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【SUPER GT 第2戦富士】横浜ゴム、「モータースポーツ推進室」新設記者会見。F1参戦は「我々の技術開発の中でも頭の中にないわけではない」と

レースで得られた知見を市販タイヤに

2017年5月3日 開催

富士スピードウェイにおいて記者会見を行なう横浜ゴム株式会社 代表取締役社長 山石昌孝氏

 横浜ゴムは5月3日、SUPER GT第2戦富士を開催中の富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)において、4月27日に開設した「モータースポーツ推進室」に関する記者会見を行なった。

 このモータースポーツ推進室は、競技用タイヤ開発・供給するために2013年4月1日に発足した「ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル株式会社」を2017年6月30日をもって解散するのに伴って新設される組織。以後は横浜ゴムでモータースポーツ活動を統括していく。

GT500クラスでは、新たに16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/中嶋大祐組)にもタイヤ供給を開始
GT300クラスは、2016年にチャンピオンを獲得。2017年は第1戦でグッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組)が優勝し、第2戦富士でもポールポジションを獲得

 記者会見には、横浜ゴム 代表取締役社長 山石昌孝氏、取締役常務執行役員 野呂政樹氏(タイヤ技術統括兼タイヤ消費財開発本部長兼研究本部担当)、現ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル 代表取締役 阿部義朗氏が出席し、会社組織の解散と推進室の新設について説明を行なった。

 横浜ゴム 山石社長は、横浜ゴムのモータースポーツ活動が2017年に60周年を迎えることにふれ、2017年に創業100周年を迎えるなか、その多くの期間モータースポーツ活動を行なってきたことを紹介。国内においてはADVAN(アドバン)カラーでのさまざまな活動、海外においてはル・マンやWTCC(世界ツーリングカー選手権)、マカオグランプリへの参戦などを行なってきた。

 これらをさらに強化していくために、ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナルという会社組織を横浜ゴムというメーカー内に取り込み、モータースポーツ推進室という組織を発足させるという。

 具体的なきっかけについては、ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル 阿部氏が説明。組織変更により、モータースポーツ活動で得られた知見を生産工程に持ち込めるという。また、その知見については「スーパーフォーミュラ参戦によって技術的な革新を得られた」といい、昨年、2016年から開始したスーパーフォーミュラへのワンメイクタイヤ供給で技術的な進歩があったという。

F1参戦について「我々の技術開発の中でも頭の中にないわけではない」と語るヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル株式会社 阿部義朗氏

 そのうえで、フォーミュラのトップカテゴリーであるF1参戦についても「我々の技術開発の中でも頭の中にないわけではない」と発言。参戦カテゴリーのターゲットの1つであるとした。

 阿部氏が強調していたのは、モータースポーツ活動で得られた知見を生産工程に持ち込みたいということ。この点について、市販タイヤなど横浜ゴムのタイヤ技術を統括する野呂氏は「市販タイヤに反映する、作り方などを反映する」という。2016年の横浜ゴム、ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナルの活動は、SUPER GTのGT500クラスで3勝、GT300クラスはチャンピオン、そして国内トップフォーミュラであるスーパーフォーミュラではワンメイク供給と際立った成果を挙げている。

横浜ゴムの技術面を統括する、横浜ゴム株式会社 取締役常務執行役員 野呂政樹氏

 そこには何らかのブレイクスルーがあったことを阿部氏は「技術的な革新」と表現し、野呂氏はその革新を市販タイヤに持ち込むことを示唆している。また、規模の大きなメーカーとして活動することで、より大きな動きができるとしており、先日モビリティランドから発表のあった「鈴鹿10時間耐久レース」へのワンメイクタイヤ供給についても日程の調整やビジネス面での調整はあるとしながら、ターゲットの1つだという。