ニュース

F1チーム「トロ・ロッソ」にIT技術を提供するアクロニスのベロウソフCEOが来日

「F1の世界は我々の技術が試される現場」

2016年10月7日 開催

左からアクロニスのチーフマーケティングオフィサーのジョン・ザニ氏、CEOのセルゲイ・ベロウソフ氏

 アクロニスのセルゲイ・ベロウソフCEOが10月7日、今週末のF1日本グランプリに合わせてF1チーム「スクーデリア・トロ・ロッソ」とのパートナーシップについて、その狙いなどを話した。

 アクロニスとトロ・ロッソは、7月29日に長期的なパートナーシップ契約の締結を発表。これにより、トロ・ロッソのマシン「STR11」には「アクロニス」のロゴマークが表示され、ドライバーであるダニール・クビアト選手、カルロス・サインツJr.選手の2名が着用するレーシングスーツにもロゴマークが入っている。

 トロ・ロッソチームはクルマをモニタリングするセンサー情報をリアルタイムにガレージで収集しているが、これらの情報を即時に分析してレースに使用するとともに、イタリアのファエンツァにあるトロ・ロッソの本拠地にも送信されエンジニアなどが車体の改善や新しいレース戦略に活用しているという。今回、アクロニスは同社のハイブリッドクラウドデータ保護ソリューションを提供して、トロ・ロッソーチームのレース活動をサポートするという。

トロ・ロッソチームが求めているITの周辺技術
アクロニスのセルゲイ・ベロウソフCEO

 ベロウソフ氏は「トロ・ロッソチームが1日に生成するデータ量は3~5TB。それぞれのレースでテレメトリーのデータだけでも1TB。日々の活動でこれだけのデータ量が発生しています。何らかのアクシデントで1日分のデータを失うと、マシンのスピードが2~3秒スローダウンしてしまうことにつながりかねない。ですから、単に技術を提供するだけでなく、真のパートナーシップとしてF1チームに貢献していきたいというのが私の考えです」と狙いを述べた。

 また、今回の取り組みについて、ベロウソフ氏は「まだ取り組みが始まったばかりの段階ではありますが、今チームに提供しているのはファイル共有やストレージの技術であります。これは我々にとって学ぶことの多い現場であると感じています。F1の世界はマシンを限界まで突き詰める特性があり、我々の技術も試される現場である」と話すとともに、チーム側からの要求については「我々ももどかしいのは、今提供できているのはファイル共有やストレージ技術などの一部分。やはりチームとして一番フォーカスしているのは(システム全体として)安全で最速であること」と語った。

幅広いOSに対応するのが同社製品の特長という

 今週末の日本グランプリに向けてベロウソフ氏は「今のマシンはストレートでは強くないものの、コーナーでは強い仕上がりになっています。鈴鹿はカーブの多いコースなのでチャンスがあると思います。2名のドライバーにはトップ10に入ってもらってポイントを獲得してほしい」と期待を語った。