東京モーターショー2013

ダンロップ、100%石油外天然資源タイヤ「エナセーブ 100」をワールドプレミア

量産体制を確立し11月22日に発売。ブースには2014年発売予定の2製品も

住友ゴム工業 代表取締役社長 池田育嗣氏と、エナセーブ 100(右)。左は自動車タイヤ国産第1号(レプリカ)
東京ビッグサイト 東5ホール

会期:11月20日~12月1日(一般公開日:11月23日~12月1日、プレビューナイト:11月22日17時30分~)

 ダンロップ(住友ゴム工業)は11月21日、東京モーターショーの同社ブースでプレスブリーフィングを実施。その中で、100%石油外天然資源タイヤ「エナセーブ 100(ヒャク)」をワールドプレミアした。価格は2万1105円/本で、サイズは195/65 R15 91Hの1サイズ。発表翌日の22日から発売する。

エナセーブ 100のアンベール

 同社は、石油外天然資源の使用比率を70%に高めた「エナセーブ ES801」を2006年に、同比率を97%に高めた「エナセーブ 97」を2008年に発売してきた。前回の東京モーターショーでは、100%石油外天然資源タイヤのプロトタイプを展示、2013年の東京モーターショーで製品版の公開を行うとしており、エナセーブ 100の登場が期待されていた。実際に登場したエナセーブ 100は、発表翌日から発売されることが明かされ、量産体制をしっかり整えて登場した。タイヤとのラベリングはエナセーブ 97と同じく、転がり抵抗係数「AA」、ウェットグリップ「b」の低燃費タイヤとなるが、耐摩耗性能は17%向上した。

住友ゴム工業 代表取締役社長 池田育嗣氏

 ダンロップは、1913年に自動車タイヤ国産第1号を製品化しており、住友ゴム工業 代表取締役社長 池田育嗣氏は、100%石油外天然資源タイヤであるエナセーブ100が「100年目の回答」であるという。すでにエナセーブ97で、97%石油外天然資源タイヤを実現していたが「あと3%が難しかった」とし、タイヤに使われている鉱物油を植物油へ、合成繊維を植物繊維などの天然素材へ置き換えたほか、性能に優れた改質天然ゴムを開発、老化防止剤や硬化性樹脂などはバイオマス原料から新たに作り出した。

 エナセーブ100は、エナセーブ97の天然素材比率を引き上げただけでなく、新素材のナイロン11ジョイントレスバンド(ひまし油由来)で、トレッドゴムの負担を軽減。耐摩耗性を19%向上させ、タイヤ廃棄の観点からも環境に配慮したものになる。

石油外天然資源タイヤの歩み
エナセーブ 100は発表の翌日に発売となった
3つの方法で天然素材に置き換え
自然界に存在する素材への置き換え
天然ゴムを改質して置き換え
有機物はバイオマス資源へ
耐摩耗性も19%向上した

 素材開発の担当者によると、「100年目に100%のタイヤ」というビジョンがあり、それに向かって開発を行ってきたとのこと。天然素材への置き換えができないものについては、素材を新たに天然由来のものから作り出し、製造工場を整えることから始めているとのことだ。

 池田社長は、100%石油外天然資源タイヤ開発で培った技術を、高機能バイオマス材料による商品化へ利用するとし、2016年に第1世代を、2020年に第2世代を作り上げていく。

100年目の回答
高機能バイオマスによる商品化
エナセーブ 100
トレッドパターンは、どこか葉っぱのイメージの残るもの
中央部の剛性をエナセーブ97より低下させ、全体的に接地圧を平均化してある
エナセーブ 100のラベリング表示

50%転がり抵抗低減タイヤと、SP SPORT MAXX 050 NEO

 そのほか、高純度天然ゴム「Ultra Pure Natural Rubber」を使用し、2008年比で50%転がり抵抗を低減したタイヤや、メタルコア製法によって高い真円度、高剛性、軽量化を実現したランフラットタイヤ「SP SPORT MAXX 050 NEO」を展示。いずれも、2014年に製品化するという。

50%転がり抵抗低減タイヤを開発
開発手法として4D NANO DESIGNを活用
Ultra Pure Natural Rubberを開発
タンパク質、輪物質など不純物を徹底的に取り去ったという
4D NANO DESIGNにより、分子をシミュレーション
2014年発売
50%転がり抵抗低減タイヤ。トレッドパターンはイメージデザインだろう
新しい製法によるSP SPORT MAXX 050 NEOも発売へ
メタルコアにより、高い真円性を確保する
タイヤをとことん丸く製造することで、基本性能を引き上げる
新しい材料も使うとしている
新しい製造工程で、ランフラットのサイドウォール支持部分の軽量化も図れるとした
こちらも2014年発売
ランフラットタイヤ「SP SPORT MAXX 050 NEO」
トレッドパターン。向かって左がアウト側
トレッドパターンそのものに非対称性はないように見えたが、ランフラットタイヤのため、放熱のための凸凹がイン側に設けられていた
こちらがイン側となる

 ダンロップブースには、エナセーブ100を構成する100%石油外天然資源の各サンプルと、その石油資源版が対比して飾られており、非常に興味深い展示が行われている。

エナセーブ 100に関連した展示。石油由来のタイヤ素材がずらりと並ぶ
その反対側には、石油外天然資源の素材が対照的に置かれている
バイオマス原料から作られたタイヤの老化防止剤。開発の難しかったものの1つだという
ずらりと並んだ石油外天然資源の素材。この素材群が世界初の100%石油外天然資源タイヤであるエナセーブ 100の元となっている。一見の価値あり

編集部:谷川 潔

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