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三菱自動車、次期取締役社長として益子修氏が経営続投

ゴーン氏「私自身が残ってほしいとお願いした」

2016年10月20日 発表

三菱自動車工業の次期会長に内定したカルロス・ゴーン氏と次期取締役社長に内定した益子修氏が記者会見を実施

 三菱自動車工業は10月20日、次期取締役会長に内定したカルロス・ゴーン氏と同じく取締役社長に内定した益子修氏(現:取締役会長 兼 取締役社長)の記者会見を実施した。

 今回、三菱自動車は日産自動車による2370億円の出資を受け、日産が三菱自動車の発行済み株式の34%を保有する単独筆頭株主となった。これにより、三菱自動車は日産とルノーのグローバルアライアンスの一員となる。

 益子氏は、燃費不正問題の経営責任をとって新体制発足後の退任を公言していたが、ゴーン氏による強い要請により経営の続投を決断。取締役社長として引き続き三菱自動車の経営に参加することになった。

 会見に出席したゴーン氏は「益子さんは(燃費不正問題の)経営責任を取って退任したいとたいとおっしゃいました。それは困りますと、このアライアンスを成功させるための重要な条件、三菱自動車の最大の利益のために、私自身が“残ってほしい”とお願いしました」と明かした。

三菱自動車工業の次期取締役社長に内定した益子修氏

 一方、益子氏も「これまでも、燃費不正問題の経営責任をとって新体制発足後は新しい方に経営をお任せして退任したいと話してきましたが、この考えは変わらずゴーンさんにも新体制発足後に退任したいと話をしました。しかし、三菱自動車の独立経営、新体制のスムーズな船出、信頼回復のための継続的な取り組み、会社に残り経営を担ってほしいとゴーンさんから強い要請を受けました」と、今回の経緯を説明した。

 また、自身の気持ちについて、益子氏は「この6カ月を振り返ると、引き続き経営に残ることについて前向きに受け入れませんでした。しかし、4月21日にゴーンさんに支援や協力を要請して以降、一貫してゴーンさんからは三菱自動車の再建に情熱を持って接してもらったこと、新体制をスムーズに軌道に乗せることで、来年度より始まる次期中期経営計画の道筋をつけるのも経営責任のありかただと考え方を整理して、今回、ゴーン会長とともに経営にあたることを決断しました」と話した。

 益子氏は「経営責任の取り方に対する批判はあるかと思いますが、ある期間、三菱自動車の再建に向けて、もう1度気持ちを奮い立たせて取り組むことにしました」と今後の意気込みを述べた。

 今回の発表では、ゴーン氏のほかにも日産から、すでに三菱自動車の開発担当副社長に就任している山下光彦氏を含め、専務執行役員(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)の川口均氏および、常務執行役員(グローバルコントローラー:経理部門担当)の軽部博氏の3名の取締役が選出され、日産のチーフ・パフォーマンス・オフィサー(CPO)のトレバー・マン氏が、三菱自動車の最高執行責任者(COO)に就任予定となっている。

 また、両社は「共同購買コストの削減」「グローバルでの現地化の推進」「工場の共用」「共通の車両プラットフォーム」「技術の共有」「発展途上市場および新興市場における両社のプレゼンスの拡大」「豪州等の市場における三菱自動車のお客さま向けに日産の販売金融会社を活用」といった領域をはじめとするシナジーを確認。両社は、軽自動車における5年間の連携を礎に、シナジー創出のためのプログラムを開始予定としている。

 今回のパートナーシップにより、三菱自動車は2017年度に営業利益率1%、2018年度には2%、2019年度には2%以上の向上を目指すとともに、一株当たりの収益も、2017年度に12円、2018年度に20円の増加を見込む。