってしまう。なので手短に行こう。要点はただ一つ、スタッドレスタイヤを履いているからといって、雪道対策を怠らないということ。スタックする可能性も考えて、脱出のためのツールなどを用意しておくということだ。

我々の場合は「任せてください!」な営業さんが、ちゃんとスタック脱出用のプレートを用意しておいてくれた(任せて良かったと初めて思った)。それをFRなので後輪に噛ませて、無事スタック状態から脱出できた。もしこの脱出用プレートが用意されていなければ、面倒なことになったと思う。ちなみに北海道では冬と言わずクルマのトランクに、古くなった毛布を入れておくことを先輩ドライバーから教えてもらう(少なくとも私はそうだった)。例えば雪道でスタックした時など、この毛布をタイヤと路面の間に入れて脱出することも出来るからだ。

優れたスタッドレスタイヤは雪道、凍結した路面においてドライバーに安心を提供してくれる。ただし、雪道の危険はスリップだけではないということを憶えておきたいと思わせる出来事だった。

3月に入って、まさかこんなに豊富な雪に「恵まれる」とは……

なんとなくシュールな光景。しかしBLIZZAK VRXを履いたハチロクは、力強く前進するのであった


周回、スラローム、そして急制動にチャレンジ

群馬サイクルスポーツセンターは寒かった。晴れてはいたが気温は低く、いかにも群馬らしく風が強い。さらに降雪もあり、その上、強い風が降り積もった雪を巻き上げて我々に襲いかかる。そう、絶好のスタッドレスタイヤテスト日和。人間が「寒い、寒い」と言っているぐらいがちょうどいいのである。いや、実際にえらく寒いのだけど。

冬の間は休園となっている群馬サイクルスポーツセンター、その一角を重機で除雪してもらい、さらに踏み固めて我々のテストコースは完成。今回のテスト項目は主に3つ、周回走行、スラローム走行、そして急制動である。北海道士別市にあるブリヂストンのテストコースとまでは行かないが、スタッドレスタイヤの性能を試すには充分な環境が整った。

まずはここまで履いてきたBLIZZAK VRXを、従来モデルであるREVO GZに履き替える。この作業、メーカーのテストコースなら担当するスタッフさんがやってくれるのだろうが、今回は我々がスタッフである。私、営業さん、そしてカメラマンさんまで総動員してハチロクのタイヤ交換を行う。

ここまで履いてきたBLIZZAK VRXを、REVO GZに履き替える。まずは従来モデルを試してみよう

Car Watch、DIY感覚でお届けしております!

従来モデルとはいえベストセラーとなり、現行製品でもあるREVO GZ

とりあえず周回コースを走ってみるが、従来モデルとはいってもベストセラーになった現行製品、REVO GZである。一般公道とは事なりテストコースでは、というかテストコースでしか出来ないような荒っぽい運転を雪上で行ってみるが、想像以上に限界点が高い。「このあたりで滑り出すだろうな」と思っていても、その予想をあっさり覆してくる。ちなみにコース上は重機で除雪と踏み固めをしたため、一部には雪が深く残り、一部では一度解けた雪が凍ってツルツルのアイスバーンになっている。普通にドライブするなら最悪の環境だが、我々にとっては大変ありがたい状況だ。

しばらく周回をこなしていると、じょじょにREVO GZの限界点が見えてくる。最初は見えなかった滑り出す限界が分かってきて、それを超えないようにすれば雪上を普通に運転できようになる。限界を超えてしまうとコントロール不能に陥るが、そういった時は慌てずにスピードを落とす。まあこれは、テストコース上の話ではあるが。一般公道では限界を超えないようにコントロールことが重要になる。

周回である程度感覚を掴んだら、次はスラローム走行に入る。直線コースにパイロンを設置し、左右に車体を振りながら走り抜ける。これが面白いことに、意外なほどコントロールが容易なのだ。もちろんREVO GZが高性能だということは分かっているのたが、さらにスラローム走行となると端からスピードをさほど出せないということも関係しているようだ。

スラロームはスピードの関係もあって、思ったよりスムーズな走りが楽しめた

周回のカーブではあえてアクセルを踏んでみたが、大きな動揺はない

REVO GZがベストセラーな理由がわかる。本当によく出来たスタッドレスタイヤだ

最後にREVO GZでデータを取りながら、急制動テストを行う。ブレーキを踏み込むポイントにパイロンを置き、そこまでは出来るだけ加速する。そしてパイロンが運転席の真横に来た段階で、ブレーキを一杯に踏み込む。もちろんABSが作動する訳だが、急制動はそれでいいのである。以前、ブリヂストンの人に聞いたのだが、メーカーも「ABSありき」でタイヤを開発しているのだそうだ。なのでドライ、ウェット、スノーに関わらず、急制動はフルブレーキングでABSに頼るのが、制動距離を短くする最適な方法なのだ。

さて、3つのテストをREVO GZで終えたら、いよいよBLIZZAK VRXの出番である。一般道で見せてくれた高い性能を、テストコースではどのように体感できるか楽しみである。寒いけど。


安心の先にあるもの

REVO GZからBLIZZAK VRXに戻す。REVO GZにはここまで、ズーッと付き合ってもらった。ドライとウェットの一般道、そして高速道路。通常の路面の上に解けたシャーベット状の雪が残る道路。そして完全に凍結した、ツルツルと滑る雪道。もちろん私もこのような原稿を書いている身、一般公道で無理な運転はしない。その範疇で言えば、BLIZZAK VRXは直進性に優れた普通に使えるいいタイヤである。雪道を普通の道路に変えてくれるなどという、非現実的なことを言うつもりはない。だが、雪道であることをきちんと認識して、BLIZZAK VRXを履いて走れば、ドライバーは何物にも代えがたい安心感を得られる。

それはハチロクというスポーツタイプのFR車にとっても同じこと。BLIZZAK VRXを履いていれば「無理のない範囲」で、快適なドライブを楽しむことができる。というか出来たのである、実際に。最初に想像していたリアが前に出る感覚だとか、直進時に不安定になるといったことは故意にアクセルを踏んだ時以外はまったく発生しなかった。もっとも同行したFF車であるアテンザと比較すれば、FRの方が雪道は苦手だということが分かる。ただしそれはクルマの特性なのだ。

さて、BLIZZAK VRXに履き替えてからが本番。先に体験したREVO GZとの比較をしつつ、さらにFR車との相性にも気を配りながら、限界走行を行ってみる。周回走行、スラローム走行、そして急制動。その全てにおいて、BLIZZAK VRXはREVO GZの性能を明確に上回っていることが体感できた。例えばカーブを走り抜ける際、外への膨らみ方がBLIZZAK VRXは小さい。スラローム走行時にコントロール不能になる回数も、BLIZZAK VRXの方が少ない。

そして極めつけ、データを取りつつ行った急制動で結果は明らかとなった。これはあくまでGPSを使った測定器で我々が独自にテストを行った結果だが、まずREVO GZだと、スタート地点から加速し、ブレーキを踏むポイントでの最高速度が30.4km/h。その後、30km/hから完全停止するまでに要した距離が11.05mとなった。一方、BLIZZAK VRXの場合はというと制動ポイントでの最高速度は32.73km/hで、30km/hから停止するまでの距離が8.75mとなった。数回同じテストを繰り返した上で、それぞれ制動ポイントでの時速がもっとも速かった時のデータである。

BLIZZAK VRXに履き替えて、雪上を豪快に走る! テストコースだからこそ、踏めるアクセルだ

テスト中、雪が強く降る場面もあった

急制動! こんな雪道でも車がしっかり前傾姿勢になるぐらい減速する。だがリアが流れたり、前に出るような感覚は想像以上に小さい

同じ地点からアクセルを踏み込んで加速し、同じポイントでの時速を比較する。要するにタイヤがどれだけ雪道をグリップしているかの比較では1割弱、BLIZZAK VRXの方が上回っている。到達した最高速度を見ても分かる通り、走行距離が短いので、これがもっと長ければ差はさらに開いただろう。一方、分かりやすいのは制動距離の比較。2割ほどBLIZZAK VRXの方が上回っている訳だ。BLIZZAK VRXは加速でも制動でもREVO GZを上回る、優秀なスタッドレスタイヤということだ。

最後に今回の結論をまとめよう。まず何よりスタッドレスタイヤのテストをしたいからといって、むやみに「雪が降りますように」などとお願いしてはいけない。というのはさておき、FF車と比較しながら本当に一通り、さまざまな状況の雪道をFR車で走ってみて、BLIZZAK VRXのように優れたスタッドレスタイヤを履いていれば、そして無理をしなければ、雪道もFRでもまったく問題は無い! とにかく最低限、優れたスタッドレスタイヤを履いていること。そして雪道であることをちゃんと認識していれば、ドライブを楽しむ余裕が充分にあると実感した。

もちろん山奥に行く、例えば新雪が積もる場所に行くとなれば、スタッドレスタイヤを履く以外にも携帯用のスコップを用意したり、スタック脱出用のプレートなどを用意する必要はあるだろう。だが「FRだから」とあきらめる必要はない。「雪道だからスピードを出しすぎないようにして、充分に余裕を持ってブレーキングしよう」。これをしっかり意識しておけばいい。後はBLIZZAK VRXがなんとかしてくれる。

アテンザで同行した営業さん曰く。「アテンザの前はロードスターに乗っていて、スタッドレスタイヤも持っていなかったので、雪道を走るなんて考えたことも無かった。でも今回、アテンザにBLIZZAK VRXを履かせて走ったら不慣れな自分でも雪道を普通に走れるということが分かった。これなら今度の冬は雪国の温泉へドライブということも考えられそう」と。

アテンザもBLIZZAK VRXを履いて雪上を疾走する。正直、アテンザの方が走りやすいのは事実

BLIZZAK VRXの非対称パターン形状がよく分かる

そう、BLIZZAK VRXのようなスタッドレスタイヤはドライバーに安心をもたらしてくれるだけでなく、新たな可能性を示してくれる。スキー場へのドライブ、年末年始の里帰り、温泉にゆっくり入りながらの雪見。雪道において慎重さは必須だが、雪道を恐れる必要はないのである。BLIZZAK VRXを履いて冬のドライブを楽しむ。そんな可能性も見えてくる。私とてハチロクで雪道を普通に走れるということが分かったのだから、温泉にでも行ってポニョ嫁のご機嫌でも取ろうかと思っている。今回、お世話になった水上温泉とかもいいなあ。

お家に帰るまでがテスト走行です。帰路はBLIZZAK VRXを履いて安全運転

 

[PR]企画・製作 株式会社 インプレス 営業統括部
問い合わせ先:watch-adtieup-bridgestone1411@ad.impress.co.jp
Copyright (c) 2014 Impress Corporation. All rights reserved.