奥川浩彦の「WTCCフォトコンテスト」攻略ガイド【後編】
WTCCのオススメ撮影ポイント解説


昨年のWTCCフォトコン大賞を受賞された森康彦氏の作品。おそらくD席から撮られたもの。Canon EOS 30D / 400mm / 1/30秒 / F9

 鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)に今年もWTCC(世界ツーリングカー選手権)がやってくる。日程は10月20日~21日の2日間。それに合わせ、今年もCar Watch、デジカメWatchが主催のWTCCフォトコンテストが開催される。ということで、昨年に引き続きWTCCフォトコンテストの攻略ガイドをお届けしたい。

 前編では撮影方法などを解説したので、後編ではWTCC開催当日のスケジュールや、実際にレースが行われる鈴鹿サーキット東コースの撮影ポイントについて解説していく。

決勝レースが2回のWTCCスケジュール
 まずはスケジュールから見てみよう。土曜日は30分のフリープラクティス2回。35分の予選が1回行われる。日曜日は15分のウォームアップ走行が1回、約25分の決勝レースが2回行われる。

10月20日 土曜日カテゴリーセッション
09:30 - 10:00WTCCフリープラクティス1
12:00 - 12:30WTCCフリープラクティス2
13:00 - 13:30スーパー耐久予選A
13:50 - 14:20スーパー耐久予選B
14:40 - 15:00スーパー耐久予選C
15:30 - 16:05WTCC予選

10月21日 日曜日カテゴリーセッション
08:00 - 08:30スーパー耐久ウォームアップ走行
08:50 - 09:05WTCCウォームアップ走行
09:45 -スーパー耐久決勝1
12:35 -スーパー耐久決勝2
14:35 -WTCC決勝1
15:20 -WTCC決勝2

 セッション自体は長くても30分程度なので、セッション中に大きな移動は難しい。セッションとセッションの間はそこそこ時間があるので、東コースの何処でも移動は可能だ。同時開催で行われるスーパー耐久も魅力的なマシンが走るので、練習を兼ねて撮影すれば終日撮りまくることができそうだ。

WTCCのオススメ撮影ポイント
 次は鈴鹿サーキット東コースの撮影ポイントを確認してみよう。F1やSUPER GTなど、鈴鹿サーキットで行われる多くのレースはフルコースでを使用しているが、WTCCは昨年と同様東コースで開催される。東コースとはメインストレート、1、2コーナー、S字、逆バンク、ダンロップまで行ったところでショートカットして最終コーナーからストレートへ戻るコースだ。コースが短くなる分、周回数が増えるので必然的にシャッターチャンスが増える。

 観戦エリアを見てみよう。今年はV2、V1、A、B席がエリア指定席となり、1000円でこれらのエリアに入ることができる。それ以外は自由席だ。F1日本グランプリの指定席名で言うとC、D、E、Q1、Q2、R、S席は自由に観戦、撮影を行うことができる。

WTCC観戦エリアマップ

 コース外側の観戦エリアは以上だが、今回もコース内側に激感エリアが設置される。激感エリアは4カ所で1コーナー手前イン側、2コーナーイン側、S字コーナーイン側、東コースショートカットイン側となっている。激感エリアに入るにはパドックパス(1万円)が必要となる。激感エリアだけでなく、ピット裏のパドックやピットウォーク中のピットレーンにも入ることができるのでオススメだ。

 さて、各スタンドを撮影視点で見てみよう。撮影ポイントとしてオススメするのはB、C、D、Q1席だ。撮影はできるが筆者の腕と機材とアイデアの範疇でオススメしないのはE、Q2、R、S席。V2、V1、A席は観戦にはオススメできるが撮影には不向きと思っている。

 4つの激感エリアで撮影に最適なのは、2コーナーのイン側。1コーナー手前イン側は微妙、S字コーナーイン側は金網を避けることができない。東コースショートカットイン側は昨年と同様であれば撮影には不向きなので観戦エリアとして認識した方がよいだろう。

 昨年の記事では全席を解説したが、今年はオススメのB、C、D、Q1席と、2コーナーのイン側の激感エリアについて解説してみたい。併せて昨年のフォトコンテンスの入選作品の撮影ポイントも見てみよう。

B席
 1000円のエリア指定席となったB席は1階席、2階席に分かれている。2階席は1コーナー側がやや低めの中2階という構造だ。F1開催時は1階はB1席、2階、中2階はB2席として販売されている。B1席は金網越しにコースを見るので撮影には不向き。B2席は金網の影響を受けにくい撮影ポイントとなる。

B席1階は金網があり撮影には不向き

 1コーナー側の中2階の席は、個人的には鈴鹿の最高の観戦席だと思っている。スタートから1コーナーの進入をバッチリ見ることができる。撮影ポイントとしてもまずまずで、ストレートエンドから1コーナーでアクシデントが発生すれば、最高の撮影ポイントとなるだろう。古い写真しか手元にないが、中2階から撮った画像をトリミングなしで掲載するので、レンズ選択の参考にしていただきたい。

中2階の中央、中段からパノラマ撮影。撮影にはもう少し上段の方が望ましい
中2階の1コーナー側からストレート方向を見る中2階から1コーナーを200mm(320mm相当)で撮るとこんな感じ
流し撮りも可能。200mm(320mm相当)のレンズを使用中2階からの解説図。赤矢印は正面からの撮影、青矢印は流し撮り
B席の2階から1コーナーを撮影。標準ズームの85mm(136mm相当)でこんな感じに撮れる

 B席2階は普段は撮影ポイントとしてはそこそこだが、アクシデントが発生しやすいWTCCの撮影の場合は重要なポイントとなる。実際に昨年も多くの作品が応募され入選作品にも選ばれている。

B席2階中央、中段からパノラマ撮影。もう少し右側に移動すると電柱を避けることができる

 昨年は決勝1回目の1~2コーナーで多重クラッシュが発生した。決勝2回目はアクシデントはなかったので、必ずクラッシュシーンが撮れるわけではないが、一般的にスタート直後の1~2コーナーはアクシデントが起こる率は高い。

 B席で穴場的な撮影ポイントとして、1階席から中2階へ向かう通路に、1カ所だけ金網の切れ間から撮影できるポイントがある。雨の日は2階席の下となるため、濡れずに撮影できる貴重なポイントでもある。撮影できるのは1コーナーに限られるので、昨年の様に1コーナーから2コーナーにかけてアクシデントが起きた場合は、レンズを2コーナー側に向けても金網に遮られることとなる。場所が通路なので、F1など混雑するレースでは、おそらく警備員の方から席に移動するように言われると思うが、空いているレースであれば撮影できる可能性はある。あくまで通路なので状況を見て判断していただきたい。

コースマーシャルがいる部分だけ金網が切れている300mm(480mm相当)で撮るとこんな感じB席1階通路の金網の切れ目からの解説図

 B席で撮ったと思われる昨年のフォトコンテストの入選作品を見てみよう。各作品は筆者の経験でこの場所で撮ったと予想しているが、いくつかの作品は違う場所で撮られた可能性もあるのでご了承いただきたい。

バトルロイヤル賞を受賞された岡前繁希氏の作品。2階席から広角レンズで撮影 NIKON D7000 / 17mm / 1/400秒 / F14準フォトコン賞を受賞された岩崎洋介氏の作品。同じく2階席から撮影。レンズは300mm NIKON D7000 / 300mm / 1/125秒 / F22
準フォトコン賞を受賞された神吉洋佑氏の作品。この角度で撮ったことがないので中2階か2階席かは不明。Canon EOS 50D / 289mm / 1/100秒 / F16Car Watchセレクションを受賞されたHiro79氏の作品。2階席のややC席よりで撮ったと思われる。Canon EOS-1D Mark III/200mm/1/400秒/F10

C席
 C席は、2コーナーからS字の入り口まで左右に長いスタンドで、撮影ポイントも豊富だ。B席側は2重金網となっているが、コースマーシャルのポストのところに金網の切れ間がある。望遠レンズを持った人が集まる定番の撮影ポイントだ。300mm(480mm相当)のレンズでは少々足りない感じだが、トリミングをすれば使えないことはない。コンバーターを付ければそこそこアップで撮ることができる。ここからは2コーナーのクリッピングポイントが正面に見える位置となる。

C席右側(B席側)からパノラマ撮影。このあたりは高い金網がある
金網の切れ間から2コーナーが正面に見える300mm(480mm相当)のレンズではこれくらいになる
1.4倍のエクステンダーを付け420mm(768mm相当)にするとこれくらいだこんな位置関係となる

 S字方面に移動すると、2重の金網から解放される。このあたりからC席S字側までは広い範囲で流し撮りができる。レンズは下段の方は200mm(320mm相当)くらいが丁度よいだろう。S字側まで移動するとS字に切り込むマシンをコーナーイン側の位置から撮ることができる。

 昨年はS字進入の左ターンのところにヨコハマタイヤの広告が設置された。今年の広告の位置はサーキットに行ってみないと分からないが、同じ位置なら横浜ゴム賞を狙う絶好のポイントとなる。

C席中央の景色。2重金網から左側に撮影ポイントが広がっている
C席左側(D席側)の景色。S字の入り口が目の前となる
S字進入手前を200mmで撮影。今年のF1日本グランプリにてトリミングしてフォトギャラリーに掲載した写真同じ位置からS字を撮影。シャッター速度は1/125秒
トリミングしてフォトギャラリーに掲載した写真C席左側から流し撮りをした解説図

 このC席で撮影された入賞作品を見てみよう。

ドラゴンゲート賞を受賞された伊東義宏氏の作品。多重クラッシュをC席上段から撮影している、Canon EOS-1D Mark IV / 235mm / 1/500秒 / F7横浜ゴム賞を受賞された近藤卓志氏の作品。S字進入の左ターンをヨコハマタイヤの広告を背景に撮っている。Canon EOS-1D Mark IV / 500mm / 1/30秒 / F11準フォトコン賞を受賞された水川賢一郎氏の作品。C席右側のポスト付近、低めのアングルなので手前の金網越しにポスト横から狙ったと思われる。Canon EOS-1D Mark IV / 700mm / 1/1000秒 / 5.6
デジタルカメラマガジン賞を受賞されたBlitzGeraete氏の作品。2重金網の切れた付近から流し撮り。背景は激感エリアの観客と1コーナー付近。SONY α DSLR-A900 / 560mm / 1/25秒 / F8Car Watchセレクションを受賞された多和田誠司氏の作品。C席もしくはその横のカメラマンエリアの上段からメインストレートのA席の前を1コーナーへ駆け下るマシンを流し撮り。Canon EOS 7D/250mm/1/15秒/F20デジカメWatchセレクションを受賞された西圭一氏の作品。C席中央の中段から上段で2コーナーとS字の中間付近を流し撮り。背景は駐車場に積まれたコンテナ。Canon EOS 7D/200mm/1/20秒/F14

【お詫びと訂正】記事初出時、多和田氏と西氏の名前、および受賞名が間違っておりました。お詫びして訂正させていただきます。


C席横カメラマンエリア
 正式な名称はない場所だが、C席のD席側の土手は普段から多くのカメラマンが集まる撮影ポイントだ。F1日本グランプリではカメラマンエリアとなりカメラマンエリアチケットが販売されている。S字の1つ目が目の前で、流し撮りと斜め前からの撮影、後ろからの撮影もできる。それほど広いエリアではないが、上下左右に位置を変えると絵のバリエーションが増える撮影ポイントとなっている。

C席横カメラマンエリアからパノラマ撮影。現在、右端に見える白い柵はなくなっている
S字進入の左ターンを300mmで撮影レタッチした画像。シャッター速度1/125秒
左ターンから右ターンに切り返すところを300mmで撮影レタッチしてフォトギャラリーに掲載した画像。シャッター速度1/60秒
S字2個目に向かうマシンを後ろから300mmで撮影レタッチした画像。シャッター速度1/320秒
C席横カメラマンエリアの撮影位置の解説図F1日本グランプリでは、多くのカメラマンエリアチケット購入者が集まった

 このエリアで撮影された入賞作品を見てみよう

Car Watchセレクションを受賞された鈴木知幸氏の作品。S字進入の左ターンで左リアタイヤが浮いた瞬間を流し撮り。Canon EOS 7D/400mm/1/50秒/F8デジカメWatchセレクションを受賞された蔵田博行氏の作品。おそらくS字、もしかしたら逆バンクで撮影された画像。Canon EOS-1D Mark IV/1000mm/1/500秒/F8

D席
 D席は、S字から逆バンクまでコースに沿って曲がりくねったスタンドなので、座席位置によりコースの見え方がまったく異なるスタンドだ。スタンドの構造もC席側の小さなエリアと、S字2つ目から逆バンクまでの細長いエリアに分割されている。今回はD席を3つに分けて紹介したい。

 1つ目はC席側のブロック。F1開催時はD-5ブロックと呼ばれるエリアだ。ここはS字1つ目が目の前に見え、ストレートエンドからS字まで見渡せるのでレース観戦に適している。撮影できるのはS字進入からS字2つ目に向かう部分だ。S字1つ目のクリッピングポイントを正面から撮ることができるが、撮影位置はやや高めで見下ろす角度となる。S字1つ目から2つ目に向かう部分で流し撮りもできる。スタンド最上段はF1開催時にはカメラマンエリアとなり多くの人が集まる撮影ポイントだ。

D席のS字側、5ブロックの中央、中段からパノラマ撮影。撮影もできるが観戦にもむいている
同じエリアでやや左側(逆バンク側)の下段に移動すると電柱が避けられるD席5ブロックの撮影位置
S字1つ目の正面から200mm(320mm相当)のレンズで撮影。300mm(480mm)以上だとそこそこアップとなるS字1つ目から2つ目に向かうマシンを流し撮りで撮影。レンズは200mm(320mm相当)を使用
F1グランプリで最上段のカメラマンエリアから300mmを使用してシャッター速度1/60秒で撮影レタッチしてみた
F1グランプリで最上段のカメラマンエリアからシャッター速度1/60秒レタッチしてみた

 昨年のWTCCフォトコン大賞(この記事の最初に掲載している写真)もおそらくこの場所で撮られたものだろう。アップなので他の場所で撮られた可能性もあるが。

 2つ目は、S字2つ目から逆バンクまでの細長く曲がったエリアのS字側だ。C席側ではストレートエンドからS字までが一望できる。流し撮りの定番ポイントでマシンを上から見下ろす感じで撮影できる。この撮影ポイントはスタンドの上下左右の広範囲で撮影が可能だ。

パノラマ写真ではコースが真っ直ぐに見えるが、足下のスタンドもコースも回り込んでいる。C席側はストレートエンドからS字、ダンロップまでレースを堪能することができる
少し逆バンク側に移動すると1~2コーナー側が見えなくなるためやや観戦に不向きとなる分、観客の数も減り撮影しやすくなる
コースを見下ろす感じで撮影できる。スタンドの角度が急なので金網の影響が少なく上下左右に撮影範囲が広いS字で流し撮りの解説図
前半で紹介した画像はこの位置から135mmで撮影。シャッター速度1/125秒レタッチしフォトギャラリーに掲載した画像

 この場所で撮られた入選作品を見てみよう。

コンデジ賞を受賞された三宅章仁氏の作品。比較的短いレンズで撮れる場所とは言え、コンパクトデジカメによる流し撮りはかなり難しい。LUMIX DMC-FZ7/57.6mm/1/125秒/F8Car Watchセレクションを受賞された飯田真司氏の作品。パドックを背景に入れ広角で撮っている。NEX-5/16mm/1/320秒/F13デジカメWatchセレクションを受賞された八木聡氏の作品。おそらくこのあたりで流し撮りをしたと思われる。NIKON D3/240mm/1/60秒/F20

 3つ目は逆バンクだ。ここは逆バンクしか見えないので、レース観戦のポイントとしては少々寂しい。逆バンクの定番の撮影ポイントは、S字側の2重金網が切れたところからD席左端までの広い範囲となる。F1グランプリでは座席後方がカメラマンエリアとなっていて望遠レンズが大挙して集まる場所だ。S字から進入してくるマシンを正面から撮ったり、逆バンクのクリッピングポイントを正面から撮ることもできるし、流し撮りもできる。

D席逆バンクがらパノラマ撮影。広い範囲で撮影ができる
クリッピング付近を正面から420mmで撮影レタッチしてフォトギャラリーに掲載した画像
同じ位置で流し撮り。300mmで撮影レタッチしてフォトギャラリーに掲載した画像。シャッター速度1/60秒

 逆バンクの穴場的な撮影ポイントは最下段だ。観客席の最下段から見ると、金網越しにカメラホールを通してマシンを撮ることができる。1つのカメラホールに対し、2~3人しか撮るスペースがないので、混雑すると撮影は難しい。この場所はマシンを正面から低い角度で撮影が可能だ。

カメラホールを金網越しに見るとこんな感じ300mm×1.4倍コンバータ、420mm(672mm相当)でカメラホールを通して撮影トリミングした画像
D席最上段のダンロップ側の端から見るとこんな感じD席逆バンク付近の解説図

 この場所で撮られたと思う入選作品を見てみよう。

レキサー賞を受賞された薬師川聡氏の作品。ダンロップ側の端付近で撮ったと思われる。個人的には全作品の中でトップクラスのお気に入りだ。Canon EOS-1D Mark III / 500mm / 1/15秒 / F20準フォトコン賞を受賞された前田信吾氏の作品。S字側の上段から撮ったと思われる。Canon EOS 7D / 221mm / 1/125秒 / F11準フォトコン賞を受賞された上田浩司氏の作品。最下段からカメラホール越しに撮ったと思われる。Canon EOS-1D Mark III / 700mm / 1/500秒 / F5.6
Car Watchセレクションを受賞された堀出明広氏の作品。逆バンクからダンロップへ向かうマシンを後ろから撮影。Canon EOS 7D/700mm/1/1250秒/F5.6デジカメWatchセレクションを受賞された兵後博也氏の作品。クリッピング付近を正面から流し撮り。もしかするとE席から撮影している可能性もあり。オリンパスE-5/425mm/1/15秒/F16

Q1席
 昨年のレース開催前は、ダンロップコーナーから最終コーナーに抜けるショートカット部分は撮影データが全くなかった。今年は実際に撮った画像があるのでそれを含めて説明をしていこう。Q1席の中央で撮ったパノラマ写真では金網の影響を受けそうな感じがするが、R席側の端に移動すると金網の上から撮影することができる。

 正面からは300mmでやや遠目、流し撮りをする場合は200mmで充分だ。昨年のレースでは1~2コーナーの多重クラッシュが印象に残っているが、このショートカットでも多くのマシンがコースアウトしている。もしかすると今年はここでクラッシュシーンに遭遇できるかもしれない。

Q1席中央からパノラマ撮影。この位置では中央部に見えるショートカットコースは金網越しとなってしまう
Q1席左側の上段に立つと金網の上から撮影ができ、ショートカットが正面となる300mmのレンズで撮るとこんな感じだ
シャッター速度1/30秒で撮影レタッチしてフォトギャラリーに掲載した画像
200mmのレンズで流し撮りレタッチしてフォトギャラリーに掲載した画像
昨年はコースアウトが多かった
デジカメWatchセレクションを受賞された毛利陽介氏の作品。Q1席から2台が接触するところを撮っている。E-5/165mm/1/250秒/F9

 この場所で撮られた入選作品が右の作品。


激感エリア
 激感エリアは4個所設置される。1コーナー手前イン側、2コーナーイン側、S字コーナーイン側、東コースショートカットイン側となっているが、撮影で最もオススメするのは2コーナーのイン側のエリアだ。

 2コーナーイン側の激感エリアは筆者も何回も撮影した経験がある。レンズは100mmから200mmくらいで撮影することができ、流し撮りに最適な撮影ポイントだ。観客が多いと柵の最前列は満員になってしまうが、脚立に乗れば頭越しに撮ることができる。

 全ての激感エリアは、安全のため決勝がスタートしてから3周は入ることができない。2コーナーのクラッシュシーンを期待する場合はB席、C席の方が確実だろう。

 ここは標準ズームでも撮影が可能な場所なので、コンパクトデジカメでも入賞が狙えるかもしれない。

激感エリア、2コーナーイン側は定番の撮影ポイントだ昨年の東コースショートカットイン側の様子。コースから離れたところに柵が設置され撮影には不向き昨年、筆者も2コーナーイン側の激感エリアで脚立に乗って撮影した
ズームを131mmにしてシャッター速度1/160秒で撮影。背景にヨコハマタイヤの広告があるレタッチしてフォトギャラリーに掲載した画像
113mm、1/160秒で撮影レタッチしてフォトギャラリーに掲載した画像
標準ズームを56mmにしてシャッター速度1/20秒で撮影レタッチしてフォトギャラリーに掲載した画像

 この場所で撮られた入選作品を見てみよう。

Car Watchセレクションを受賞された吉田匡宏氏の作品。リアタイヤが浮きロックしたためヨコハマタイヤのロゴが見える。バックにもヨコハマタイヤの広告。NIKON D300S/120mm/1/160秒/F5Car Watchセレクションを受賞されたきょい氏の作品。広角で空、スタンドを背景にスローシャッターで撮影。NIKON D300/20mm/1/30秒/F22
デジカメWatchセレクションを受賞された高橋淳氏の作品。2コーナーからS字へ立ち上がるところを逆光で撮影。NIKON D700/122mm/1/40秒/F13デジカメWatchセレクションを受賞された福田安弘氏の作品。B席のスタンドとヨコハマタイヤの広告をバックに流し撮り。Canon EOS 7D/75mm/1/80秒/F6.3

 撮影ポイントの解説は以上だ。鈴鹿サーキット東コースは撮影ポイントが数多くある。同じ場所でも撮り方のアイデアで絵のバリエーションを増やすことも可能だ。2日間、歩き回ってよい絵を撮っていただきたい。

フォトコンテスト攻略法
 昨年のフォトコンテストの結果を見て筆者が感じたのは、よい作品の基準は人それぞれということだ。筆者のように写真を撮る側の目で見ると技術的に高い作品に目が行く。だが、各賞を選んでいる方はカメラマンではないので、筆者とは違う視点で選んでいるということだ。

 昨年の賞を選んだ人と、今年の賞を選ぶ人が同じとは限らないので選択の基準は異なる可能性が高い。逆に言えば狙っても賞が取れるとは言えないし、狙わなくても取れることはありそうだ。

 しかし、賞によってはある程度狙える賞もある。今年のフォトコンテストの賞は以下のとおりだ。

・WTCCフォトコン大賞 1名
・格闘技賞 1名
・バトルロイヤル賞 1名
・横浜ゴム賞 1名
・サンディスク賞 3名
・キッズ賞 3名
・コンデジ賞 2名

 この中で格闘技賞とバトルロイヤル賞はバトルシーン、クラッシュシーンなどが入賞する可能性が高い。スタート直後の1~2コーナーが狙い目だろう。

 横浜ゴム賞も基準がハッキリしている。ヨコハマタイヤのロゴが写っている写真というのが基準なので、マシン正面のヘッドライト下かマシン横のカーナンバーの部分にあるロゴを確実に入れること。ヨコハマタイヤの広告をバックに入れたいので、昨年と同じなら2コーナーを激感エリアから撮影するか、S字の進入をC席から撮るのが基本だろう。もちろん広告の位置が変わればそれに応じて撮影ポイントを変更する。

 サンディスク賞は流し撮りが基準となっている。初心者にはハードルが高いがスローシャッターに挑戦して、よい絵が撮れたら狙ってみたい賞だ。

 キッズ賞とコンデジ賞はパドック、ピットでの撮影が近道だ。昨年の入選作品には流し撮りの画像もあったが、パドック、ピットでよい絵が撮れれば確率は高くなりそうだ。注意点は観客の顔を写さないことだ。レーサー、メカニックなど関係者は問題ないが、観客の顔が認識できると個人情報保護などの観点からボツになる可能性が高い。

 土曜、日曜でセッションは6回ある。決勝のスタートは1~2コーナーか穴場的に最終コーナーでバトルを撮るとして、ほかのセッションは流し撮りをしたり、アイデアを生かした絵を撮ったり撮影を楽しんで欲しい。筆者自身、他人の作品を見ると「なるほど、この場所でこう撮るのか」と参考にしつつ楽しませてもらっている。技術面でも発想面でも、ユニークな作品を期待している。

(奥川浩彦)
2012年 10月 15日