筆者が現在の愛車「ヴェルファイア」を購入した当初、なぜか思いどおりに走ることができず悩んでいたのだが、その原因は連載記事で述べたとおり「タイヤ」だった。
走る、曲がる、止まる、燃費、乗り心地。クルマの性能が年々向上するにつれ、標準装着タイヤに求められる性能も格段にレベルが高くなっている。
最近では純正標準装着タイヤとして、ブリヂストン「エコピア」クラスがあたりまえのレベルになっているという。オッサンである筆者のイメージからすると「ずいぶん豪華な基準だなぁ」という印象だが、十二分の性能と快適さを持つ「ECOPIA EX20 RV(エコピア イーエックス ニーマル アールブイ」を「基準」として、より快適になった新しい「REGNO GRV II(レグノ ジーアールブイツー)」との比較テストをしてみよう。
タイヤの組み付け交換作業は、これまで何度もお世話になっている「タイヤ館 パドック246」さんに依頼。例によって特別にピットへ入れてもらい作業の様子を撮影しつつ見学させてもらうのだが、本当にテキパキと無駄が無くスムーズ、かつ超絶丁寧な作業っぷりは「基準」を超えて「模範」と言えるだろう。
純正ホイールには後述するエコピアを組み替え取り付けするため、レグノには別のアルミホイール「ブリヂストン ECO FORME(エコフォルム) CRS 101」を用意して装着した。サイズはいずれも215/60 R17で変更無し。
今回は「ちゃんと買い」の基準タイヤとして「エコピア EX20 RV」、そして最高の快適性を実現してくれるであろう「レグノ GRV II」、それぞれ新品タイヤを用意。
レグノは既にホイールに組み付けた状態だったので、まっさらな新品状態をマヂマヂと眺めつつ、走りと快適さへの期待を膨らませる。
(店員さんたちに作業をちょっと待って頂きつつ)レグノをたっぷりと鑑賞撮影した後、ピットで取り付け作業を開始。もちろんタイヤ脱着は自分で行うこともできるわけだが、タイヤ館での取り付けはひと味もふた味も違う完璧な作業。各部の点検を行いつつ、「ブリヂストン センターフィット B-SYSTEM」を使用して、より正確にタイヤを車軸のセンターへと固定する。クルマそのもののアライメントやホイールバランスを整えた上で、さらに高速道路走行時の微振動などを軽減できるこのサービス、長距離ドライブが多い方などぜひ試してみてはいかがだろうか。
レグノの取り付けに続き、純正ホイールのタイヤを履き替える。現在装着している「エコピア PRV」は2012年にここパドック246で取り付けてもらったもの。あれから3年、長距離ドライブを主におよそ6万kmほど走行し、最近は摩耗が進んだこともあり、少々タイヤノイズが気になっていたところ。
およそ5部山になったエコピアPRVは、もちろん穴あきや破れなどは無いものの、トレッド面をじっくり見ると細かなひび割れや何かを踏んだ際の欠けなどが見える。交換するしないに関わらず、定期的なタイヤ点検は重要だと改めて気づかされる。
休憩がてら店舗3階にあるラウンジでお茶を頂いていると、作業が終わりましたよ~、と藤岡店長から声がかかる。
タイヤはどれも黒くて丸いし、ホイールに組んで、空気を入れて、ナットで固定すればとにかく走る、それは確かに事実。「でも、より安全にクルマを楽しめるように、タイヤの素晴らしい性能をフルに引き出せるように、我々店舗にできることは、まだまだたくさんあるんです」と店長は語る。
「値段は問わないので、良いタイヤをください」と仰るお客様もいらっしゃるそうだが、そのお客様にとって何が「良い」タイヤなのか。車種、乗り方、使われ方、生活のスタイルまで考えて最適なタイヤをアドバイスし、確実な技術でセッティングしてくれるお店というのは、実に頼もしい。
愛車の純正装着タイヤからエコピア PRVに履き替えたとき、それまでの冬タイヤからブリザック REVO GZやブリザック VRXに履き替えたとき、いつもお店から走り出した瞬間に「おおぉっ!」といつも感動させてくれたブリヂストンのニュータイヤ。
レグノ GRV II初走行の感触は、これまで体験したことのない領域だった。
セダンに乗っていた二昔前からレグノは何本も履いてきたが、ミニバンに装着して走るのはこれが初めて。
快適性、静粛性はもちろん言うまでも無いのだが、まずは素晴らしいハンドリングと高い走行安定性に度肝を抜かれた。
これまで履いていたエコピア PRVのハンドリング、ドライバビリティにも、もちろん満足していたはずなのだが、一度レグノ GRV IIを味わってしまうと、「これは、もう、元には戻れないな……」というのが正直なところ。 詳細は後編で紹介するが、それほどの差があった、ということはまずお伝えしておきたい。
その後、エコピア EX20 RVに履き替えて、再び慣らし走行へ。
先にレグノ GRV IIを体験してしまったので、走行ノイズの音量、音質、ハンドリングなど全てにおいて「うーん、比べてしまうとやっぱりレグノだよな……」と感じてしまうが、エコピアだけ単体で乗れば「素晴らしい!」と思うに違いない。 これだけ高い性能と快適性をもつエコピアを「基準」とするブリヂストンの品質レベルの高さがうかがえよう。
両タイヤとも200km程度試運転ドライブを終えた後、再びレグノをセッティングして長距離ドライブテストに備える。
家事に仕事に学校行事と超多忙な愛妻のスケジュールを確認すると、この週末は今月で唯一時間が空いているようだ。こりゃ幸い、さっそくドライブデートに誘い出そう。もちろんいつものように行き先は言わず、とりあえずドライブへ出発!
今回はクルマに交換用のエコピア4本を積んでいることもあり、さすがのカミさんもなにやらタイヤ関連のテストドライブだということには気がついているらしい(笑)。自宅を出発して、また行き先はナイショなのね~などと談笑していると、さっそく「あらっ……これは全然違うわね、とってもナメラカな気がするよ」とカミさんから感想が。ここだけの話、愛妻はクルマにはあまり興味が無いのだが、レグノへ履き替えたことはすぐに分かったようだ。
いつものように最寄りのパーキングエリアでおそばを食べ、首都高速から東名自動車道へ走る。しばらくすると、ポツリポツリと雨が降り出してきた。途中夕食の休憩と日帰り温泉を楽しみつつ、さらにクルマを走らせる。
おはようございます!ここはどこでしょう?
というわけで、琵琶湖のほとりのホテルに到着。ホテルの協力を得て、駐車場にNAOさん臨時ガレージをセッティング。迅速なタイヤ交換作業ができるよう、ガレージフロアジャッキ、電動インパクトレンチ、トルクレンチ、輪留めなどの工具、そしてタイヤ4セットを車内に積み込んでドライブしてくる宿泊客はなかなか珍しいらしい(笑)。
まずはレグノを装着したまま京都の町並みを軽くドライブ散歩しつつ、和風カフェで朝ご飯。
京都近辺は家族ドライブ旅行でなんども訪れていることもあり、「今回はどの辺に行くの?」とカミさんから質問。「今回は、2セットのタイヤで同じ道を2回ずつ走るドライブね」という回答の意味はよく分からなかったようだが、状況は飲み込めたようだ(笑)
一旦ホテルに戻り、さっそく特設ガレージでエコピアにタイヤを付け替える。レグノで快適長距離ドライブを楽しんだ翌朝一番の力仕事はなかなか大変ではあるが、しっかり心を込めて作業をする。
ホテルから整備の整った国道161号まで走る一般道、1つ目の交差点に差し掛かるまでも無く「なんだか……クルマが重い感じがするね」とカミさんがポツリ。確かに筆者も、レグノに比べてアクセル踏み込み量が多いと感じつつ比較的まっすぐ開けた国道161号を制限速度の60km/hで走る。
何とも言えない、細かな振動のようなものを全身で感じるのだが、もしかしたら筆者のタイヤ組み付けが下手でセンターが出ていないのかも、と色々考えつつ、京都南インターから京都東インターなど、予定したルートをひととおり走りホテルに戻る。念のため、もう一度ジャッキアップしてタイヤを組み付け直して近所を走ってみたのだが、やはり印象は変わらず。
決して不快ということは無く、ハンドリングもシッカリしているし、騒音もそれなりに抑え込まれているし、普通に「快適」と言えるエコピア。だが、レグノと比べるのは少々無理があったようだ。気のせい、プラシーボ、寄る年波の疲れなど、いろいろ考えられるので(笑)、もう一度レグノに履き替えてテスト走行してみる。
再びホテルに戻り、再びレグノに履き替える。ホテルにはもちろん説明済みだが、さすがに「よくやりますねぇ(笑)」という視線を感じつつも汗だくでタイヤ交換。カミさんにはその間ホテルで休憩してもらい、次のテストへの英気を養う。
琵琶湖のほとりを徐行運転し、一般道へ。
うん。全く違う。違いすぎる。
筆者も、カミさんも、あまりにも「ハッキリ」と体感できるほどの快適さの違いに息をのむ。
繰り返しになるが、エコピアも「十分快適な基準性能」を持っていることを強調しつつ、だが、レグノはハッキリ言って全く別物の素晴らしさ。
走り出しの「ナメラカ」さ、コーナリング時のステアリングの「シッカリ」さ、ブレーキングして停車するときの「シットリ」さ、そして圧倒的な静粛性と、「快適な音質」と言えるロードノイズ、耳に聞こえる聞こえないを問わず良く抑え込まれている「幅広い周波数」。
あのカミさんですら、「いや~、ここまでハッキリ違うと、テストにならないんじゃない?」と逆に心配するほど、レグノの快適性は圧倒的だった。
筆者のヴェルファイアは超静音仕様を目指してDIYで頑張っていることもあり、すり減ったエコピアを装着しているときでも、特にタイヤノイズがうるさすぎると感じることは無かった。だが、レグノに履き替えた今となっては、もう元に戻れない。
カミさんの愛車ヴィッツにレグノを取り付けたときは、「コンパクトカーだから差が分かりやすいよね」と話していたのだが、静音化改造を施した大型ミニバンでも、いや、車室内が広い大型ミニバンだからこそ、レグノ GRV IIの快適性はより際立つ。特に3列目の静かさ、快適性は特筆に値する。こりゃ~たまげたぞ!
ビックリしすぎてお腹が空いたね、ということで、ここでご飯休憩。普段から話し好きな我が家だが、タイヤの話で盛り上がるという機会は珍しい。
筆者とカミさんがビックリしたレグノの快適性を、どうやったら読者のみなさんにも共有できるのか。許されるなら、読者の皆さん一人ひとりをドライブ比較に招待したいところだが、それは不可能。というわけで、今回は、ヴェルファイアの1列目と3列目それぞれに撮影用カメラと騒音測定器とノートPCを設置し、走行中の「音質」と乗り心地をお伝えするべく動画を製作してみた。
画面左側のレグノの走行シーンを、右側にエコピアの走行シーンをそれぞれ配置し、スピードメーターと、3列目の収録音をスペクトラムアナライザーで波形化したものを合成し、できる限り同じスピードで同じルートを走っているが、付近を走行するほかのクルマなどによる暗騒音もあるため、「参考」としてご覧頂きたい。

・タイヤ銘柄:ブリヂストン REGNO GRV II/タイヤサイズ:215/60R17 96H/空気圧:240kPa/速度:40km/h加速~80km/h/試験車輌:トヨタ ヴェルファイア DBA-ANH20W-NFXQK 2400cc 前輪駆動/試験路面:名神高速道路 京都南IC~京都東IC 合流加速から走行車線/計測方法:各々の路面を走行した時に発生するタイヤ音を測定。騒音計で評価車輌座席1列目の耳傍の音圧と、3列目の耳傍の音圧を測定/ムーンルーフ 前後ともに閉/カーテン 全て開けて束ねた状態/エアコン 運転席ON 設定温度24.5℃ 風量最弱 吹き出し口は上部と足下、助手席ON 設定温度24.5℃ 風量最弱 吹き出し口は上部と足下、後席ON 設定温度24.5℃ 風量最弱 吹き出し口は上部と足下/撮影方法:キヤノン EOS Mによる録画および内蔵マイクによる録音 /FFT計測にはフリーウェアの高速リアルタイムスペクトラムアナライザー「WaveSpectra」V1.51を使用
・タイヤ銘柄:ブリヂストン ECOPIA EX20 RV 215/60R17 96H/タイヤサイズ:215/60R17 96H/空気圧:240kPa/速度:40km/h加速~80km/h/試験車輌:トヨタ ヴェルファイア DBA-ANH20W-NFXQK 2400cc 前輪駆動/試験路面:名神高速道路 京都南IC~京都東IC 合流加速から走行車線/計測方法:各々の路面を走行した時に発生するタイヤ音を測定。騒音計で評価車輌座席1列目の耳傍の音圧と、3列目の耳傍の音圧を測定/ムーンルーフ 前後ともに閉/カーテン 全て開けて束ねた状態/エアコン 運転席ON 設定温度24.5℃ 風量最弱 吹き出し口は上部と足下、助手席ON 設定温度24.5℃ 風量最弱 吹き出し口は上部と足下、後席ON 設定温度24.5℃ 風量最弱 吹き出し口は上部と足下/撮影方法:キヤノン EOS Mによる録画および内蔵マイクによる録音/FFT計測にはフリーウェアの高速リアルタイムスペクトラムアナライザー「WaveSpectra」V1.51を使用