まだ幼い娘との2人きりのドライブに、カメラ付きリアモニターが大活躍したパナソニックのカーナビ「美優(ビ・ユー)Navi CN-RX01WD」。カメラによって後部座席のチャイルドシートで子どもが何をしているか、安全にシートベルトで固定されているかなど、運転席からでも気軽にナビ画面で見ることができる。さらにBlu-rayで子どもの好きな映像をリアモニターに映し出し、子どもにとっても退屈なドライブが楽しい時間になった。

前編ではカメラ付きリアモニターやBlu-ray再生が子ども相手にとっても役に立った

 手のかかりがちな子どものフォローを完璧にこなせることで、当然ながらドライバーとしては自然と運転に集中しやすい状況になる。そこで重要になるのが、美優Navi本来のナビゲーションシステムとしての性能だ。今回のドライブを通じて、目的地まで安心、快適、確実に、迷わずスムーズに運転できるようにする数々の工夫が施されていることに気付いたのだが、果たしてどんな風に使えたのか、詳しく紹介してみよう。

タッチ、ピンチイン/アウト、スマホ対応の“今どき”仕様

 まず、ドライブのスタート時に個人的にさっそく引きつけられたのが、美優Naviの画面の操作性。他の一般的なカーナビと同様にタッチパネルを採用しており、ほとんどの操作を画面のタッチで行えるわけだけれど、単純なタッチだけでなく2本指を使ったピンチイン/アウトによる地図画面の拡大・縮小などが快適に行えるのがありがたかった。

 こういったスマートフォン風の操作が可能なカーナビは最近になって少しずつ増えているけれど、日常的に行っているスマートフォンのタッチ操作と同じように直感的に扱えると、従来のカーナビ操作で気になっていた違和感の正体がはっきりする。タッチパネルはこうじゃないと、という気にもなってくる。

タッチはもちろん……   ピンチイン/アウトによる地図の拡大・縮小もOK   高速道路でのナビ情報は多く、それでいて見やすい

 また、詳しくは後で紹介するけれど、そのスマートフォンとの連携にもしっかり対応してきているのが、ポイント高し。美優Naviは“今どき”の使い方ができる、まさに最新のカーナビという印象を受けた。

カーナビも“先進安全性能”搭載へ

最高速度制限40km/hの道路であることをお知らせ

 自動車業界で“今どき”というと、いかに安全に走行できるかを追求する「先進安全性能」が挙げられるだろう。自動ブレーキで衝突を未然に防いだり、車線をはみ出さないように自動操舵したりと、自動車メーカー各社が独自に研究開発し、実用化している。

 そんなクルマ自体の先進安全性能の進化に呼応するかのごとく、美優Naviでも「安心運転サポート」と銘打った機能を搭載している。これは、走行中の場所における道路標識などを画面表示と音声で教えてくれるもの。実際の道路標識を目視した方が早いんじゃないか、と思われてしまうかもしれないが、実はドライバーにとっては意外に“助かる”機能なのである。

 たとえば美優Naviでは、脇道に入ったり、逆に幹線道路に出たりなど、最高速度制限が変化するようなタイミングですかさずその道路の最高速度制限を画面表示してくれる。本当は道路標識に気付ければベストなのだが、それより優先すべき安全確認に集中すると、場合によっては速度標識まで目が行き届かないこともある。幹線道路なんかでは、しばらく走っても速度標識が現れないことも多い。

 つまり、画面表示と音声で教えてくれるおかげで、安全運転に最大限に気を配りつつ、周囲の交通の流れに乗って、制限速度を意識した走行を心がけることができる。運転にあまり慣れていない人も、頻繁にクルマを乗り回している人も、確実に助けになる機能の1つだろう。ちなみに最高速度制限だけでなく、一時停止、踏切、合流、指定方向外進行禁止、カーブや事故多発地点といった、特に気を付けたい警戒・規制標識の前にも同じように注意を促してくれる。

一時停止や指定方向外進行禁止などの標識も表示

 一瞬の判断の迷いが事故やぎこちない運転につながるだけに、美優Naviの「安心運転サポート」はクルマの先進安全性能と同じように、一度体験すれば欠かせない機能と思うはずだ。

正確なナビを活かすフロントインフォディスプレイ

 「美優Navi CN-RX01WD」で採用している地図データは、住宅地図などで定評のあるゼンリン製。日本全国、市街地の細かい脇道まで正確に再現する詳細なデータだけあって、ナビの正確さは折り紙付きだ。地図自体の見やすさはもちろんのこと、主要なランドマークを3D表示したり、高速道路のETCレーンを示したり、あるいは一般道の方面看板を限りなく同じように再現して案内するなど、きめ細かな情報を網羅している。なんとなく、ドライバーを「絶対迷わせないぞ!」という強い意志が感じられる気がする。

主要なランドマークを立体的に表示する地図モード   真上見下ろし型の地図モード
拡大したところ   道路が冠水する可能性がある場所はアイコン表示

 そして、最初に解説した画面の操作性と合わせると、やっぱり使いやすいな、という気持ちになる。最大3年間の地図データ更新にも無料で対応するので(ユーザー自身によるアップデート作業が必要)、当面は最新の正確な地図を使い続けられる安心感も大きい。

 ところで、いくら地図表示が見やすく、正確にナビしてくれるといっても、ドライバーとしては運転中に画面を注視するわけにはいかない。今回は助手席に座ってサポートしてくれる人もいないし、1歳半の娘に何かを期待することもできないわけで。では、そんな不都合を解決する方法が何かないのか。実は、美優Naviにはさらなるドライバーの助けになる2つの機能が用意されている。

 1つは、オプションとなるフロントインフォディスプレイ「CY-DF100D」。ハンドルとフロントガラスの間のダッシュボード上に設置することで、ドライバーが進行方向から視線を大きく動かすことなくナビの情報を確認できる、いわゆるヘッドアップディスプレイだ。透明のディスプレイに浮かび上がるように映像を投影するので、視界の妨げにならないのもポイントと言える。

運転席側のダッシュボード上に設置したフロントインフォディスプレイ「CY-DF100D」   運転席から見るとこんな風に見える(非ルート案内時)

 このフロントインフォディスプレイには、ナビに合わせた行き先の表示だけでなく、前述の「安心運転サポート」機能で実現している道路標識なども表示する。必要な情報を、即座に、運転に集中しながら得られるのは、フロントインフォディスプレイを初体験する筆者にとって新鮮そのもの。慣れないうちは、フロントインフォディスプレイの存在を忘れがちで、どうしてもクセで意識がナビ画面に向かってしまう。でも、片道をドライブしている間にすっかり慣れ、「やっぱいいわ、コレ」という感じになった。

 ちなみに美優Naviは、詳細な道路規制情報や渋滞情報を得られる別売のDSRC車載器とも連携が可能になっている。さらに一歩進んだ安心や快適さを求めるなら、「CY-DSR140D」などのDSRC車載器も合わせて手に入れたいところだ。

DSRC車載機との連携によって表示された注意情報等の案内)

いい意味で裏切られた「音声認識機能」

「音声人気機能」で登場する女性キャラ 生理的欲求にも的確に応えてくれる

  もう1つ、実はあまり期待していなかった(失礼)のだけれど、かなり使えるサポート機能が「音声認識機能」だ。スマートフォンでは今や当たり前のように活用されている音声認識による操作だけれど、カーナビではまだそれほど一般的になっていないこともあり、性能的にも熟成されていないのではないか、という疑問があった。

 ところが、美優Naviの音声認識機能を使って、その考えは完全に見当違いな先入観だったと思い知らされた。ハンドルを握りながら「○○へ行きたい」としゃべるだけで、その目的地の候補を表示し、候補の中から実際に行きたい場所を話せば目的地へのルート探索が始まる……というのは、まあ機能としては当たり前かもしれない。

 美優Naviの場合はそれだけでなく、たとえば「のど渇いた」のような要望まがいの発言さえも的確に意図をくんで、近場のカフェやレストラン、コンビニなど、飲み物を飲める・買える場所を教えてくれるのだ。しっかりマイクに近づいて話さないとダメ、なんていうデリケートなところも感じられない。想像以上に自然に、かつ本当に実用性のある形で音声認識機能を使うことができる。

 筆者は普段スマートフォンで音声入力することはほとんどないけれど、手が離せないことが多いクルマであれば話は別。確実に安全に結びつく機能なわけだから、これは積極的に使いたいなと思わせられた。子どもがいる時の車内は思いがけないアクシデントがつきもので、すぐさまコンビニ(やトイレ)に駆け込む必要に迫られたり、当初の目的地を諦めなければならないこともままある。大混乱の車内で迅速に対処するのに、音声認識機能は本当に頼りになるのだ。

 ただし、音声認識機能を使うにはある程度前準備が必要。モバイルネットワークで通信できるスマートフォンであらかじめ「Drive P@ss」(iOS版Android版)アプリ(無料)をインストールしておき、美優Naviとペアリングしておく必要がある。

音声認識機能を使うにはスマートフォンとBluetooth接続する   接続設定は機器登録から   Drive P@ssが使えるように有効化するのも忘れずに
iOS版「Drive P@ss」の画面   美優Navi本体と同じように認識してくれる   飲み物をゲットできる行き先候補を表示   行きたいところを決めたらナビ本体に“送信”して目的地設定完了

ペアリングすればスマホアプリ上からでも
音声認識機能が使えるように

 でもこうしておくと、Drive P@ssアプリ上でも音声認識による目的地検索が行えるようになる。同乗者にスマートフォンを渡して操作してもらえば、走行中でもすぐに行き先を変更したり、目的地の詳しい情報を知ることもできるわけ。家族ドライブはもちろん、友人らとの小旅行にもぴったりなのではないだろうか。

カーナビ選びからドライブは始まっている!?

目的地の公園で、娘は満足いくまで遊べたかな?

 自宅とお台場の公園を、娘と2人きりで往復する間だけだったので、全ての機能を試すことができたわけではない。けれど、以上の実際に使った主要な機能だけ見ても、少なくとも「子どもとのドライブデート」における美優Naviの便利さは伝わったんじゃないかな、と思っている。

 前編で紹介したカメラ付きリアモニターとBlu-ray再生、そして今回解説した安全運転を支援する数々の機能が、ドライブを楽しく、快適にする大きな要素になることは間違いない。安心・快適に感じてもらえる運転につながれば、きっと子どもの「父親(母親)に対する信頼」も生まれるだろう。それを実現するカーナビ製品選びも含めて、広い意味での「ドライビングテクニック」と言えるのではないか、なんてことをちょっぴり感じた1日だった。

(日沼諭史)

前編はこちら

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