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トヨタ、2018年3月期 第1四半期決算は売上高7兆476億600万円、当期純利益6130億5600万円で増収・増益
投資やM&Aを「攻め」の取り組みとして推進
2017年8月4日 23:05
- 2017年8月4日 開催
トヨタ自動車は8月4日、2018年3月期 第1四半期の決算内容に関する決算説明会を東京本社で開催した。
2018年3月期 第1四半期(2017年4月1日~6月30日)の売上高は7兆476億600万円(前年同期比7.0%増)、営業利益5742億9400万円(同10.6%減)、当期純利益は6130億5600万円(同11.0%増)で増収・増益となった。
連結販売台数は、日本国内では3万3000台増の54万4000台、海外市場全体では1万台増の167万1000台で、全体では4万3000台増の221万5000台となっている。
営業利益の増減要因としては「原価改善」が500億円の増益要因になっているが、「為替変動の影響」で外貨建引当の期末換算差ほかが750億円の減益要因になり、このほかにも「販売面の影響」が300億円、「諸経費の増加ほか」450億円、「その他」が79億円のそれぞれ減益要因となって、全体で679億円の営業利益押し下げになったほか、今期は為替やスワップなどの影響を除いた場合でも250億円の減益となっている。
所在地別の内容では、日本国内は「ルーミー/タンク」「C-HR」といった新型車の販売が好調に推移。販売台数は前年同期から3万3000台増の54万4000台となり、営業利益は同297億円増の3199億円になった。
北米では販売台数では8000台増の72万3000台となったが、インセンティブなどの販売諸費用が増加したことで営業利益は前年同期から765億円減の888億円に止まった。この説明内で決算内容の解説を担当したトヨタ自動車 常務役員の大竹哲也氏は、TNGA(Toyota New Global Architecture)でプラットフォームやパワートレーンを一新した新型「カムリ」をこの夏から北米市場に導入する新車効果を踏まえ、「販売諸費用を適切にコントロールしていく」と述べている。
欧州では新発売した「C-HR」の販売が引き続き好調で、前年同期から1万8000台増の24万台を販売。この台数増に加えて原価改善の努力で、営業利益は前年同期119億円増の205億円と倍増以上に伸ばしている。その半面、アジアでは販売台数が2万1000台減の36万3000台となり、為替変動などの影響も受けて営業利益は217億円減の1028億円となった。
その他地域では中南米やオセアニアで販売が増え、5000台増の34万5000台を販売。こちらでは為替変動が利益の押し上げに働き、台数増と合わせて営業利益は395億円(前年同期比113億円増)となっている。
通期見通しでは、連結販売台数の890万台は期首見通しを維持。日本や欧州での増加を見込む一方で、北米とアジアでは減少することを想定する。連結決算では通期の為替レートを米ドル110円、ユーロ124円に設定。売上高は28兆5000億円(期首見通しから1兆円増)、営業利益1兆8000億円(同2500億円増)、当期純利益は1兆7500億円(同2500億円増)をそれぞれ見込んでいる。期首見通しからの上方修正は、前提為替レートを円安方向に見直したこと、原価改善や営業面での努力などが影響している。
このほかに大竹氏は、競争力の徹底強化に向けた取り組みとして、明日を生き抜く力となる「攻め」の取り組み、今日を生き抜く力となる「守り」の取り組み、さらに従来からのやり方にとらわれない「働き方改革」を推進。今期の収益改善をさらに上積みしていくほか、中長期的な競争力強化に努めていくとの考えを示して説明をまとめた。
「自動運転」「AI」「次世代環境車」の研究開発費を25%程度まで引き上げ
説明会後半の質疑応答では、大竹氏に加えてトヨタ自動車 専務役員の村上晃彦氏が登壇。
このなかで大竹氏は、営業利益の増減要因を改めて説明。為替の影響などで分かりにくい点があったと解説したほか、「私どもの活動がダイレクトに反映される部分(販売面の影響や諸経費の増加など)についても250億円の減益要因で、ここについては非常に残念な決算だった」と直近の3カ月について語った。
また、5月に行なわれた2017年3月期の通期決算説明会の席で、トヨタ自動車の代表取締役社長である豊田章男氏の口から2018年3月期にも減収の見通しで、豊田氏はこれを「連敗」と表現。挽回の期して取り組むと語られたことを受け、2018年3月期が始まった3カ月間で見えてきた方策などがあるかという質問が出された。これに対して大竹氏は、為替の設定を円安側に設定し、原価改善や営業努力を進めていくほか、リース車両の再販コスト低減といった金融サービス事業で確かな収益改善の手応えを得ているとコメント。
さらに競争力強化に向けた取り組みとして紹介した3点について触れ、「明日を生き抜くための『攻め』、今日を生き抜くための『守り』、そして『働き方改革』の3本柱をしっかりと推進して、2700億円の減益要因の挽回を図っていきたい」と語り、さらに同日発表した「Preferred Networksに対する追加出資」など、投資やM&Aを「攻め」の取り組みとして推進すると解説。
また、重点分野として位置付ける「自動運転」「AI」「次世代環境車」の研究開発では、これまで開発予算全体で20%程度としていた比率を今期は25%程度まで引き上げ、中長期的な競争力強化の取り組みとして積極的に投資していくとの考えを示した。
大竹氏の質疑で出た「攻め」「守り」「働き方改革」の3本柱については村上氏からも補足が行なわれ、村上氏は「『攻め』と『守り』と表現されていることについて、私は今後の競争に打ち勝っていくため、『守り』という点では既存の組織や人というところで、成長し、リボーンしていかなければ競争に打ち勝てない。一方で『攻め』では、外部の“新しい血”や“新しい力”を積極的に活用していくということが『攻め』になると解釈しています。そして、『攻め』と『守り』が常に緊張感を持って成長に向けて競い合っていく。そんな状態を作り出していくということが、社長の豊田が目指しているところだと我々は理解しています」。
「そんな『攻め』の“新しい血”を外部から入れる手法にはさまざまなものがあって、その1つにM&Aというものもある。我々はそういったやり方も排除せずにこれから取り組んでいきたい」と村上氏は語った。