ボルボ、世界初導入となる「歩行者用エアバッグ」
来春発売予定の新型「V40」に搭載

歩行者用エアバッグが展開した様子

2012年5月23日(現地時間)発表



 ボルボ・カー・コーポレーションは5月23日(現地時間)、ベルギーで5月から生産開始予定の新型プレミアム ハッチバック「V40」に搭載する、世界初の「歩行者用エアバッグ」の仕組みについて公開した。新型V40は、日本では来春に発売される予定。

 同社によると、交通事故死亡者数全体のうち、歩行者事故の割合はヨーロッパで14%、アメリカで12%、中国で25%を占めており、負傷者を含めるとその数はさらに増える。クルマと歩行者の事故でもっとも深刻となる頭部外傷は、エンジン、フロントガラスの下縁部、Aピラーへの衝突などによって引き起こされているとしており、今回発表された歩行者用エアバッグはこれらを考慮して開発を進めたと言う。

 具体的には車体正面に埋め込まれた7つのセンサーが、コントロールユニットに信号を送信し、車体が何らかの物体と接触するとこの信号が変化する。その信号変化を評価するコントロールユニットが、感知した物体を人間の脚として認知すると、歩行者用エアバッグが展開するという仕組みになっている。

 ボンネットのヒンジ部には、システム起動時にピンを引き出しボンネットパネルの背面を開放する機能が備えられている。その起動と同時にエアバッグが作動し、ガスの充填を開始。さらにエアバッグが膨張する際にはボンネットを10cm持ち上げ、その位置を保持する。ボンネットとエンジンコンパートメント内の硬い部品の間に隙間を作ることで、衝撃を吸収するスペースを与え、歩行者と衝突した際に衝撃を和らげる効果を生み出していると言う。

 システムは20~50km/hの範囲で作動する。エアバッグは膨らんだ状態で、ワイパー全体の収納部、フロントガラスの約3分の1、Aピラーの下部をカバーする。システムが起動してから完全にエアバッグ膨らむまで、200~300分の1秒で作動するとしている。

(編集部:小林 隆)
2012年 5月 23日