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トヨタ、2020年搭載を目指す自動運転技術「ハイウェイ チームメイト」にNVIDIAの自動運転車用プロセッサ「Xavier」採用へ

TRI-AD CTO 鯉渕健氏、「現在考えられる最高性能の車載コンピュータ」

2019年1月30日 発表

TRI-ADの開発によってトヨタが実現を目指す自動運転技術「Highway Teammate(ハイウェイ チームメイト)」

 トヨタ自動車の自動運転関連技術開発会社として設立されたトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(Toyota Research Institute-Advanced Development, Inc、以下TRI-AD)は1月30日、自動運転ワークショップを開催。CEO(最高経営責任者)のジェームス・カフナー氏、CTO(最高技術責任者)の鯉渕健氏らが、現在のトヨタおよびTRI-ADの取り組みについてプレセンテーションを行なった。

 その模様はテクニカルジャーナリスト 笠原一輝氏の記事(トヨタの自動運転ソフトウェア開発を担う「TRI-AD」がワークショップ。「ソフトウェアの90%をクラウド化してバグフリーを実現」)で詳細に報じられているが、プレゼン後、鯉渕氏に2020年搭載を目指す自動運転技術「Highway Teammate(ハイウェイ チームメイト)」について確認した。

 トヨタは2015年10月に同社がこれまで取り組んできた自動運転の考え方を「Mobility Teammate Concept」と命名し、その具現化となる自動運転技術「ハイウェイ チームメイト」搭載実験車を公開。自動車専用道路での合流、車線維持、レーンチェンジ、分流を自動運転するクルマの2020年実用化を目指してきた。

Highway Teammate

 鯉渕氏は2014年からトヨタで自動運転技術、先進安全技術の開発を担当。自動運転技術「ハイウェイ チームメイト」搭載実験車も開発し、現在はトヨタが米国でAI(人工知能)などの最先端技術を開発する子会社として設立したToyota Research Institute(TRI)の研究成果を、生産車に落とし込む技術を開発する会社として設立されたTRI-ADのCTOとして実現化に取り組んでいる。

トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント株式会社 CTO 鯉渕健氏

 その鯉渕氏がCEOのカフナー氏とともに行なったプレゼンテーションで、ハイウェイ チームメイト技術の詳細を説明。「最もパワフルなスーパーコンピュータ」を搭載し、最先端の360度マルチモーダルセンサーを装備。さらにOTA(Over The Air)でソフトウェアのアップデートが可能になっており、新規の機能追加を行なっていく要素を持つという。これらにより実現する自動運転は、ETC to ETCの高速道路自動運転。料金所から高速道路本線合流、高速道路本線走行、JCT(ジャンクション)分岐、そしてIC(インターチェンジ)への分流から料金所を出るまでとなる。

 自動運転車の開発体制として、協力会社の筆頭にデンソーとアイシン、さらにNVIDIA、Preferred Networks、ルネサス エレクトロニクスが挙げられていた。

自動運転技術「ハイウェイ チームメイト」の動作。ETC to ETCというODD(Operational Design Domain、運行設計領域)を定めていくものと思われる
自動運転技術の開発体制。2019年4月の「J-QuAD DYNAMICS(ジェイクワッド ダイナミクス)」の始動で、すべてのピースがそろう

 2020年実用化となると、ある程度のハードウェア仕様は見えているはずと思い「最もパワフルなスーパーコンピュータ」について確認。最もパワフルなスーパーコンピュータとは、「すでに提携を発表しているNVIDIAの自動運転車用プロセッサ『Xavier(エグゼビア)』か?」との質問については、「ルネサス エレクトロニクスとも自動運転で協業している」とした上で、「Xavier」を搭載しているとのこと。鯉渕氏はXavierを「現在考えられる最高性能の車載コンピュータ」と評価しており、ハイウェイ チームメイトの処理についてはXavier 1チップで可能だと見ている。自動運転のディープラーニングに使うライブラリについては、Preferred Networksの「Chainer(チェイナー)」などを使用しているものの、車載にどう落とし込んでいくかはこれからだという。

 ハイウェイ チームメイトには、ルネサスが開発したADAS用チップセット「R-Car H3」と、車載制御用マイコン「RH850」も採用されることが発表(トヨタの自動運転車にADAS用「R-Car H3」、車載制御用マイコン「RH850」を提供するルネサスのソリューション)されており、これらの新たな半導体をトヨタがどのように使いこなしていくのかが興味深い。

 また、トヨタは完全自動運転のレベル4/5自動運転を目指す「e-Palette(イーパレット)」の開発も行なっているが、こちらについて鯉渕氏はXavier 1チップでは難しいとみており、Xavierを複数搭載するような「DRIVE Pegasus(ドライブ ペガサス)」のソリューションを考えているという。

 NVIDIAが発表している処理能力では、Xavierが30TOPS、Xavierを複数搭載するなどしたDRIVE Pegasusが320TOPSとなっており(NVIDIA、自動運転用の新AIコンピュータ「Orin」を予告)、完全自動運転をするには高い処理能力が必要であることがうかがえる。

 2020年の実用化まで最長で2年ほど。TRI-ADの設立によってトヨタの自動運転車開発体制が明確になってきた。2019年4月には、アイシン、アドヴィックス、ジェイテクト、デンソーの合弁会社「J-QuAD DYNAMICS(ジェイクワッド ダイナミクス)」も始動し、ECUまわりに関しては具体的な生産要件の詰めに入っていくだろう。