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【ル・マン24時間 2017】トヨタ勢がトラブルで姿を消すなか、ノートラブルの1号車ポルシェがリード拡大、2位以下を12周以上引き離す

2017年6月17日~18日(現地時間) 決勝開催

トップ独走態勢に入った1号車 ポルシェ 919 Hybrid(ニール・ジャニ/アンドレ・ロッテラー/ニック・タンディ組)

 フランスのル・マン市にあるサルト・サーキットで行なわれている、世界三大レースの1つとなるル・マン24時間レース。6月17日 15時(現地時間、日本時間6月17日 22時)にスタートが切られたレースは、6月18日 9時(現地時間、日本時間6月18日16時)を迎えて、快晴の青空が広がるサルト・サーキットで過酷な戦いが続いている。

 現在レースをリードしているのは、1号車 ポルシェ 919 Hybrid(ニール・ジャニ/アンドレ・ロッテラー/ニック・タンディ組)で、2位以下に11周差という大差をつけて独走状態になっている。そうしたワンサイドゲームになってしまったのは、夜になってから次々とトヨタ勢に襲いかかったトラブルの嵐だ。8号車 トヨタ TS050 HYBRID(セバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビッドソン/中嶋一貴組)がまずフロント、リアそれぞれに用意されているハイブリッドのモーターのうちフロントが故障して交換に2時間近くをピットで消費し27周遅れとなってしまった。

 その後、日付が変わる頃に、それまでトップを走っていた7号車 トヨタ TS050 HYBRID(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ステファン・サラザン組)が突如スローダウン、EVモードでピットを目指すもののたどり着けず、コース上でストップリタイアになってしまった。これで1台だけ残ったことになった9号車 トヨタTS050 HYBRID(ニコラス・ラピエール/ホセ・マリア・ロペス/国本雄資組)も追い上げを開始するが、1コーナーと他車と接触し、リアを破損するトラブルが発生し、こちらもピットを目指すものの、ピットにたどり着けずリタイアとなってしまった。

夜の闇とともにトヨタに襲いかかったトラブル、7/8号車は信頼性の問題が。9号車は他車とのクラッシュ

約2時間の修復作業を行なった8号車 トヨタ TS050 HYBRID(セバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビッドソン/中嶋一貴組)。これでトップ争いから脱落した

 その悪夢は突然やってきた、それまで快調に1-2フォーメーションを形成してきた7号車 トヨタ TS050 HYBRID(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ステファン・サラザン組)、8号車 トヨタ TS050 HYBRID(セバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビッドソン/中嶋一貴組)のうち、8号車が23時ごろに右フロントから火を出しながら緊急ピットイン、そのままガレージに入れられ、フロントの窓も外されるなど異例の大作業が始まった。同チームのチームマネージャであるロブ・レウペン氏によれば「フロントのモーターが故障して交換する必要がある」とのことで、フロントのハイブリッド周りのユニットを全取っ替えとなってしまっため、実に2時間近く停止することになり、8号車 トヨタ TS050 HYBRIDはほぼ30周近く遅れることになってしまったのだ。

 トヨタの悲劇はその後も続き、日付が変わった6月18日午前0時過ぎ、セーフティカーによるフルコースコーションが解除になり、各車とも加速していくなか、小林可夢偉選手のドライブする7号車 トヨタ TS050 HYBRID(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ステファン・サラザン組)はトップを走っていたのに他車にどんどん追い抜かれる、つまり加速ができない状態に陥っていた。原因はクラッチの故障で、これにより可夢偉選手はパワーユニットをEVモード(エンジンを使わずバッテリーとモーターだけで走らせるモード)に切り換えてピットを目指す。回生をしながら何度か動いたり、停まったりを繰り返しながらピットを目指すものの、結局コース上にストップし、万策尽きた可夢偉選手は、感電を防ぐために文字どおりクルマから飛び降りてリタイアとなってしまった。

ピットインを行なう7号車 トヨタ TS050 HYBRID(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ステファン・サラザン組)。このピットインが最後のピットインとなった

 これでトヨタの期待は、2位に繰り上がった9号車 トヨタTS050 HYBRID(ニコラス・ラピエール/ホセ・マリア・ロペス/国本雄資組)に集まることになった。チームから追い上げを開始しろという指示を受けたニコラス・ラピエール選手がトップになった1号車 ポルシェ 919 Hybrid(ニール・ジャニ/アンドレ・ロッテラー/ニック・タンディ組)を追い上げるべく飛ばし始めるが、1コーナーで他車と接触し、リアを大破してしまう。それでもピットに戻るべく、こちらもEVモードを使うものの、リアタイヤが完全にホイールだけになってしまうなどの痛々しい状態で、結局ピットにたどり着くことができるリタイヤとなってしまった。

相次ぐトラブルで心配そうにモニターを見るTOYOTA GAZOO Racing首脳陣
公式映像のインタビューに答えるチームマネージャ ロブ・レウペン氏
9号車 トヨタTS050 HYBRID(ニコラス・ラピエール/ホセ・マリア・ロペス/国本雄資組)は、結局ピットに帰ってくることができずリタイヤとなった

ノーミスの1号車 ポルシェ 919 Hybridがトップを快走、総合2位/3位はLMP2クラス

夜明けを迎えたサルト・サーキット

 ポルシェ陣営も2号車 ポルシェ 919 Hybrid(ティモ・ベルンハルト/アール・バンバー/ブレンダン・ハートレー組)がアクセルのトラブルを起こし、長時間ピットで過ごすことになり、トップから20周近い遅れとなってしまったが、1号車 ポルシェ 919 Hybridは快調そのもので、ノートラブルのため2位に12周以上を引き離す独走状態になっている。すでにクルージングに入っており、飛ばす必要もないので、今後トラブルさえ起きなければ優勝は確実な情勢だ。

 トヨタ3台、ポルシェの1台のLMP1がリタイヤないしは大幅な周回遅れになってしまったことを受けて総合2位に上がったのは、LMP2のトップとなるジャッキー・チェン・DC・レーシングの38号車 オレカ07・ギブソン(ホー・ピン・タン/トーマス・ルーレント/オリバー・ジャービス組)で1号車から12周遅れ。

 3位も同じくLMP2の13号車レベリオンチームのオレカ07・ギブソン(ネルソン・ピケJr/デビッド・ハイネンマイヤー・ハンソン/マティアス・ビッケ組)となっており、それを2号車 ポルシェ、8号車 トヨタが追い上げている状況。ただし、2号車ポルシェでも、38号車 オレカ07・ギブソンまで6周遅れで、ゴールまでに取り返せるかどうかは微妙な状況だ。

 なお、GTE-Proは91号車 ポルシェ 911 RSR(リチャード・リエツ/フレデリック・マコビッキー/パトリック・ピレー組)で、GTE-Proは上位5台が同一周回と依然として大混戦だ。GTE-Amは84号車 フェラーリ488GTE(ロバート・スミス/ウィル・スティーブンス/ドライス・ヴァンソール組)が依然としてトップを走行中だ。