東京モーターショー2013

東京モーターショー2013の2輪車をピックアップ。ホンダ、スズキ編

2輪車ピックアップとして、ホンダとスズキのブースを紹介
東京ビッグサイト

ホンダ:西2ホール 1階

スズキ:東6ホール

会期:11月20日~12月1日(一般公開日:11月23日~12月1日、プレビューナイト:11月22日17時30分~)

 11月23日の一般公開(プレビューナイトは22日17時30分から)に先駆けて、20日から開幕した「東京モーターショー2013」。4輪車、2輪車の最新モデルが集結する2年に一度の一大イベントとなっているが、ここでは国内大手2輪車メーカーのうち本田技研工業とスズキの2輪車の展示内容をお伝えしたい。

ホンダはネイキッドスタイルの「GOLDWING F6C」を初公開

 ホンダは東京モーターショー2013で計18車種を展示。ヘッドライトをLED化した伝統的なネイキッドスポーツのツアラーモデル「CB1300 SUPER BOLD'OR」、クラシックスタイルの「CB1100EX」、クルーザータイプの「CTX1300」、NC700の排気量をアップした進化版となる「NC750」、中型スポーツモデルの「CB650F」と「CBR650F」、原付の新顔「Dunk」、すでに市販化されている125ccの「グロム」や「クロスカブ」など多数の2輪車が並び、展示スペースの大半を占めている。

 2013年シーズンの2輪ロードレース世界選手権MotoGPで史上最年少優勝を果たしたマルク・マルケス選手が駆る「RC213V」も展示されている。

ヘッドライトがLED化した「CB1300 SUPER BOL D'OR」
排気量がアップしたエンデューロモデルの「NC750」
こちらはネイキッドモデルの「NC750S」
マルク・マルケス選手のMotoGPマシン「RC213V」

 そんな中、自動車がメインとなるホンダのプレスカンファレンスで唯一壇上で紹介された2輪車が、世界初公開となる「GOLDWING F6C」だ。フルスペックの大型クルーザー「GOLDWING」と、ややコンパクトなスタイリングが特徴の「GOLDWING F6B」の流れをくむモデルで、従来モデルと同様に1832ccの水平対向6気筒エンジンが搭載される。ただし、GOLDWINGをGOLDWINGたらしめていた特徴的なサイドカウルやウィンドスクリーン、パニアケースなどはほとんど取り払われ、ハンドルまわりがあらわになったマッシブなアメリカンタイプとも言えるシルエットに変化。その分重量は「GOLDWING」より70kgほど軽量化されているという。

「GOLDWING F6C」
これまでのGOLDWINGからイメージを一新したスタイリング

 「Dunk」は、ホンダが十数年ぶりにニューモデルとして原付市場に投入する49ccのスクーターとなる。盛り上がりに欠ける昨今の原付一種の市場にあえて攻勢をかける理由として、「今後大型バイクにステップアップしてもらうことを見越して、まずは若い人たちに乗ってもらって市場を活性化したい」という思いがあるとのこと。アイドリングストップなどで低燃費を実現する「eSP」エンジンの技術を採用した水冷4ストロークOHCエンジンを搭載し、LEDテールライト、電源を取り出せるアクセサリーソケット、時計付きメーターなど、「日常で便利に使える装備を一通り備えている」のがポイントだという。車格などの諸元は公表されているが、収納スペースの容量、燃費、価格などは未定。2014年春までに発売するとしている。

原付一種の「Dunk」
収納スペース内にアクセサリーソケットがある

スズキ、ターボ付きコンセプトモデルを発表

 スズキは自動車の展示が中心で2輪車の展示スペースは小さいが、インパクトの強いコンセプトモデル2車種のほか、スズキとして初めてトラクションコントロールを採用した「V-Strom 1000 ABS」と、フラグシップの大型二輪「隼」などの市販モデル4車種、そして2015年シーズンからの復帰が決まっているMotoGPのニューマシンを展示している。

スズキがトラクションコントロールを初めて搭載した「V-Strom 1000 ABS」
ブレンボキャリパーを採用する2014年モデルの「隼」
2015年シーズンに復帰するスズキの新たなMotoGPマシン

 コンセプトモデルのうち1車種は、水冷直列2気筒の588ccエンジンにインタークーラーターボを組み合わせた「Recursion(再帰)」。バイク本来の楽しみを追求しようという考えから開発されたこのマシンは、ミドルクラスの排気量ながら、ターボユニットによりリッターバイク並みの走行性能を実現するという。600ccを切る排気量のためシリンダーブロックはコンパクトだが、パワーを考慮してミッション・クラッチ部は大容量を確保。フロントブレーキは大口径のペータルディスクに、ブレンボ製のラジアルマウント6ピストンキャリパーとラジアルマスターシリンダーが組み合わされ、十分なストッピングパワーを発揮する。リアは片持ちスイングアームで、これもスズキとしては初の試み。「リターンライダーとなる年齢の方々は、片持ちスイングアームが好きだったのでは」という想像から軽快感のある片持ち構造にしたという。

「Recursion」とその開発者
「Recursion」
コンパクトな新設計の588ccエンジン
空冷のインタークーラーはシートの真下、リアサスペンションの直上にある
フロントは6ピストンのブレンボ製ラジアルマウントブレーキキャリパー
ハブ構造にこだわったという片持ちスイングアーム

 車体はアルミニウム削り出しのトップブリッジ、アルミの地の色が見える燃料タンク、カーボン素材の織りが見えるシートカウルなど、「地の色を活かし質感を高めた」デザインとなっている。ハンドルは「刺激を与える」低めのポジション。ホイールベースは走行安定性を狙って1450mmとしているものの、車幅は狭く、装備重量も174kgときわめて軽量で、コンパクトさを十分に体感できると開発陣は語った。トラクションコントロール、ABSといった電子制御も搭載される。

アルミ削り出しのトップブリッジ
カーボン地が見えるシートカウル
メーターパネルは左右が液晶、中央がアナログタコメーターと透過型のスピードメーターが組み合わされた形
ビルトインウインカーミラーは独特な位置に取り付けられている

 もう1つのコンセプトモデルは「EXTRIGGER」。「自転車以上、バイク未満」をテーマに、バイクに乗ったことのない若い人をターゲットとした50cc相当のスポーティな電動バイクだ。パワーユニットはすでに市販されている同社の「e-Let's」のものをベースとし、自転車のBMXをイメージしたという特徴的なホワイトの極太アルミフレームとレッドのアクセントで、個性的な外観に仕上がっている。メーター部はマルチファンクション液晶モニターで、日時や速度を表示するだけでなく、カーナビ機能やインターネットを介した情報の送受信機能も搭載。スマートフォンのWi-Fiテザリング機能を利用してインターネットにアクセスし、さまざまな情報を取得できるようにする。ユーザーやサードパーティがオリジナルのアプリをインストールして使えるようにすることも検討しているとのこと。OSはオリジナルとしているが、市販化の際には他社のOSを採用する可能性もあるという。

「EXTRIGGER」
メーターパネルは液晶ディスプレイ。スピードメーターとして機能するだけでなく、カーナビや情報端末としても機能する。スマートフォンのWi-Fiテザリングを利用して通信できるのも特徴的だ
カシオの可視光線通信技術を用いた通信も可能。右下に見えるのがカメラ

 車体正面にはヘッドライトとは別に円形の光源とカメラが設けられており、カシオが開発した可視光通信技術によるデータの送受信が可能になっている。カメラで店舗などに設けた別の光源を読み取ってクーポンなどの情報を取得したり、「EXTRIGGER」同士のメッセージのやりとりなどに利用できる。大容量データは通信できないため、今のところIDなどの小容量データのみやりとりし、そのIDをもとにインターネット上のクラウドサービスと連携して実際の情報を取得することを考えているようだ。市販化は決まっていない。

日沼諭史