クルマを購入するタイミングは、どういうときが多いのだろう。趣味として購入する人ももちろんいるだろうけれど、家族が増えたから買いたい・買った、という人も多いのではないだろうか。
じゃあ、そのクルマに搭載するカーナビは何を基準に選ぶのか。おそらくクルマの購入と同時にメーカー純正のナビシステムを選ぶ人が多いはず。想像通り、いくつかの調査結果を見てみると、だいたい3割くらいの人はメーカー純正ナビを選択しているみたいだ。
だが、ちょっと待ってほしい。家族が増えたからクルマを購入したい・購入したという場合に、クルマライフに必須であるカーナビについてもきちんと考えねばならない。今あるクルマのカーナビを買い替えたいと思った時に、ナビゲーションの正確さだけを重視すればいいのだろうか。あるいはスマホをカーナビ代わりに使えばいい、なんて単純な話で済むのだろうか。答えは否!
これからの時代、子どもを乗せて運転するお父さん、お母さんは、子どものことも考えられたナビ製品を選ぶべきだと強く主張したい。今回紹介するパナソニックの「美優(ビ・ユー)Navi CN-RX01WD」を使ってみて、2人の子をもつ筆者は、父親として真剣にそう感じたのである。
専業主婦として毎日朝から晩まで、1歳半と生後2カ月の2人の子どもの面倒を見ている妻。2人とも手のかかる時期で、妻自身のやりたいことはほぼ一切できていないような状況だ。保育園は待機児童であふれかえっていて、預けることもできない。せめてどちらか1人を父親である筆者が付きっきりで世話してあげられれば、妻のストレスもちょっとは軽減するはず……。
なのだが、仕事がある平日に筆者がしてあげられることはほとんどなく、せいぜい休日にお手伝いするのが関の山。でもドライブがてら上の子を1日連れ出せば、少しは妻が自由になる時間も作れるかもしれない。なんてことを考えて、「美優Navi CN-RX01WD」が搭載されたクルマに乗り、父娘水入らずのお台場デートに出かけてみることにしたのである。
さて、冒頭でも書いたように、「CN-RX01WD」がなぜ子どものことを考えたカーナビと言えるのか。最大のポイントは、専用オプションのカメラ付きリアモニターを使えること。「CN-RX01WD」は運転席・助手席用のカーナビ本体なのだけれど、これに「CA-RMC900D」という後部座席用のリアモニターを追加できるようになっているのだ。(2014年冬発売予定 詳細はこちら)
リアモニターにはなんとカメラが付いており、本体側からそのカメラ映像をチェックできる。子どものいない人にとっては、車両後方を見ることができるバックカメラの便利さは理解していても、この車内しか映さないカメラ付きリアモニターがどう役に立つのか、きっと想像しにくいと思う。
ところが、子どもを後部座席のチャイルドシートに座らせて運転する世のお父さんお母さんにとっては、かなり重要なのである。子どもの隣に妻や大人が一緒に座っていればいいのだけれど、今回のように子どもと2人きりで出かける場合、運転席からは子どもの様子を見ることが難しい。バックミラーで覗いてもしっかり視認できないし、振り返るのは運転中はあまりにもタイミングが限られる。
しかしカメラ付きリアモニター「CA-RMC900D」を使えば、そんな問題はあっさり解決。ナビ画面からボタン操作するだけで、車内後方の様子が鮮明なカラー映像で丸わかりになる。子どもが起きているのか寝ているのか、機嫌が良さそうか退屈そうにしているのか、シートベルトがきちんと装着されているかどうか、といったことがひと目で確認できるのだ。カメラ映像がオンになった後、30秒すると自動でナビ画面に戻るのも気が利いている。
実際、今回の娘とのお出かけでは、公園に向かう車中で気になって幾度となくカメラ映像をチェックした。特にチャイルドシートのシートベルトは、最近子どもに力も知恵もついてきたせいか、油断すると抜け出して上半身がフリーになっていたりすることもある。それに気付いたとしても、さすがに走行中には対応できないけれど、すぐに安全な場所に停車して装着し直すべきか、という判断はしやすくなる。
また、先ほどは「子どもの隣に妻や大人がいればいい」と書いたけれども、そういうシチュエーションであってもあえてカメラ映像を時々チェックすることは、妻に対して「運転中といえども、(任せっきりにしているんじゃなくて)常に子どもを気にかけているんだよ」という意思表示にもつながる。あさましいとか言わないでほしい。これは円満な家庭であり続けるための父親の気遣い、優しさなのである。
カメラ付きリアモニター「CA-RMC900D」のスペックを簡単に説明すると、画面サイズが9インチ、WSVGA(1024×600ドット)の解像度で、カーナビ本体のモニターより大画面、高画質である。この画面には、本体で受信した地上デジタル放送の映像のほか、本体に挿入したBlu-rayディスクやDVDの映像を映し出すことが可能になっている。
当然ではあるけれど、本体とリアモニターの両方で同時に映像を見ることもできれば、本体側はカーナビ画面を、リアモニター側はBlu-rayの映像を、それぞれ別に映すこともできる。さらに、Blu-rayの映像を見る子どもの表情を、本体側からリアモニターのカメラ映像でチェックするといった使い方もできる。
リアモニターがなぜ必要になるのか。運転している大人は退屈することはないが、子どもはよほどクルマ自体が好きでない限り、走行中は退屈きわまりないものと思われる。チャイルドシートにしっかり固定され身動きが取れないのもストレスのようで、その限界を超えると、たいてい泣く、もしくは叫ぶ。この退屈で窮屈な時間に、子どもの気をいかにして紛らすか、どうやって楽しいものにするかで、世のお父さんお母さんは苦労していることと思う。
こういう場面に最も効果的な2大アイテムが、お菓子とエンタメだ。騒ぎ出したら、あるいは騒ぎ出しそうな気配を感じる前に、リアモニターにすかさず子どもの好きなキャラやアニメの映像を流すことで、被害を最小限に食い止めたり、事前に防いだりできる。同時にお菓子も与えれば効果大だ。
ただ、1歳半の我が娘の場合、映像の中のキャラや人物が何を言っているのか、まだまだ正確には認識できていない。映像を見せても楽しんでもらえるかどうか微妙なお年頃……。とりあえず出発後しばらくしてから、おもむろにアニメ映画のBlu-rayを再生してみたのだが、カメラ映像で様子をうかがったところでは、たいへん不機嫌そうな顔つきながらも、かろうじて黙って画面を見てくれていた。空気を読むいい子である。もう少し子どもが大きければ、Blu-ray映像の効果は抜群のはずだ。
ちなみに「CN-RX01WD」では、映像面だけでなく音質にもこだわっているそう。音質に関わる部品選びや回路設計にまで手間をかけ、高音質に向けたさまざまな技術と工夫を盛り込んだ「ストラーダ・サウンドエンジン」により、カーオーディオらしからぬ音を奏でる、という。
もちろんクルマに搭載しているスピーカーの質にも左右されると思うけれど、Blu-rayでアニメ映画を再生した際には、上品さを感じられる繊細な中高音から、響くような重低音まで、全域にわたって気持ちのいいサウンドを聞かせてくれた。「CN-RX01WD」を使うなら、クルマのスピーカーも選び直したいと思ったほどだ。
というわけで、カメラ付きリアモニターとBlu-rayの映像に助けられながら公園へ到着した筆者と娘。おかげで子どもの機嫌をひどく損ねることもなく、片道1時間半ほどの道のりを平穏無事に、いや、どちらかというとけっこう快適に過ごすことができた。長時間縛り付けられていたチャイルドシートから解放された娘が元気に公園を駆け回る姿を見て、「CN-RX01WD」のありがたみをかみしめる筆者であった。
後編では、「CN-RX01WD」のナビ機能のレビューをお届けする予定なので、こちらもぜひチェックしてほしい。
(日沼諭史)