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【2017 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース】中嶋一貴選手がコースレコードでポールポジション

スーパーフォーミュラ開幕戦鈴鹿で1分35秒907の最速ラップを記録

2017年4月22日 予選開催

コースレコードとなる1分35秒907でポールポジションを獲得した37号車 VANTELIN KOWA TOM'S SF14/TOYOTA RI4A(中嶋一貴)

 スーパーフォーミュラおよびJSBの開幕戦が同時に行なわれる「2017 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース」が、4月22日~23日の2日間にわたって鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催されている。

 22日の土曜日にはスーパーフォーミュラの予選が行なわれ、中嶋一貴選手(37号車 VANTELIN KOWA TOM'S SF14/TOYOTA RI4A)がスーパーフォーミュラのコースレコードとなる1分35秒907でポールポジションを獲得した。

 2017年のスーパーフォーミュラは、ワンメイクタイヤの供給メーカーが横浜ゴムに切り替わって2年目となり、横浜ゴムもタイヤの構造を変更するなどしており、2016年とは異なる勢力図になることも予想されている。

 2017年にマクラーレン・ホンダのF1レギュラードライバーに昇格したストフェル・バンドーン選手に続き、2016年のGP2チャンピオンであるピエール・ガスリー選手が参戦していることも話題を呼んでいるほか、フェリックス・ローゼンクビスト選手、ヤン・マーテンボロ選手、ニック・キャシディ選手、山下健太選手と、新人ドライバーが参戦するなど世代交代の年としても注目を集めている。

予選では中嶋一貴選手が1分35秒907のコースレコード

 14時から始まった予選は、14台に絞られるQ1、8台に絞られるQ2、そして上位8台のグリッドを決めるQ3という3回に分けて行なわれた。

Q1

 20分の時間で始まったQ1では各車とも2回のアタックをする形で行なわれた。1回目のアタックが終わった後、残り6分の段階で全車コースインし、ニュータイヤを利用してのフルアタックを開始。全車コースにでるとコース上は非常に混雑し、各車ともにクリアラップを見つけるのに苦労する状況。各車がアタックする中で、2017年から新チームに移籍した小暮卓史選手(50号車 B-Max Racing team SF14/Honda HR-417E)は1コーナーでクラッシュ、これにより小暮選手は20位と最下位に沈むことになった。

 さらに、最後のアタックを行なっていた小林可夢偉選手(18号車 KCMG Elyse SF14/TOYOTA RI4A)がセクター3でポンプの故障が発生してスローダウン、そのままピットに入ってタイムを更新することができず、18番手でQ1脱落となってしまった。そのほかQ1で脱落したのは、フェリックス・ローゼンクヴィスト選手(7号車 SUNOCO TEAM LEMANS SF14/TOYOTA RI4A)、野尻智紀 選手(40号車 DOCOMO DANDELION M40S SF14/Honda HR-417E)、山下健太選手(4号車 FUJI×raffinee KONDO SF14/TOYOTA RI4A)がQ1でノックアウトとなった。

 Q1をトップで通過したのは、中嶋一貴選手(37号車 VANTELIN KOWA TOM'S SF14/TOYOTA RI4A)。この時点のコースレコードとなる1分36秒456をマークした。2位は関口雄飛選手(19号車 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14/TOYOTA RI4A)、3位はこのレースがデビュー戦となるピエール・ガスリー選手(15号車 TEAM MUGEN SF14/Honda HR-417E)。

Q2

 7分間のQ2では6台が脱落することになる。このQ2でトップタイムを出したのは、2016年のチャンピオン国本雄資選手(1号車 P.MU/CERUMO・INGING SF14/TOYOTA RI4A)。1分36秒083というこの時点でのコースレコードを叩き出し、Q2をトップで通過した。2位はチームメイトの石浦宏明選手(2号車 P.MU/CERUMO・INGING SF14/TOYOTA RI4A)、3位はQ1をトップで通過した中嶋一貴選手。

 Q2で脱落したのは中嶋大祐選手(64号車 TCS NAKAJIMA RACING SF14/Honda HR-417E)、伊沢拓也選手(41号車 DOCOMO DANDELION M40S SF14/Honda HR-417E)、ナレイン・カーティケヤン(64号車 TCS NAKAJIMA RACING SF14/Honda HR-417E)、ヤン・マーデンボロー選手(20号車 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14/TOYOTA RI4A)、大嶋和也選手(8号車 SUNOCO TEAM LEMANS SF14/TOYOTA RI4A)、ニック・キャシディ(3号車 FUJI×raffinee KONDO SF14/TOYOTA RI4A)。

Q3

 最後のQ3で一番最初にタイムを出しに行ったのは、今回がデビューレースで注目を集めている、ピエール・ガスリー選手。だが、そのガスリー選手が出したタイムが、次々と塗り替えられていく。

 その中でまず国本雄資選手が1分36秒を切る1分35秒997を叩き出す。スーパーフォーミュラのマシンが1分36秒を公式セッションで切ったのはこれが初めて。これでポールは決まりかと思った次の瞬間、後ろから来た中嶋一貴選手がそれをわずかに0.09秒上回る1秒35秒907を叩き出して、スーパーフォーミュラのコースレコードを更新してポールポジションを獲得した。2位は国本選手、3位はガスリー選手のチームメイトの山本尚貴選手(16号車 TEAM MUGEN SF14/Honda HR-417E)。以下4位が石浦宏明選手、5位は塚越広大選手(REAL SF14/Honda HR-417E)、6位 関口雄飛選手、7位 アンドレ・ロッテラー選手(VANTELIN KOWA TOM'S SF14/TOYOTA RI4A)、8位 ガスリー選手という結果になった。

37号車 VANTELIN KOWA TOM'S SF14/TOYOTA RI4A(中嶋一貴)
2位となった1号車 P.MU/CERUMO・INGING SF14/TOYOTA RI4A(国本雄資)
3位は、16号車 TEAM MUGEN SF14/Honda HR-417E(山本尚貴)
スーパーフォーミュラの予選結果(結果は暫定)
順位号車ドライバーマシンエンジンQ1Q2Q3
137中嶋一貴VANTELIN KOWA TOM'S SF14TOYOTA RI4A1'36.4651'36.3101'35.907
21国本雄資P.MU/CERUMO・INGING SF14TOYOTA RI4A1'36.8181'36.0831'35.997
316山本尚貴TEAM MUGEN SF14Honda HR-417E1'36.8061'36.3761'36.004
42石浦宏明P.MU/CERUMO・INGING SF14TOYOTA RI4A1'36.9821'36.2411'36.018
510塚越広大REAL SF14Honda HR-417E1'37.2211'36.6061'36.379
619関口雄飛ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14TOYOTA RI4A1'36.6141'36.7701'36.610
736アンドレ・ロッテラーVANTELIN KOWA TOM'S SF14TOYOTA RI4A1'36.9531'36.6441'36.626
815ピエール・ガスリーTEAM MUGEN SF14Honda HR-417E1'36.6891'36.6541'36.930
964中嶋大祐TCS NAKAJIMA RACING SF14Honda HR-417E1'37.1851'36.801
1041伊沢拓也DOCOMO DANDELION M40S SF14Honda HR-417E1'37.3351'36.815
1165ナレイン・カーティケヤンTCS NAKAJIMA RACING SF14Honda HR-417E1'36.7601'36.888
1220ヤン・マーデンボローITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14TOYOTA RI4A1'37.0411'36.955
138大嶋和也SUNOCO TEAM LEMANS SF14TOYOTA RI4A1'37.2091'36.964
143ニック・キャシディFUJI×raffinee KONDO SF14TOYOTA RI4A1'37.0951'37.139
157フェリックス・ローゼンクヴィストSUNOCO TEAM LEMANS SF14TOYOTA RI4A1'37.890
1640野尻智紀DOCOMO DANDELION M40S SF14Honda HR-417E1'37.687
174山下健太FUJI×raffinee KONDO SF14TOYOTA RI4A1'37.714
1818小林可夢偉KCMG Elyse SF14TOYOTA RI4A1'38.075
1950小暮卓史B-Max Racing team SF14Honda HR-417E1'38.306

予選終了後記者会見

 予選終了後、上位3位までに入ったドライバーによる記者会見が行なわれた。

──今日の予選の感想を。

中嶋一貴選手:ほっとした。冬のテストから調子がよくてシーズンにはよい状態で臨めると思っていた。金曜日の走りだしから調子がよかったが、それだけ予選までにまわりが合わせてきて埋もれたらというプレッシャーはあった。実際、Q2では国本選手が速くてどうかなと思いながらアタックしていた。Q3では自分としては満足できるアタックができた。

ポールポジションを獲得した中嶋一貴選手

国本雄資選手:また2番なんで悔しい。路面がどんどんよくなってくるだろうと考えていたので、そこまでセットを変えないで予選まできた。Q1からQ2で路面が上がってようやく自分たちのクルマに合ってきた、正直大きなミスもなくQ3は走れたが、Q2からQ3への上がり幅が自分たちは大きくなかった。

予選2位の国本雄資選手

山本尚貴選手:週末通してトヨタ勢が速かった。Q3までの流れを見ると、うまく合わせ込めたとは思っている。Q3ではセクター1とセクター2で結構大きいミスをした。リスクを背負って攻めてはいたので仕方がない。それでも3位という現実を受け止めて、明日は優勝を狙いたい。今回はずっとガスリー選手に注目が集まっていて、久々に写真を撮られる場所に戻って来れた(笑)。ガスリー選手の加入でチームの士気も上がっている。

 カテゴリーは違うがSUPER GTの岡山戦の出来事で、ホンダはいろいろ言われている状況の中で、ここまで頑張ってくれたことに感謝したい。明日はチェッカーを受けるまでしっかり走って行きたい。

ホンダエンジン搭載車で最上位となった山本尚貴選手

──国本選手に。朝の練習走行などでは石浦選手との差が大きいように見えたが……。

国本選手:最後のアタックのときで、セクター1で黄旗が出ていてそこで大きく減速したので差がでただけで、実際にはそこまでの大きな差はなかった。セットアップに関しては予選中はいじってない。3月のテストで調子がよかったのでそこがピークだと考えており、それに路面が合うようになるのを待っていた。

──山本選手に。セクター1とセクター2でミスしたということだが、もう少し具体的に?

山本選手:逆バンクとデグナーの2つめで大きく行ってしまった。その分ミスでトップと差がついてしまったのではないかと……。

──山本選手に。今年のスペックのタイヤの評価は?苦しんでいる人も多いけど。

山本選手:中嶋選手が速かったので、我々のバランスがいいとは言えない。今回は走り出しはよくなかったけど、Q3ではビックリするぐらいクルマはよくなっており、方向性は正しいと確認出できた。

──中嶋選手に。SUPER GT開幕戦を除いて調子がいいのは?

中嶋選手:SUPER GTも調子がわるかった訳ではない(笑)。WECにしろ、今回にしろクルマがよく、環境もよい。満足していると伸びしろがなくなるので、ここで安心していてはだめだけど、ドライバーとしては乗ってる時間が長いほど調子がよいと言い続けて来たので、そのとおりになって嬉しい。

──山本選手に。2台体制になって、変わった部分は?

山本選手:2台体制になったメリットとしては比較する対象ができたこと。かつ、その対象がレベルが高い。お互いに負けたくない、その相乗効果がうまくやっている。昨年調子を落としてて、今年よくなっているようにみえるけど、例年鈴鹿は速いので……。今シーズンまた1年通して早く走れるように、岡山に行ったときに上位で走りたい。

──今回1分35秒907というコースレコードがでたが、それに思うところは?

中嶋選手:ポールポジションを獲ればコースレコードがでると思っていた。シャシーは変わっていないが、エンジンやタイヤが進化している。特にタイヤの進化が大きく、横浜ゴムさんには感謝したい。運転していても、楽しくて速く、スーパーフォーミュラという名前に恥じないクルマになっていると思う。

──昨年は3周目に最速ラップを出すこともあったが、今年はみんな2周目にタイムを出しているが、2周連続のアタックは難しいか?

中嶋選手:ピークははっきりしており、特に何の疑問もなく2周目に出していた。2アタックではピークは落ちるので、意味はないと思う。

国本選手:中嶋選手と同じで2周でピークが高い。どこかのタイミングで連続で行くと、コンマ4秒ほど落ちていたと記憶している。

山本選手:実際には去年のタイヤも3周目には行けなかったので大きな違いはない。

中嶋選手:去年はむしろ2周目にでなくて3周目にでいたという印象だった。

──決勝へどのような作戦で臨むか?

中嶋選手:よいスタートを決めて逃げ切るだけ。レースは勝ってナンボなので、明日はしっかり勝ちたい。

国本選手:スタートが重要になるし、スタートしかチャンスがないと思うので、スタートを決めたい。明日のフリー走行などのタイムを参考にしながらピット作戦などを決めていきたい。セルモインギングはピット作業が速いので、スタートで抜けなくてもピット作戦で前に出たい。

山本選手:2人と一緒でスタートを決めたい。前にスタートが上手な選手がいるので簡単ではないが、冬の間もスタートに関してはさんざん練習してきたので、明日は確実にスタートを決めたい。


 2017 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース スーパーフォーミュラ開幕戦の決勝は、4月23日13時40分にスタートする。